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知的障害者が文字盤を指差して話すやつは本物なのか?

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話せない知的障害者が文字盤を指差して話すファシリテイテッド・コミュニケーション(FC)の話です。
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東田直樹氏が文字盤で話す理由 その1

我が家の中学生の長男は、いわゆる「重度自閉症」です。 NHKのシリーズで有名な東田直樹氏の著書、「自閉症の僕が跳びはねる理由」に書かれている自閉症の症状をかなり網羅しているタイプです。 サムネイルの写真の文字盤は私が作ったものです。 実験したんです。自分の息子で。本まで買ってやったんです。もちろんその前に、PECS、AAC、筆談、タイピング、手話、発語以外の手法も色々試しています。我が家は米国住まいで、こちらの情報収集にも長けています。直接、関係者や専門家にも質問していま

東田直樹氏が文字盤で話す理由 その2

前回 検索してみてください。 常に母親が右側にいるんです。 NHKのシリーズではいつもダイニングテーブルに座ります。 そんでインタビューする人はなぜか対面席。 講演でもそうです。 必ず膝元が隠れるテーブルを使っています。 そして母親の左手はテーブルの下にあります。 これなんか肘触ってますね。そして文字盤拡大で観衆の意識をスクリーンに持っていくと。ちなみに理事長は結構ツッコミ入れています。 この角川のサイト、精神科医の山登敬之先生との対談も同じスタイルです。 これなん

東田直樹氏が文字盤で話す理由 その3

前の記事で WRETCHES & JABBERERS という2011年のFC映画に東田直樹氏が出ているという話をしました。 プロデューサー:Douglas Biklen (ダグラス・ビクレン) ディレクター:Gerardine Wurzburg (ジェラルディン・ウォルツバーグ) となっております。 ディレクターのウォルツバーグ氏は、1992年に「Educating Peter」という小学3年生のダウン症の子がインクルーシブ教育で成長して行くドキュメンタリーでオスカーを

東田直樹氏が文字盤で話す理由 その4

前回は彼の言葉は介助者が作っているものであるという話をしました。がっつり疑似科学と認知されているファシリテイテッド・コミュニケーション(FC)なんです。 そして米国にFCを持ち込んだダグラス・ビクレン氏とのつながりが深い事も書きました。グーグルで「ダグラス・ビクレン」で検索してみてください。すぐにこれが出てきます。 東田直樹さんの著書「自閉症の僕が跳びはねる理由」を最初に出版したエスコアール社のサイトです。 ダグラス・ビクレン&東田直樹 ジョイント講演会/フォーラム

東田直樹氏が文字盤で話す理由 その5

どうでしょう?ここまででも、だいぶ真実に迫ってきたと思いませんか? まだまだです。私はそんじょそこらのFC批判者ではありません。なぜなら重度自閉症児の親だからです。そう…「あの感覚」を知っているからです。 前回、 こんなキーワードが出てきましたね。 「動作法」「表出援助法」「抱っこ法」「筆談援助法」 広島大学学術情報リポジトリにあるこの文献、実はこういった手法を支持する側の見解で、FCの状況をよくまとめてあります。 Facilitated Communication

東田直樹氏が文字盤で話す理由 その6

さてと。前回書いた「あの感覚」の話を致しましょう。 たぶん知的障がい者と心を通わせた経験がある人はドキッとしたんじゃないでしょうか? あれの事です。あの頼られる感じ。寄っかかられる感じ。 ➤ 逃げる   付き合う さあ!あなたはどうする!? ちなみに私はいわゆる「お世話係」でした。 背の順で1番前でオール5の女子ですからね。あるあるです。   逃げる(先生に嫌われる) ➤ 付き合う(先生に好かれる) そしたら、クラスの意地悪な奴らに「お前もひまわり学級だったのか

東田直樹氏が文字盤で話す理由 最終回

前回は、自閉症以外のケースの共通点と私の個人的な経験に基づいた見解を書きました。 そこから考えたのは、 最近流行りの文字盤系FCは、コックリさん+プロンプト(促し)+クレーン現象じゃないかと。 でもこのクレーン現象の部分が解りにくいかと思うので、まず説明します。 クレーン現象と言うと、他人の手を持ってやってもらうイメージになると思いますが、私の経験からすると「亜種」みたいなのがあるんですよ。手に限らないんです。 伝わりますでしょうか? こういう感じになりやすいんです

東田直樹氏が文字盤で話す理由 その7

前回、 知的障がい者と一緒にいれば、本気で頼ってくる現象を受け止めなければいけなくなるという話をしました。 あ。別に知的障がい者だけでは無いですよね。 誰だって自分でできないところは人に頼りますもの。ただ知的障がい者の場合はその割合が大きい。それだけの事です。 その中でも自閉症の場合は、頼り方も独特になりがちです。私はこれがFCに対する誤解の原因だろうと考えています。 皆さんは「クレーン現象」って聞いた事がありますでしょうか? 自閉症の症状として知られていますが、言葉

ファシリテイテッド・コミュニケーション(FC)を見破るシリーズ その1

会話をする事が困難な知的障がい者に、介助者がつくと、マジックのように話ができてしまうFC。日本では東田直樹さんが有名ですよね。 彼の映像はNHKだったりするので、ここに貼れませんが、「お母さんの声だ」という設定で観察していれば、皆さんも「あれ?」と気が付かれる事でしょう。彼が書いたとされる出版、投稿文、ブログも何も証拠がありません。いかにも自身で書いている風の写真なんかが付けられたりはしていますが、講演会でもインタビューでも必ず母親が右隣りにいます。講演会のテーブルの前面は

ファシリテイテッド・コミュニケーション(FC)を見破るシリーズ その2

今回は有名な方です。イド・ケダーさん。私はブログも読み、本も2冊とも買いました。完全に信じていま… まあまずは見てください。 どうでしょうか? タイピングが始まると同時に、斜めのお決まりの体勢になり、目をそらさず画面を見つめます。これはこの手のFCに良く見られるパターンです。 ん?手もなにかやっている気が。よーく見てみましょう。 私はこう見ました。彼は、4つの入力予測が出るアプリを使っています。そして手でそのターゲットになるワードを指示しているんじゃないかと。 だい

ファシリテイテッド・コミュニケーション(FC)を見破るシリーズ その3

さて。とうとう大御所にツッコみましょう。 ファシリテイテッドコミュニケーション(FC)が90年代に完全に疑似科学認定された後、なぜ2000年代になって復活してしまったのか? それはソマさんとティトさんの登場なんです。インド出身の親子ですが、カリフォルニアの「自閉症は治る」系団体の手引きでどうやら米国に来て、主要メディアで取り上げられてしまったんで、再び火が着いたんです。 前回のイドさんも、ここの弟子です。 マジでね。私はトランプ大嫌いだけれど、日米のメディアのクソさに