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大人の修学旅行。第六話

2023シーズン、第3戦。

今年も早いもので残り2ヶ月となりました。最寄りのショッピングモールはハロウィーン翌日からWham!とThe Jackson FiveとPaul McCartney一色…流石に気早くないですか?きっと正月もこんな具合なんだろう。とはいえ今回の行き先を発表しますと、驚くなかれ「関西学院大学上ヶ原キャンパス」。アンタ、こないだも映画撮影で甲東園の坂上ってはったやん。御名答。

決してネタ切れでも、予算切れでもありません。長らく続いていたコロナ禍が(何やら水面下では再流行の兆し?との一報も出てますが…)ようやく明け、関西学院恒例「新月祭」シーズンとあいなりました。梶裕貴と神木隆之介のトークショーとかもあるらしい。今年のゲストライブは、あたらよらしい。イルミネーション点灯式が、どうやら今年のフィナーレを飾るらしい。

リモート授業の煽りを受け、沢山の部活動やサークルが廃部あるいは解散の憂き目に遭ったと訊きます。そんな中をどうにかこうにか逃げ仰たジャズ研の後輩達は、ひょっとするともう主宰と一回り以上も年齢が違う。果たしてどのくらいの活動規模で、どのジャンルの音楽を、どんな雰囲気で鳴らしているのだろう。彼らを一目見ようと、丁度10年前の卒業生が立ち上がった。

11月なのに、半袖でも汗だく。日曜日なのに、電車もバスも人がまばらで。正門をくぐった先には一体どんな景色が広がってんでしょうね、なんて思いながら午後1時過ぎ関学到着。あの空席は何だったんだと言わんばかりの人、人、人。在学中はサークルのライブ運営に付きっ切りでしたから、出店をゆっくり回ったり他団体のステージを観る余裕も正直あんまりなくって。

10年という歳月は、出店のトレンドまで変えてしまうもの。ベビーカステラや鉄板メニューを抑えて堂々の1位に輝いたのはまさかの「餃子屋さん」で。原価率とかそういう生々しい話は止めときましょうネ。とりあえず所狭しと立ち並ぶ白テントが見られただけでも、随分と心が洗われた気持ちがした。ただ在学中に比べ夕方に撤収を始めるお店も多かった。コロナ禍の名残か。

いかんせん昼にパスタを食い過ぎまして、フライドポテトもよう手が伸びん状態のまま人混みを掻き分けつつ一路文学部棟へ向かいます。第1教室、なる講義室にも全然聞き覚えがない。胸焼けし過ぎて建物の区別も付いてない。午後2時、明らかに聞き覚えのあるRoy Hargroveのメロディーがどこからか漏れてきた。音の方へ一目散に駆け上がるとそこはセッションの真っ只中。

当然、知っている顔はいない。それなのに、なぜか懐かしい気持ちがする。いつもの景色に戻ってきただけみたいな、そんな感触。全然変わってない。あの時の匂い、温度、空気感そのままでした。シフト制を敷いたはずが定刻を過ぎても司会役がやって来なかったり、マイクの設定音量も合っているんだか間違っているんだか。本当に、全然変わってない。いつものジャズ研。

ただ、明確に10年という時間の流れを感じさせられた瞬間もあって。それは個々のバンドコンセプトと演奏曲目。DOMi & JD BECKのコピー、サックスとドラムのデュオ、あるいは7拍子のスタンダードリハモ。荒削りだけど意欲的、人見知りだけど冒険好き、といった風合いがさらに輝きを増したそんな印象。心なしか皆、幼く見えた。無邪気な子ども達の園庭遊びのような。

演奏メンバーに熱い視線を送り続けてみたところ、それに気付いたいかにも人懐っこいストライプシャツの男の子が終演後話し掛けに来てくれました。現在60人くらいが在籍していて、顔馴染みのOBも数名出入りしているそう。本日のメンバーは2回生が中心だったんだそうで、若いなあ、まだ大学生活が半分残ってるんだなあと感慨に浸る。彼の吹き姿にはJoel Frahmを感じた。

「Evidence」をドラムとデュオで演ってみようというのはどちらのアイデアだったの?なんて小難しい質問を投げ掛けると、彼は潤んだ瞳でこう応えてくれました。「セッションでご一緒した馬場智章さんの助言です。ミニマムな編成でこそサックスの真価が問われる」しかも一切、淀むことなく。本当に彼、良い顔してました。素晴らしい後輩に恵まれました。来て良かった。

プロジェクションマッピングを駆使したイルミネーション点灯式も、圧巻。在学中に一度、演者としてお手伝いさせてもらったことを思い出しました。「星に願いを」とか演奏してましたねえ。主宰の安物スマホでは、光の世界を優雅に収めることは叶いませんでした世知辛ぇ…関学さん、これから年末にかけてイベント目白押しです。例えばクリスマスツリー点灯式だとか。

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