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短編小説 小人との対話 ~タマゴの黄身と白身⑦かくさん編~

『今回は、ある少女のところへ小人さんが現れたお話しです。どうやらタイトルに①とついているので、もしかしたら②以降もあるのかしら…と想像してみるのですが、どうでしょうか。いや、いつの間にか『①』が消えていることも考えられなくもありませんが…小人さんのみ知ることかもしれません。』

⑦かくさん編です。しかも、またまた今回も一話分長いです。
あとでこの『タマゴの黄身と白身』は纏めて独立させたいと思います。
多分、有料で読まれる方はまずいらっしゃらないことと思いますが(笑)、万が一読みたいと思ってくださった方は、今は読まずに、纏まったときにお読みいただければと思います。

過去の短編8話分纏まった『小人との対話』は、こちらです。↓

小人との対話『タマゴの黄身と白身』⑥まではこちら↓


では、タマゴの黄身と白身⑦かくさん編のはじまりです。

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タマゴの黄身と白身⑦ かくさん編


「はぁ」
 
海に来ていた。
何かある度、何もなくても、オレは海に来る。
釣りが目的だが、釣りが目的なだけでもない。
海に来て、ぼんやりしていると、頭の中が整理できるような気がするからだ。
今日もまた、そうして海に来た。
何度目だかわからないぐらいに、溜息がオレから抜けていく。
 
「どうした?溜息なんぞついて、ええ?」
 
は?
オレに言ってるのか?誰だ?ここは、誰も来ないポイントなはずだが…はて、誰かに気づかれてしまったのか?
オレは、その声がするのはどこなのか右左後ろと確認したが、誰もいる様子はなかった。
どうやら空耳らしい。海風が声に聴こえたのだろうか。波の音か。しかし、今日は静かだがなぁ…
 
「空耳なんぞじゃねえ。見えねえのか?ああ?」
 
んん?は?随分と…小せえなぁ…小人なのか?
 
「ああ、そうだ。見えたか。くくくっ」
 
「おやじのくせに、小せえってだけで可愛いもんだなぁ。困ることはないのか?」
 
「オレは万能なんだぜ、けっ。小せえってバカにしてんのか?ええ?」
 
「まさか。バカになんかするもんか。寧ろ羨ましいぐらいだな。どこにでも隠れられるじゃねえか。ははは」
 
「ほお、やっぱりあんたはそういう人なんだな。」
 
「どういう人だ?まあいいか。どうでもいいことだ。誰がオレを何と言おうと関係ねえ。どうせ変わり者なんだからな。はは」
 
「変わり者?そう言われるのか?」
 
「ああ、言われる。オレは変わってるとは思わんがな。世の中的には変わってるらしいな。どっちでもいい話だ。」

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