3分講談「飛騨の匠の祖・鞍作止利」
時は飛鳥時代。聖徳太子が活躍した頃のお話です。飛騨高山に、ある百姓の夫婦がおりました。夫は古麻呂、妻は石女と申しまして、二人の間には「志乃」という一人娘がおりました。ところがこの娘、あまり器量がよくないということが災いをいたしまして、二五歳になっても嫁のもらい手がございません。まあ当時は二〇歳を過ぎると年増、四〇でおばあさん、五〇を過ぎると男になる、と言われた時代ですから、二親もたいそう心配をしておりまして、毎日毎日気が晴れない。そんな両親を見て、志乃も心を痛めておりました。