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(中) バックパッカー料理人 第3便

**再会...

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最上のチーズ カステルマーニョ・ダルペッジョのニョッキを最高の景色のなか味わい、山を下り向かった先は、ピエモンテだけじゃないイタリアで外せないワイン、バローロとバルバレスコのワイナリー。
案内してくれた方と仲のいいワイナリーへ時間がすぎているにも関わらずご案内してくださった。

標高差の激しいピエモンテは普通に過ごしているだけで体力を使うけれども、空気が澄んでいるからかさほど疲れない。
透明度の高い空気は肺から爪先、頭のてっぺんとスゥーと入ってくる。

欧米を歩いていると、アートが身近に常にある。それは、地下鉄の落書きからバンクシー、モニュメント、ちょっとした格子にかかっている花瓶さえも。そう、普段の通勤の通路でさえ感性を豊かにしてくれる。
料理以外で街歩きの楽しみ。

案内してくれた方が昔務めていたというミシュラン1星のレストランにて最後の食事を楽しんだ。
もちろん極上の白トリュフとバローロもいただいた。

白トリュフには、北イタリア定番のパスタであるタヤリンと。
妖艶な香りは時を忘れさせ酔わせてくれる。
有難うございます。
ご馳走様でした。

楽しい食事を終え、いつも通り眩しい朝日がアルコールがまわった身体に染みる。さぁて、どこに行こう。
相変わらず、レストランの予約と研修以外に予定は決まっていない。
本場イタリアでイタリア料理も学んでみたい。そういう気持ちが急にこみ上げてきた。
かといって、イタリアでシェフをやってる友人のお店は南の方ばかり、次の目的地である北イタリアのマントヴァにあるミシュラン3星のレストラン、ダル・ペスカトーレへ近づく方向で進みたい、友達との約束にはよく遅れるけど、予約したレストランに遅れるなんて万が一にも絶対あってはいけない。
そうだ。ボローニャへ行こう
数年前、夜道に放り出されていた僕を助けてくれた上に食事まで振る舞ってくれたあのおっちゃんに会いに行こう。なんなら働かせてくれるかもしれない。
トリノで1泊し、ボローニャへ向かった。
1泊だけのトリノでは珍しく早起きし、朝市で食材を眺め、市場でランチを買い列車の中で頬張った。

5年ぶりのボローニャ、驚かしてみようと連絡も何もしないできてしまった。
https://note.com/samuraicuisinier/n/n8770e60b94a8?magazine_key=mc4647e4fe332うーん... いざ来てみると不安になってくる。覚えてているだろうか...
不安が喉元まで上がって来ているけど、もう店の前まで着いてしまった。
昼ごろのボローニャは観光客であふれ、5年前初めてフラフラと歩いていた深夜1時過ぎの景色とも空気とも全く違った。
ランチのオープン準備に勤しんでいる店員さんにオーナーはいるかと聞いてみる。
うん、英語が通じない(笑)
オーナーの名前がエマニュエルということは覚えていたので、エマニュエル?と何度か聞き返すと「〜〜notte〜」と... 夜にはくるのかなと、お礼を伝えディナーの時間に行きなおすことに。
それまで、ある意味初めて歩くボローニャの街をふらつき、至る所にあるサルメリアというサラミや生ハムなどの肉の加工品専門店で食べまくる。

サルメリアにはお肉だけでなく、いろんな惣菜も置いてあるとこが多い。
イタリアでは〜メリアという形で様々な専門店がある。ジェラッテリアはジェラート専門店、トラットリアは食堂といったように。
ボローニャといえば、モルタデッラ(ボローニャソーセージ)というピンク色の柔らかいソーセージが特産で、僕も大好きな一品だ。
サルメリアは街中いたるとこにあるけれども、本当に美味しいお店は数少ない。
それは、レストランも同じでボローニャ伝統料理を出すお店というのは今では絶滅危惧種のように無くなってきているという。
もともと北イタリアにはピザの文化はなく、手打ちのパスタが主であった。リゾットはボローニャよりさらに北の文化。
ボローニャは、誰もが知っているボロネーゼラザーニャ、トルテッリ・イン・ブロードといった生パスタ文化。でも、この街に住む若者たちや観光客が望むのはピザ...ピザ...ピザ...
僕が、これから5年ぶりに会うエマニュエルのお店、ドロッゲリア・デラ・ロッサはボローニャ伝統料理をリーズナブルな価格で何十年もやられている老舗。
食材は、ボローニャ郊外にある市場とオーガニックの農家さんに週2回仕入れに行っている。

...数時間後、一休みしてお店へ向かうと、以前と変わらずテーブルについてお客さんと楽しそうに飲んでいるエマニュエルが。
覚えているだろうか... ドキドキしながら様子を伺い、話の間が空いた瞬間を狙い声をかけに行く。
「ボナセーラ、エマニュエル!」
すると、10秒ほどこっちを見たと思ったら、メガネの奥の目が大きく開き「ohhh! n.. Naoto!」と名前も覚えていてくれていた。
エマニュエルも英語は喋れないんだけれど、一緒にご飯を食べていた(エマニュエルが口説いていた?)お客さんは、アイルランドから1人旅行している女性で通訳してくれ3人で夜中まで盛り上がった。
たくさん食べ、飲んでお会計を伝えるとエマニュエルが一言
「言っただろ、ナオトにはここでは永久にご馳走するって」
開いた口が塞がらない。感謝を伝え、その流れのまま厚かましくも、明日から厨房でボローニャの料理を学びたいと告げる。お金はいらない(ビザもないし)、ただ自らの舌が認めた本物のイタリア料理を学びたかった。
エマニュエルは即答でOKの返事をくれた。OKというよりOf courceに近かった。

明日から、言葉の通じないボローニャ伝統料理の食堂での修行がはじまる...

To be continued...

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