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三浦半島釣り魚図鑑(40) ボラ

最近投稿が滞っていたのは、私が雑用に追われていたということもあるのだけれど、息子があまり釣りに行く時間がなくなってしまったから。はやり風邪の行動制限がなくなってからというもの、以前からやっていたスポーツなどの活動が元通りになったりして、のんびり釣りができるような日が減ってしまったし、そうこうしているうちに春からは中学生になったので、皆部活に塾に忙しく、子どもたちの釣り熱もちよっぴり冷めてきてしまったようだからなのだ。

それに、釣りをしたとしても、以前のようなエサ釣りはほとんどせず、ルアーやワームなどの疑似餌をよく使うようになったことで、あまりいろいろな魚がかからなくなってしまった、ということもある。エサのほうが釣れるじゃん、と私が言っても、いろんなルアーを試しながら釣るほうが、釣れた時が楽しいのだと、まるで釣り人のようなことを言い出す。まあ、順調に釣りの道へ一歩踏み込んだということなんだろう。

あまり釣れないので、あまり釣りにも行かないというループで、私が魚の絵を描く機会もすっかり減ってしまっていたのだが、夏本番も近いある日、久々に息子が声を弾ませて釣りから帰ってきた。遠くからでも見える、手には袋からはみ出ている魚の尾。

聞くと、ボラだという。よく岸から海を見ていると、斜め上方に向かって飛び上がり、ボチャンと落ちる魚がいるけれど、あれはほとんどがボラ。春先に河口近くの川を覗くと、たくさんの魚が群れになってスイミーのように泳いでいることがよくあるのだけれど、あれもボラだという。まあ、そういう風によくいる魚ではあるのだけれど、そりゃ、こんな大物を釣ったら嬉しかろう。

ボラは前にも一度釣ったことがあって、でもそれよりはだいぶ大きく、51cmあった。以前河口でかかってしまったコイを除けば、息子にとって最高記録の大物。

港に大きな魚影が見えたので、一緒に行った友達と水面にワームをぴちゃぴちゃ踊らせていたら喰い付いたらしい。糸が細かったので、15分くらいかけて弱らせてから、近くの人にタモを借りに行って無事、逃さずに釣り上げたんだと誇らしげに彼は語った。

ボラの頭部や体には厚みがあって、正面から顔を見ると、かなりユーモラス。くりくりの目玉と半開きの口がかなりおとぼけている。そして、頭部全体が透明なものでぬるっと覆われている感じなのだけれど、これは脂肪の膜なのだそう。

卵の塩漬けがからすみになることで知られているボラだけれど、多くの釣り人は釣り上げてもリリースすることの多い魚だ。以前、近くの釣り人が大きな魚を釣り上げているのに、喜びもしないですぐに逃がしていたのを見て、もったいないことをするなーと思っていたのだけれど、その理由は魚の臭みにあるらしい。

きれいな藻場で育ったボラならおいしいけれど、漁港などのあまり水質のよくないところで育ったボラは臭くなってしまうという。捌いてみると、お腹の中から泥のようなものがたくさん出て来て、確かに他の魚に比べれば生臭い。刺身はあきらめて、全部フライにすることにした。

おそるおそる食べてみると、意外にも普通においしかった。というか、大きかったので身が厚くて脂もほどよくのっていて、なかなかのもの。やっぱり刺身も食べてみればよかったかな。




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