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CIA Vol.3

下っ端時代の大切さ、意味...

プロとして、料理=仕事に関しては、古いと思われるかもしれないが根性論で生きている

The NoMadで始まったインターンの日々
メルティングポットと呼ばれるように、様々な人種が入り混じった、ここニューヨークでは日本人も珍しくない。

料理は特別な日を除き、アラカルトのみ。
全体で約150席ほどあり、ホテルのルームサービスと並行しながらランチは約550人、ディナーは約450人と毎日1000人ほどのお客様を迎える大箱のレストランだ

1日の売り上げが¥1000万を越す日もある、日本では考えられない規模のレストラン

スタッフの数も相応にかなり多い。
それだけの人数のスタッフとお客様を迎えるが、妥協は許さないシェフ軍団
オープン当初は本当に美味しかった。
温度感も、精密なクオリティ・スピードと流れるようにスムーズでいて素晴らしかった。

スタッフの管理もオーガナイズされている

The NoMad シフト
AMチーム(全体の仕込み〜ランチ営業・ルームサービス➡︎掃除➡︎まかない➡︎掃除➡︎ディナーの仕込み・発注)
PMチーム(ディナーの仕込み➡︎ディナー営業➡︎大掃除➡︎発注)

僕はAMチームへと配属された

今では、余程でかいレストランかホテルくらいしか大きく分けられてはいないが、キッチンにはエスコフィエというフランス料理の偉人が構築したブリゲード(Brigade de Cuisine)といわれるシステムがある。
要するに一般的な会社と同じ、各所属する部署毎の階級と称号だ

The NoMadは、数多くきっちり部署が分けられている

Executive chef (Abram) - Chef Patissier (Mark) > Executive sous-chef (Chris) > Sous-chefs (5人)

Chef de partie - Viande (肉) > Poisson (魚) > Entremetier (ガルニ [付け合わせ]・野菜料理・温前菜) > Garde manger (冷前菜)

Patissier (デザート・パン)

そして、肉以外の各部門にはCommisと呼ばれるスタッフがつく

僕はAMチームのガルドマンジェのコミとして始まった

毎朝の日課として与えられた最初の仕事は アイスバス(氷風呂)の用意 大量の出汁などを冷やすためのキングサイズのベッド1.5個ほどの大きさのプールを氷で埋め尽くすところから始まる。
筋力に自信のない僕は、最初の数週間は1人で氷を持ち運び(引きずり)、プールへ大量の氷を移すのも大変だった...
埋め尽くすには7〜8往復しなければならず、15分ほどかかっていた

今の時代ならではで怒られるかもしれないが、優しく受け取ってください(笑)
アイスバスの支度が終わり、持ち場へ行くとAMチームを担当していたスーシェフのオースティン↓

2017年12/29 築地にて

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から、「マグロをドン!」
マグロを柵どりしといてっと頼まれた...
「日本人だからできるだろう?」っと...
鮨屋じゃあるまいし、マグロの柵どりなんかした事なんてあるわけない...
しかし、ここで「できない‼︎」なんて言えるわけがないだろう、そうだろう?

軽快に「Oui Chef!」と返事をし、取り敢えずトイレへ行くふりしてロッカーへ...(笑)
キッチン内は携帯禁止のEMPグループ
YouTubeを開き...マグロ解体...柵どり...方法...💡💡💡

キレイにマグロを柵どりし終えた(笑)後、初めて前菜のソース数種や仕込みを色々教えていただき、自分の仕事を会得していった

お客様へ提供する料理の味に触れる仕事をするのは、この時が初めてだった...
僕がお客様へ出す料理の味を決める... どれほどの感激だっただろうか...
手が震えるほど嬉しかった。
シェフに後でチェックしてもらうにしても、自分が味をつけたものがお金を支払ったお客様の口へ届くということ。
その重みと嬉しさ。

今の時代、調理師学校卒業してレストランへ就職するも、当然の事だが街場で待ち受けているのは少なくはなったみたいだが、洗い物と下働き、そして怒られる毎日。
そこに嫌気が差してしまう事もあるだろう。

SNSのお陰で世界が身近になったのは素晴らしい事だと思うが、自分の料理を作りたいという気持ちだけが先行して、「基本」をスキップしてある意味簡単にやりたい事を披露できる環境。

その行動力は素晴らしいと思う。
けれども、ちゃんと考えてほしいとも思う。
「本当にそれでいいのか」

50代後半や70代となってから20歳くらいの時と同じ身体能力で、学ぶこと、働く事はできない。

教えてもらえる尊しさ。
過酷な環境での経験からでしか生まれない想像力、実力。

お金を頂くことの重さ。
「楽」から生まれた楽しさはプロの仕事ではない。

(あくまで、個人的意見)
料理人を「プロ」ではなく、「趣味」としてやる人間は利益をとるべきではないと思う。

それは、尊敬と感謝からの思いです。

洗い場や掃除、下処理、納品、雑用などをあまり意味がないと話をここ数年よく耳にする。
確かに、単純に料理をつくるという意味での技術へ直接的には繋がらないかもしれない。
でも、そういった下仕事は料理をする上で必要な心構えや礼儀、態度、気(心)遣い、忍耐、そして全てに対する感謝を養うために必須な時間だと思う。

食材、器、人、調理道具、料理に関わる全てのことへ気遣えない人間が、どうやってお客様を気(心)遣うことなんてできようか...

料理をつくれるという環境に僕は感動した。

この瞬間、僕は料理人という仕事が大好きになった


To be continued... 


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