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人類の歴史と毒

いつも読んでいただき
ありがとうございます。
さおりんです。


毒と人類との関係は、時代とともに
移り変わり、各時代の文化や科学技術を
反映しています。


人間とさまざまな毒との関りから、
どのような人類の歴史が見えてくる
のでしょうか。


毒を通して人類の歴史を
たどっていきましょう。


ヒトが毒を利用した最古の証拠は
南アフリカのボーダー洞窟で発見された
切れ目のある木の棒で、約2万4000年前
のものと推定されています。


この切れ目に付着した成分から、
トウゴマの種子に由来するリシノール酸
とリシンレイド酸が検出されたため、
リシンが毒として利用されていたことが
わかりました。

さらに、第一次世界大戦に敗戦し、
経済危機に陥ったドイツの化学研究を
支援するため、星製薬株式会社・
星薬科大学の創始者である星一は、
現在の価値にして20億円を超える私費を
提供しました。


1924年、その返礼もかねてハーバー博士
は来日し、星薬科大学をはじめ日本各地
で講演を行い、日本の化学界にも大きな
影響を与えました。

天然物化学ではフグ毒が有名です。
フグ毒テトロドトキシンに関する研究は
日本の化学者によって発展しました。


その構造は、
1964年の国際天然物化学会議で
名古屋大学の平田義正、東京大学の
津田恭介、ハーバード大学のロバート・
バーンズ・ウッドワードの3つのグループ
によって同時に独立して報告されました。

ウッドワードは
翌1965年にノーベル化学賞を受賞し、
日本の化学者を大いに刺激しました。


海洋生物の毒というのは、
まだまだ未知数です。
シガテラは熱帯・亜熱帯海域の
魚介類による死亡率の低い食中毒の総称
で、海外では毎年5万人もの人が
中毒症状を発しています。


東北大学の安元健らは、
毒性の強いタヒチ産サザナミハギから、
新種の渦鞭毛藻を発見しました。


ここからシガトキシンが単離された
ことで、シガテラ毒の起源が明らかと
なりました。

天然化合物の構造の美しさに魅かれた
化学者は、天然化合物をパズルのように
人工的に合成する全合成研究に
取り組みました。


フグ毒テトロドトキシンの構造が
明らかになった後、世界に先駆けて
全合成を成し遂げたのは、岸義人らです。


岸はその後もさまざまな天然物の全合成
を驚異的な速さで成し遂げました。

生体に大きな作用を及ぼす毒は同時に
薬にもなります。たとえば、
ハリコンドリンBは、上村大輔らにより
クロイソカイメンから単離、構造決定
された化合物で、強力な細胞毒性と
抗腫瘍活性を示します。


その合成中間体の右半分の部分構造だけ
でも決定的な抗腫瘍活性があることが
わかり、抗がん剤エリブリンの開発にも
つながりました。

このように毒で命を落としてしまう効果
もあれば、毒で病を制することもできる
のです。


次回は、自然界の中の毒を
どのように操っていったのかについて
ご紹介していきます。
ここまで読んでいただき
ありがとうございました。
さおりんでした。

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