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読書メモ

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図書館で選び出し 気の向くままに読み進める本に思う事を、取り留めなく 書き並べてみよう、と思います。  岩佐光
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読書メモ6 リフキンを読むに当たって

読書メモ6 リフキンを読むに当たって

ここでまとめて私見を述べておく。
①リフキンを読むに当たり、これからを考えるに当たり、進もうとする時の出発点を考え直す必要がある。

②世界観、宇宙観の拠り所、権威は、「長老」から、「宗教」へ、「宗教」から「哲学」へ、「哲学」から「科学」へと、移行してきた、と考える。

③現状の出発点は、デカルトに発する分析理性だと思う。個の独立、理性の優位、自由意志...(勿論日本人として、東洋的感性、全体観な

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読書メモ5 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 第一章

読書メモ5 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 第一章

半導体不足。パンデミック。
アダム・スミス「見えざる手」の「予定調和」が、綻びを見せる。

「アメリカのビジネス思考を支配してきた、効率の飽くなき追求のせいで、グローバルな経済システムが衝撃に対して脆弱になっているのだとしたらどうだろう?」(p.27ウィリアム•ガルストン元米大統領ブレーン)

「効率が向上するにつれ、レジリエンスが低下した」(同)

「アダム・スミス以来、ビジネス思想家たちは、無

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読書メモ4 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 序

読書メモ4 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 序

人間の知性の、なんと素晴らしいことか?!

「人間の能力の向上には、いかなる限界も定められてはおらず(中略)人間の完成への道はあくまで果てしない(中略)完成に向けたこの進歩は、今後それを妨げようとする、あらゆる力による制御も及ばず、自然が私たちを配した地球の寿命以外に際限を知らない」
(p.9、byコンドルセ)

如何に素晴らしくとも、僅か200年でメッキが剥げる。

ヤハウェ神の約束「海の魚、空

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読書メモ3 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 総論

読書メモ3 レジリエンスの時代ジェレミー・リフキン著 総論

ほとんど反体制の究極理論を説きながら、現体制の中枢に食い込んでいるリフキン。
本書の顕しているものは、知性の素晴らしさとも言えるし、人間の究極の愚かさとも言える。

デカルトの愚かさ。
今から観れば、デカルトの愚かさはよく見える。
なぜかと言えば、私達には、デカルトに見えなかったものが、見えている。

見えているものを「全て」としてしまう事の愚かさ。それも、誰も見た事のない物を見る賢さゆえの。

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読書メモ2  ほどほどの資本主義は可能か?

読書メモ2 ほどほどの資本主義は可能か?

第2章 小川さやかさんの、

「手放すことで自己を打ち立てる」  
ータンザニアのインフォーマル経済における所有・贈与・人格

は、こころ をほっと落ち着かせてくれる。
決して 豊かでも無く、好ましい政治・社会環境でもなく、当事者が充分満足している訳でもない のかも知れない。けれどそこには、人間の温もりがある。

本文から引用すると、
「かくいう私(小川さん)も20年にわたる調査で、さまざまな人び

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読書メモ1  石頭を砕いてくれる本

読書メモ1 石頭を砕いてくれる本

「時間は存在しない」カルロ・ロヴェッリ著、冨永星訳 読書メモ

知らぬ間に 脳細胞のネットワークに降り積り、沈着した箍(たが)を心地よく 粉砕してくれる。

如何なる想念も それなりの写像として、世界を写しとっている。

堅牢に見える ニュートンの想念も、アインシュタインの想念も 及ぶ拡がりと粒度を超えては、妥当しない。

翻って 自由な脳細胞ネットワークの生み出すどんな想念にも 「一寸の虫にも五

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