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その問い合わせ、本当に解決してますか?Zendeskの機能で解決率をとってみた

こんにちは、Technical Supportの中村です。
突然ですが、問い合わせ対応において、「回答はしたけど、返事がない。これで本当にユーザーの疑問は解消したのか?」と感じることはないでしょうか。
この課題感に向き合うべく、Zendeskの機能を利用して「解決率」をとる仕組みを作ってみたので、ご紹介したいと思います。


なぜ解決率をとろうと思ったのか

私たちは、問い合わせ対応に「Zendesk」というシステムを利用しています。Zendeskでは問い合わせのステータスを最終的に「解決済み」とすることができます。
今まで私たちの対応では、ユーザーからの問い合わせに対して回答を送った時点で「解決済み」というステータスを選んでいました。
しかし、実際にユーザーの課題や疑問が解決しているのかは、「解決しました」「理解できました」などの返事がないと、把握することができません。実際には解決に至っていないけれど、問い合わせを続けることを諦めているユーザーも多いのではないか、という課題感を常々感じていました。
また、Sansanでは、Zendeskの機能を利用して問い合わせたユーザーに対して、アンケートを送っています。このアンケートは顧客満足度を測るために始めたもので、満足度は平均で80%台中盤ですが、回答率が20%台のため、これだけでユーザーの状況を観測するのは難しい、と感じていました。また、そのアンケートに「解決していません」と回答されることも多く、そういったアンケートへの回答にどう対応すべきか、という悩みもありました。

これらを総合して、「実は解決していなかった、というユーザーがどのくらいいるのか」を計測し、「そのユーザーを掬い上げ、最終的な解決まで導くにはどのような対応をすべきなのか」を目的に、解決率をとってみることにしました。

解決率の仕組みについて

実際にどのような動きをしているかは、以下のフロー図をご覧ください。

ざっくりとまとめると、以下のような動きをしています。

①ユーザーが問い合わせを行い、オペレーターが「待機中」ステータスで回答を送信
②その回答に対して、ユーザーから2営業日返事がこなかった場合、「解決確認のメール」が送信され、チケットが解決済みになる
③解決確認のメールに対してユーザーから「解決していない」という返信があると、「未解決フラグ」がチェックされ、再度回答を送信する
④お礼のメールであれば、解決済みとしてクローズする(未解決フラグがチェックされていれば外す)
⑤解決済みとしてクローズした2営業日後にアンケートを送信する

解決率と言っていますが、正確には「解決しました、という回答の割合」ではなく、「未解決です、と言われなかった回答の割合」をとっています。これは、この施策の主な目的が「未解決のユーザーを掬い上げる」ことであり、「高い解決率」を出すことを目的としているわけではないからです。 
そして、「未解決です」と言われたときに「未解決フラグ」という項目を利用したり解決確認のメールを送信するために、Zendeskの「自動化」や「トリガ」の機能を利用しています。

Zendeskの「自動化」と「トリガ」の設定

自動化やトリガには、「条件」と「アクション」があり、条件を満たした場合にのみ、アクションで定めた動きが発動するようになっています。

「自動化」のポイント

まずは「自動化」を利用して、回答を送信した後、ユーザに自動で「お問い合わせは解決しましたか?」という「解決確認のメール」を送信します。
ユーザーのお問い合わせの内容や、タイミングによっては、「解決しましたか?」とメールが飛んでしまうことで却ってユーザ体験を損ねてしまいます。そのため、意図しない解決確認のメールが送信されないよう、細かく条件を設定しました。

そして、条件に当てはまったチケットには、以下のようなアクションが実行されます。

ポイントは、チケットに「解決確認送信済」というタグを追加して、何度も同じチケットで解決しましたか?という連絡が送られないようにしていることです。解決確認送信時のアクションでタグを追加し、解決確認送信の条件の中で、タグがついていないものを対象にすることで、一度送信したものには送られない仕組みをとっています。

「トリガ」のポイント

次に、トリガを利用します。トリガでは、主に以下のような条件と、アクションを定めています。

条件
・「解決確認送信済」タグがついている
・「未解決フラグon済」タグがついていない
・ステータスが解決済みの状態でお客様から返信がきた
アクション
・「未解決フラグ」にチェックをいれる
・「未解決フラグon済」タグをつける
・ステータスをオープンにする

ここでも、自動化で追加した「解決確認送信済」タグを利用しています。「解決確認を送信していないチケットの場合は、「未解決フラグ」にチェックがはいることがないため、解決率が意図せず上下してしまうことがありません。

「解決しました!」の返事でチェックを外す

しかし、このままでは、一度解決確認を送信したユーザーから、お礼のメールがあった場合でも、「未解決フラグ」がオンになってしまいます。
そこで最後に、「未解決フラグ」のチェックを手動で外す、という運用をしています。外す条件はシンプルに、ユーザーから「解決しました」「理解しました」「ありがとうございました」などのご連絡があった場合のみです。
サポートセンターからの回答に対して、明確なお礼があった場合はチェックを外し、そうではない場合はつけたままにしておく、というルールで、対応にあたっています。


実際の解決率と、思わぬ副産物

この仕組みを導入してから、ユーザーから明確に「解決しました」「解決していません」とご連絡をいただくことが増えました。解決している場合は安心してクローズができるし、解決していない場合は、何が原因だったのかをヒアリングし、再度解決までサポートできます。
導入する前、解決率は70%くらいを想定していました。しかし、今までは諦めていたかもしれない未解決のユーザーを掬い上げ、解決まで導くことができているおかげか、実際は毎週94%程と、高い割合で推移しています。

また、解決しなかったケースにおいて、ユーザーがどこでつまずいているかがわかりやすくなり、どうすればこの問い合わせをしないで済むのかなど、ヘルプページやプロダクトに対する改善案が見つけやすくなったり、問い合わせ対応においてのナレッジ化ができたりと、今後の業務に役立つ仕組みでもありました。
アンケートによる満足度調査についても、導入前に比べて3%ほど向上し、結果的に満足度の向上にも寄与することができました。


おわりに

解決確認の仕組みを導入したことで、Technical Supportメンバーも自信をもって「解決できた」とクローズできるようになりました。そして、ユーザーも解決確認のメールをきっかけに改めて現状をご連絡くださり、そのタイミングで不満を解消してくださる方が増えました。
ユーザーとサポート、双方にいい影響を与えられる仕組みとして、ぜひご参考になれば幸いです。

Sansan Technical Support と意見交換していただける方がいればお気軽にご連絡ください。
Sansan Technical Support 大谷・野口
sg@sansan.com