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心理学的ストレスモデル

 アメリカの心理学者であるLazarus, R.は「同じイベントを経験した人でも、疾患に罹る人もいれば、そうでない人もいる」という個人の差に注目した。Lazarus, R.は心理的ストレスを「ある個人の資源に重荷を負わせる、ないし資源を超えると評定された要求」と定義し、ストレスは個人が「評定」するものとしている。

 つまり、これまでのストレスモデルでは、人間は環境からの刺激に対して受け身的な存在として捉えられていたが、この心理学的ストレスモデルでは、人間と環境との関係には相互作用があり、人間からも環境に対して能動的な働きかけを行い、環境との関係を変容させることができると考えた。

 このモデルにおいて重要なのは「認知的評価」と「コーピング」である。

 認知的評価とは、一次的評価と二次的評価に分かれる。この一次、二次の区別には時間的順序性はないものとされている。一時的評価とは、状況が個人の信念・価値・目標などに取り、脅威であるかどうかという評価である。一方、二次的評価とは、脅威と評価される事態において、「どのような対処が可能であり、それはどのような結果をもたらすのか」「その対処をうまく実行できるのか」という評価である。

 コーピングとは、Lazarus, R.によると「個人の資源に負荷を与える、あるいは、その資源を超えると評定された外的・内的要請を処理するために行う認知的・行動的努力」としている。このコーピングの仕方によって環境刺激に対する評定が変化すると言われている。

 このコーピングは大きく問題焦点型(問題そのものの解決を目指す)、情動焦点型(問題によって生じた情動反応の低減を目指す)の二つに分けられる。そして、それぞれ積極的と消極的なものが考えられ、四つに分類されるとしている。

 

 

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