息が かたちをつくる
「もの」や「かたち」のつくり方つくられ方は本当にたくさんあります。
削る 彫る 付ける 塗る 切る 折る 貼る 打つ 伸ばす などなど
(きっと、いや、絶対もっとありますが、語彙の乏しさお許しください。)
その中でも「吹く」ことでかたちをつくるのが吹きガラスは、自分の息が直接かたちをつくることのできる、ただ唯一の方法ではないかと思うのです。
当たり前と言えばそうですが、その何とも独特なダイナミックさに気がついたときは心底驚き、制作の素材として扱い慣れはじめたガラスに対して、はじめて自分なりに「わかる」という体験をした気がしました。
「 声の風船 」 写真:青木遥香
この、少々乱暴かもしれないけど正解不正解など関係なく、自分なりに何かを「わかる」という体験は、作品をつくる上ではもちろん、毎日を生活していく上でも、とても貴重なことだと思います。
情報の多さや、複雑化していく多くのものに囲まれながら、それらをまるで理解しているように、しれっと生きてしまっていることに時々うんざりする中、自分の目や手の届くほんの小さな範囲にある面白さに気づけたり、わかったりする体験は、たとえ勘違いであったとしても尊いと思います。
「 息のかたち 」 写真:市橋織江 AD:石井原
「ふぅー」という息を吐くときの音を中空のガラスを使って形にしたもので、ガラスに息を吹き込むという行為自体に焦点を当てた作品です。
(単純さに脱帽)
自分の息(呼吸)が直接かたちをつくるのは、たいへん私的でダイナミックなつくり方だと思うのです。
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