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「戯れ言」眠り薬と答え合わせ#青ブラ文芸部


貴方にあって私に無いモノって、何かしら?
私にあって貴方に無いモノは沢山あるわよ。

辛いと言う感情と貴方を認識する意識、
ああ、お金と言う人間が創り出したもので「借金」て言うのが、私の背中にのしかかっているわ。

うん?

それは有るものじゃなくて無いものかしら?
返すお金が無いんだから?
でも「借金」って言う形の無いものは確かに私にあるのよ。

あ…ちょっと待って。
違う、ごめんなさい。
「感情」も「意識」も目には見えない形の無いものだったね。

ああ、私はもっと持ってる。
春を知らせる桜を見る視力や開花した桜の下を歩く運動能力、食べ物を噛み砕く咀嚼と噛み砕いた物を飲み込む嚥下。
貴方には無くなっちゃったものね。

だからって、決して上から目線で貴方を見下しているわけじゃないのよ。


貴方にあるのは、聴力と皮膚で感じる触覚、もしかしたら桜の花の香りを嗅ぐ臭覚も残されているかもしれないね。
それから、私が羨ましくて堪らない深い深い眠りを貴方は持っている。

ねぇ、でも
私も「眠り薬」の力を借りたら、それは手に入れられるのよ。
一緒に堕ちていけるよ。
深い闇ではなくて、安楽の世界へ……
堕ちていこうか。
もう苦しいことも、痛いことも分からない世界へ旅立っちゃった方が楽だよね。
ねぇ、返事をしてよ。

貴方は口を開かない。
そうだった。
言葉も失われてしまっていたね。

こつこつ貯めていた「眠り薬」を
カリカリと噛んだ。
オーバードーズが身体に悪い事くらい知っていた。
でも、あの当時の私は睡眠を得たかった。

あんなに持っていたのにね。
貴方が失って私が持っているもの。
欲張りだったね。
たった一つ、私よりも多く貴方が持っている「眠り」まで欲しがるなんて。
強欲だったのかな?
でも人なんて、そんなモノでしょ。

思い留まった私が正しかったのか否か、「答え合わせ」は、まだまだこれから始まる。




山根あきらさん

独り言のような記事になってしまって、申し訳ありません。参加させてくださいm(__)mよろしくお願いします。

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