全部自分が悪いのに、受け容れられない

自業自得の果てに、味のしない辛酸を舐めている人間が此処にいる。

だらしのない体型と醜い器量、中身の少ない頭と立ち行かない対人能力。
ろくに書くものも見当たらない経歴、光るものは何も思いつかない自己PR。

視力が落ちたから購入した黒縁の眼鏡、何かに怯えて俯く視線、セクシーさの欠片も無い厚いだけの唇、何故だか洗髪料だけはこだわってしまう伸ばしっぱなしの黒髪。
矯正の機会が訪れないままの歯並び。にきび跡と色素沈着のタトゥーで埋まった浅黒い肌。

学舎から逃げ、研鑽から逃げ、レールを外れて転がり落ちて、誰がどうみても錆びついている怨み辛みに縋り付き、後ろめたい思いを抱えたまま、精神科に通い続ける。

思い出したくもないのに考えるのをやめられないこと。
思い出さなくてはならないのに逸らすのをやめられない現実。
泣きべそを隠して、三徳包丁を購入したあの夜から六年。
日付の古い遺書。一念発起して用意した、荷造りの途中で埃を被った段ボール。

勇気を貰ったアイドルソング。おもちゃのタロットカード。
ハローワークに持って行った、顔写真付きの証明書。

私は一体ここで何を腐っているのだろうか。

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