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肌を青色に塗って、歌う夢

夢カテゴリー:変身夢


どうしても美容院に行けない

年末に、やっぱり美容院が苦手なんだ、と思った。
人が後ろに立つところ、お互いあたりさわりない話してるよねって、わかり合っているところ。でも髪がちょっとだけ伸びるのも苦手だった。
美容院を予約しようとして一ヶ月経った。ホットペッパービューティーを開いては閉じていた。髪も一ヶ月分伸びた。

苦手なことがあると、初めから終わりまでシミュレーションするクセがある。ちょっと人と話す用があると、面接みたいに暗記してしまう。面接でも暗記はしない方がいいみたい。

大通りを歩いていて石原さとみを見つけた。すき家の壁に大きな広告が貼ってあった。スプーンをくわえてほかほかのチキンカレーを食べている写真。ショートカットだった。私もショートカットにしようと決めた。

シミュレーションが膨らんでしまい、とうとう美容院を予約できなかった。
彼氏が見かねて、私の髪を家で切ることにした。私は感覚過敏があるから首の周りを髪がヒョロヒョロ落ちるたびに叫んだ。肩はガチガチ。やっとの思いでショートカットになった。やっぱり石原さとみになるのは簡単なことではない。


美容院に行けないと、肌が青くなる夢を見る

その日見た夢では、音楽イベントが開かれていた。
どんなイベントだろうとのぞいたら、自分が出る方だった。まだリハーサルをしていて、一緒に出るグループの人たちに手招きされ、私は舞台裏に入った。
舞台裏には出演者全員が集まっていた。主催者がセットリストを読み上げて、みんな出番を確認している。
私のグループは4人組で、私の他にパトリシア、タニア、ジェシカがいた。
パトリシアは最年長でリーダー、長身で細身の女性。タニアはふくよかで快活、面倒見の良い女性。ジェシカはバービー人形に似た、最年少の女性だ。
私を手招いて、いそいそとタイムテーブルを教えてくれるのはタニアだった。大事な段取りや時間の話をしていても、ジェシカはほとんど人の話を聞かない。

打ち合わせが終わり本番が始まった。私はとても急いでいた。
会場の裏にある小部屋へ移動し、髪を整えてきれいな服に着替えた。私の髪は黒くてサラサラのショートボブだった。
インタビュアーが部屋に入ってくる。丁寧に挨拶をしてから二人で椅子にかける。

インタビューの企画書には「石原さとみのライフスタイルについて」などと書かれている。私はどうやら代役として派遣されたようだ。石原さとみさんの代わりに暮らしの中で気遣っていることについて話し、後ろ姿のみカメラに収められる、変わった仕事だった。

インタビューが終わると飛び上がって会場へ戻った。
タニアがこちらへ向かって、洗濯乾燥機ぐらい手をブンブンはためかせている。驚いたのはその手が真っ青だったことだ。焦った顔を見上げてもやはり青かった。顔色が悪いのではなく、青いペンキか何かで全身を塗っていた。
青いスパンコールのドレスを着て、青いカーリーヘアのウィッグを被っている。その姿がとても美しかった。

パトリシアもすぐ後ろにいて、遅れてジェシカも現れた。みんな真っ青でキラキラしている。三人揃うと『ドリームガールズ』みたいだ。まだ青くなっていない私を見てみんなが焦り始めた。
私は空になった小部屋に戻り、ドレスの着方も肌の塗り方も、スマホで検索している段階だった。私たちの出番は目の前だけど、いったい何を歌うのだろうと私の頭は考えていた。


ついに美容院へ行く

今日半年ぶりに美容院へ行けた。
シミュレーションではすごく緊張していたけど、生身の美容師さんと話すのはとてもたのしい、穏やかな時間だった。
彼氏とは同じ美容院に通っている。それをずっと美容師さんに言えなくて、今日ついに話した。何だか打ち解けてとっても話しやすくなった。
自分から心を開くのは気持ちのいいことだった。


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