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AIにオノマトペは作れない

これまで私のエッセイを読んでいただいたことがある方は薄々勘づいてるかもしれません。
オノマトペの多さに。

しかも、ぱぷんとかトキトキみたいな、初めて目にするようなオノマトペ。

それは、読んで気がついた人だけがそっと心にしまっておくべきものなのかも。なのに、書き手側がその事実をひとつの記事として取り上げるのは面白みがないし、かっこわるいといわれればそうに違いないのですが……。

オノマトペが大好きです。
どうしても言いたい。
声を大にして言いたい。
オノマトペが好きやねん!
(ごめんなさい。関西圏に住んだことありません。)

だから今日はオノマトペについて存分に語り合いましょう。


例えばこのエッセイではオノマトペを多用しました。

エスカレーターの上がる音、本を手にとる音、コーヒーカップの音。

実は、エスカレーターが上がる音、ウィーーンにしたのはすごく迷いました。だってエスカレーターウィーーンっていってませんもん。
ブーンも違うし。ヒューンだと真上にあがるエレベーターを感じます。

フゥォーーーーーーーーン
ってな感じでしょうか。
あるいはフィーーーン

でもさ。文章の途中に
フゥォーーーーーーーーン
って出てきたらそこが気になっちゃって気持ちよく先に進めませんよね。

だから、読み手側がすんなり受け入れてくれて、でも表現したいちょうどいい音を探しています。
エスカレーターの上る音がフゥォーンとして世間で認知されたら躊躇なく使います。


さらに、これからおこる楽しい出来事に胸が高鳴る様子は、トキトキと表現しました。

ドキドキだと高鳴りすぎるし、キュンだと一瞬すぎるし、いつもより少しだけ脈があがる様子を表現したかったのです。トゥクトゥクトクトクも迷いましたが、なんだか初恋感がでてしまいます。ワクワクするほど初めての場所でもない。

高鳴り感がちょうどいいのがトキトキでした。

そして、本を読み始めたら、周りから何の音もなくなる様子と対比してみたかったのです。
(これがうまくいっているかどうかは読み手の方が決めることですよね)

私は文章を書き始めてとても日が浅いので、表現するのがうまくありません。だけど、オノマトペはそんな私を助けてくれます。

オノマトペは決まったものでなくても自分で作ってもいい。読み手側がそれを体感できるなら。

宮沢賢治作『風の又三郎』の書き出し「どっどどどどうどどどうどどどう」は強い風が吹く様子を表しています。しかもそれが物語の冒頭に突然描かれている。

すごい。これ、どう読むんだろう?子どもの頃からずっと気になっています。アクセントは?区切りは?強い風が吹くなら低い声で?


どっどど↘︎どど↗︎うど↘︎どど↗︎うど↘︎どど↗︎↘︎
どっどど/どどうど/どどうど/どどう
どっ/どど/どどう/どどどう/どどどう
(ここ、どう読んでいますか?)


駒形克己さんの絵本『ごぶごぶ ごぼごぼ』は不思議な擬音で描かれています。
ぷくぷくぷくなどのオノマトペが出てくるのですが、これ実はお母さんのお腹の中にいる時に赤ちゃんが聞いていた音らしいのです。

なるほど!と、聞いたことのないオノマトペなのにすごい説得力があります。

オノマトペの魅力は何だろう?と改めて考えました。耳に訴えかける情景とか。共通の感覚を持てる擬音だとか。色々あると思います。

そしてもう一つ、すごく人間ぽい。聞いたことのないオノマトペも、想像できちゃうんです。

文字が、
音になって、
音が映像になる。


ーーじゃあ、AIは?

ある人が言っていました。
「論文や資料書かせるなら、新入社員よりAIの方が役にたつ」「webライターの仕事は将来AIが代わりになる」

でも、それじゃあ物書きの未来はなくなってしまう。

そこで私はAIにオノマトペは書けるのか、試してみることにしました。

【これから楽しい読書の時間が始まる。ほんの少しの罪悪感と、特別な時間に胸が高鳴る】
を試したら
🤖「ワクワクと興奮が胸の奥底に広がります!心躍るドキドキ感が…」
と出てきました。


ワクワク、ドキドキ。
それが君(AI)の考える、無数のweb情報から拾ってきたデータによって導き出されたちょうどいい表現なんだね。

でも、全然違う。
あの時の私はトキトキしていた。
このオノマトペはあの日あの時その場で感じた、私にしか書けない音。


赤ちゃんが離乳食を食べるシーンも試してみました。

やっぱりオノマトペは出てきませんでした。
ぱぷんどころか、パクンもでてこない。


AIにオノマトペは作れない

もしもAIに胸が高鳴る様子を聞いたとしても
🤖「ワタシニハ心ガアリマセン。ドキドキ、ト、トキトキ、ノ違イガ分カリマセン。」と答えるでしょう。

どんなに技術が進んでも、人にしか書けないものがある。
人にしか表現できない音がある。

それだけでも、人が文章を書く意味がある、と確信しています。

オノマトペを使う。
新しいオノマトペを作る。
新しいのに伝わるオノマトペで文章を彩る。

それは私のスタイルであり、人間らしさの象徴でもあります。



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