マガジンのカバー画像

小説系文章+小話的な記事も

8
小説系の文章をまとめています。私は掌編作品が多め。時々小説の1エピソードだけ書くかも?裏方系のメイキング記事を載せるときも。
運営しているクリエイター

記事一覧

【読書】連休中の読書(アナログ本)。

療養中なので連休関係ないのですが、まあ家族が休みなので連休モードになってます。Kindle Unl…

【掌編小説】変わらないもの。

――ぱしゃり。 スマホのカメラアプリの音が、人気の無い朝の空気の中に響き渡る。 毎日ではな…

【掌編小説】家路のコーヒー。

……ゴン、ガシャン。 そんな音を立てて、「あたたかい」コーヒーが自動販売機の取り出し口に…

【掌編小説】夜に棲む日々

追記・2023/12/22 5:57一部書き直ししました。 月を大きな雲が包み隠そうとしていた。久しぶ…

【掌編小説】ガス灯

ガス灯の下ほど煙草が似合うものはない、と何となく思っている。 電灯とは違い、そのランプが…

AIとの相性ってやつ(『【掌編小説】タバコ吸い島』裏話的な)

視覚能力と言語能力というものがありますが、どうも私は言語情報のほうが理解しやすいタイプの…

【掌編小説】タバコ吸い島

雲の中を泳ぐようにして島が進んでいた。人工島に斥力装置をとりつけ、同時に大きなプロペラを回して進む浮遊島というやつである。島は非常に小ぶりなものであった、が。 浮遊島というものは限られた人間しか持てないものだ。それこそ一部の富を所有した人間のみが持つものだ。 ぷかあ、とドーナツ型の雲がうかんだ。 島に建てられた家の中に一人の男がいた。その男が家の中でタバコを吸っていたのである。家族も、使用人といったものもおらず、本当に一人である。少なくとも浮遊島を持つほどの人間ならば、

【掌編小説】タバコ

ふっと空気が灰色にくすんだ。 とはいえ、ここは寺町。普段から香といった煙のたぐいで町の空…