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『ごんぎつね』の技法分析(0)

はじめに

前回の記事の追記で、ヒロなんとか氏の「物語の才能;面白いストーリーの作り方」(※)に沿った形で『ごんぎつね』の技法分析をした方が面白そうだ、と述べた。もっと言えば、彼が考察した物語の技法に私は魅了されたのだ。そして、私もまた様々な作品の技法を彼が考察した枠組みで鑑賞してみたいと強く願うようになった。そのためには、「物語の才能;面白いストーリーの作り方」をある種の聖典として丸呑みして、自分でその枠組みをそのままトレースしつつ作品の技法を分析するのが最短の道である。そして、そのことによってのみ、彼が示してくれた知識を正確に我がものとできるだろう。

今後書いていく「『ごんぎつね』の技法分析」シリーズは「物語の才能;面白いストーリーの作り方」で述べられたことを、そのまま『ごんぎつね』に適用しているだけである。その技法分析の理論的な枠組みはヒロなんとか氏のオリジナリティであって、私のものでは無い。もし、そこに感嘆する点を見出し称賛するとき、その称賛は私ではなくヒロなんとか氏に向けて欲しい。但し、当然ながら技法分析の理論的な枠組みの『ごんぎつね』への適用ミスの責任は私に帰する。

「『ごんぎつね』の技法分析」シリーズの読者の方は、『ごんぎつね』では如何なる技法が用いられてどんな効果を持っているのかとの分析を読むというより、「物語の才能;面白いストーリーの作り方」を学ぼうとしている私という学生の学習過程を見物する形になることを、はじめに断っておきたい。

「『ごんぎつね』の技法分析」に関する注意

「物語の才能;面白いストーリーの作り方」の本文において技法の説明をする際に具体的な作品を例に挙げている。映画の『ロッキー』『エイリアン』『風、スローダウン』『氷点』等、書籍の『アルジャーノンに花束を』等、芸人の鉄拳が作成した動画の「振り子」、昔話の『浦島太郎』『大きなかぶ』等のさまざまな作品が具体例として登場する。「『ごんぎつね』の技法分析」シリーズは、それらの具体例を全て『ごんぎつね』に置き換えて解説しているだけと言ってよい。

また「物語の才能;面白いストーリーの作り方」は、その題名から窺えるように作者の技法の考察である。すなわち、具体例として挙がった映画・書籍・動画などの読みは作者の視点の読みだけである。どのように作品をつくれば優れた作品ができるかとの考察であるから、作品は作者の意図によって支配されている認識が大前提である。したがってテクスト論が示すような様々な読みの可能性など考察の対象外である。

「『ごんぎつね』の技法分析」シリーズもまた、どのような意図をもって作品が作られているかを分析していくことになるので、読みは「作者の視点の読み」だけである。ただし、実際の作者である新美南吉の視点の読みなどではなく、『ごんぎつね』を読んで心を動かされた要素を物語の技法として回収し、そのような工夫を行った作者として再構築された私の想像上の作者像の視点での読みである。

そして、次節『ごんぎつね』の概略においては上記の作者が設定する、題材、主人公、ストーリー、テーマ等を述べていく。ただし、それは「物語の才能;面白いストーリーの作り方」を読んだ私の現時点での理解の範囲で、そう置くと面白くなるであろうと感じる私の独断で挙げている。それは文学の厳密な作家論や作品論から導き出されるものとは異なっている可能性は大いにある。このことは先の段落での「作者像の視点の読み」の話にも繋がっている。

以上の点を注意の上、「『ごんぎつね』の技法分析」を読まれたい。

『ごんぎつね』の概略

題材:イタズラ
主人公:一人ぼっちの狐のごん
ストーリー:イタズラをしたごんが撃ち殺される
テーマ:親友を得ること

※ ヒロなんとか「物語の才能;面白いストーリーの作り方」は以下

 


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