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三浦半島釣り魚図鑑(36) アミモンガラ

夏はよる、は枕草子の世界も今も同じ。やっぱり夏は夜涼しくなってからのほうが気持ち良い、というよりこの猛暑では日中は出歩くことができないほど。なので、夏は夜さんぽに出かけることが多い。

子どもの友達がお泊まりに来た日も、夜さんぽに行きたいと言うので、ついていった。風が強い日で、夜の潮風が涼しくて気持ちが良い。もう昼間ひとしきり遊んだあとだったので、夜釣りではなく、純粋にさんぽに行ったのだけれど、やっぱり釣り好き達は魚が見たいので海へ行く。

夜の海にヘッドライトの光を当てて観察する。すでに港には観察に来ている父子がいて、ケースを見せてもらうと小さなアオリイカとウミヘビかウツボ?がいた。

うろうろしながら魚を探す。アオリイカだろうか、小さなイカがいた。そして、風に乗ってたくさんのゴミが流れてきている。多くは木屑や廃材のようなものだけれど、プラスチックの容器やレジ袋のようなものも多くあって、残念。どこから流れてきたものなのだろう。

と、そのゴミの中に、魚の形が見える。ただし、全く泳いでいる様子はないので、はじめ魚の形の葉っぱかと思った。岸に近づいたところをよく見てみると、葉っぱではなくてまさかの魚だった。調べてみるとどうやら、マツダイという魚で、あえて泳がずに木の葉に擬態しているのだそう。

この夜マツダイらしき魚を3匹ほど見かけたし、昼間に息子は小さなやつを釣ったけれどもリリースしたらしい。以前話題になっていた噴火に由来するのかはわからないけれど、軽石みたいなものも多く流れてきていたところに浮いていたらしい。

ゴミの近くには流れてきた魚もたくさんいたようで、この日はカンパチの幼魚も見つかった。顔に八の字があるから、小さくてもカンパチで間違いないらしい。私は連れ帰って絵に描こうかな、と思ったのだけれど、息子は小さくてかわいそうだから、逃したいというので、逃してあげた。いつか、大きく育ったらオレが釣ってくるから、とのこと。

この夜最後に見つけたのが、この青紫色の魚。カワハギに似た雰囲気の魚だけれど、誰も名前はわからなかったので、私がスマホで検索すると、アミモンガラらしきことがわかる。この手の魚には毒があるものがいるので、名前がわかるまでは警戒していたのだけれど、どうやら毒はなく、食べることは少ないけれど食べられる魚だというので、持ち帰った。

夜さんぽにぴったりなイメージの夜の色の魚は、捕まえた時には美しいブルーと紫色をしていたのだけれど、家に連れ帰って絵を描いているうちにだんだんと黒っぽくなっていった。小さな白やブルーに見える斑点が散っていて、まるで星空のようだ。

特徴的なのはその皮。サメ肌のようにざらざらとしていて硬い。別名、サメハダモンガラと呼ばれるらしい。爪が研げるんじゃないかというくらいにざらざらで、ウロコはない。カワハギの仲間なので、皮を剥いでから調理した方がよかったのだと思うのだけれど、よくわからなかったので、そのまま塩焼きにした。

でも、結局皮が硬すぎて、焼いた後に皮を剥いて食べたのだけれど、見た目の割に味はなかなかよい。カワハギの仲間だけあって、カワハギによく似ている。ただし、採れた魚が9cmと小さなものだったので、本当に味見程度。

もっと大きなものを釣って食べてみたいとも思ったけれども、この魚、大きなものにはシガテラの可能性があるという記述も目にしたので、あまり大きいものは食べない方がいいかも。シガテラというのは、魚自体に毒があるわけではないけれど、食べたプランクトンの毒などの蓄積で、魚の内臓に毒が溜まってしまうもの。

いつも参考にさせていただいている、ぼうずコンニャクさんのサイトによれば、アミモンガラは市場で出回ることもある魚だそうで、多く流れ着いた時などに皮を剥いだ状態で大量に出荷されるんだそう。近くのスーパーでは見たことないけれど、安いらしいし、もしも売ってたら買ってでもまた食べてみたい。



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