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「依頼者様と事業者」二者間でおこるトラブル解決の極意とは?(2022年8月度MVPインタビュー)

さくら事務所 月間MVPとは

数多くの建築士が所属し、日々依頼者様のもとへ調査にお伺いしているさくら事務所。現場では調査業務とともに必ず、人と人とのやりとりが発生します。各インスペクターが目指すべき理想像をイメージしやすいよう、毎月、評価の高いアンケートを紹介・表彰し、情報共有の場としています。

ただし、今回のMVPはいつもと異なる方法で選出!依頼者様と事業者の二者間での意見をうまくとりまとめ、より良い落としどころを見つける必要がある「トラブル案件」について、特に目立った活躍されているインスペクターの方にスポットをあて選ばせていただきました!

8月の月間MVP 矢野 雅稔さん


年間で目立った活躍をしたインスペクターを称える自社表彰式
「P1グランプリ」にも選出されたベテランインスペクター

住宅リフォーム・紛争処理支援センターの相談件数データによると、住まいに関するお客様からのトラブル相談件数は年々増えており、さくら事務所においても、月間のトラブル関連のお問い合わせは毎月40件程度きています。そのような中、矢野さんは現状、毎月1件以上何かしらトラブル案件を対応されており、難しい事案について非常にうまく対応されているということが今回の選出の理由となりました。

トラブル案件の解決は容易ではありません。ただ施工者側に依頼者様の要望を伝えればいいという訳ではなく、トラブルが起こるまでの経緯を整理し、現実的な着地点を考慮して、二者間が対立することなく、うまくトラブルがまとまるようにコンサルティングすることが重要です。

<矢野さんのトラブル対応事例>
~注文住宅編~
石川県の案件。注文住宅を建てたが、結果的に雨漏りが発生している欠陥住宅だった。昨年3月完成の建物で、2階の洋室にいると音が「ポタポタ」聞こえてきたので、天井を開封し、覗いたら雨染みが4箇所あった。施工会社の説明では、雨漏りはないとの説明だったため、不信感につながった。

~木造2階建て一戸建てリフォーム編~
耐震補強工事を行った際に、後付けホールダウン金物(5箇所)の施工で心配なところが。接地している基礎表面を一部はつっていた関係で接地面が平滑でなく、ぐらついている。施工者は、コンクリートでうめるから大丈夫といっているが心配になりインスペクションをご利用された事案。

矢野 雅稔さんへのインタビュー

これまで非常に多くのトラブル案件を解決されてきた矢野さんですが、大よその流れが決まっている一般的な調査業務とは異なり、二者間の落としどころを見つけていく必要があるトラブル案件でのコンサルティングについて、現場で大事にされているポイントは何でしょうか?

まず依頼者様は、気持ちが高ぶっていることが当然多く、その困っている気持ちをぶつけてくることも多いんですね。なので、火に油を注ぐような会話の仕方をしてしまうと、話がいい形で着地しないので、まずは冷静に話をお伺いして、依頼者様が落ち着いて話をしてくれる状況にどう持っていくかということが非常に大事だと考えています。

話を聞く中で、原因がすぐに分からないこともあり、お話になっていることが事実なのか?感情的になっているがゆえの個人的な解釈なのか?など、話を伺う中で客観的な情報を自分なりに整理し、冷静に分析して、自分なりのトラブル解決の答えを導きだせるように意識しています。

なるほどですね。依頼者様からすれば、一顧客として、その施工状況に対してダメだ!とインスペクターの方にいって欲しいということだと思うのですが、そのあたりの折り合いは非常に難しそうですね。

そうですね、トラブルの原因らしきものが見つかるとすれば、施工の問題だったり、想定したことへの業者の配慮不足だったり..そういう状況をとにかく整理してお伝えすることが大事だと思います。あとは、原因がおそらく経年劣化に起因するようなものであれば、建物というものは、どうしても使えば痛むもの、という事実を表現を柔らかくして、うまく依頼者様にお伝えし、納得していただくかというところも大事だと思います。

一般的な調査の場合、冒頭に1日の流れを説明し、そのまま調査にはいると思いますが、トラブル案件の場合、現場に入るときに矢野さんが最初にやっている事などは何かありますか?

まずは、現場を見ながら事前に整理をした情報や状況資料以外に何か気になる点がないか?
などを注意して見て、両者が溜めている気持ちや考えを吐き出してもらいながら、あらためて状況を整理することに努めます。それができたら次の段階にいくということですね。

なるほどですね、ちなみにリフォームに関するトラブル案件の解決ポイントはいかがでしょうか?リフォームの場合、事前に依頼者様と事業者の間で取り決めた内容によって、最終的なトラブル解決の着地点が決定することが多く、その部分が曖昧になっていたケースでは、どのような着地点にするのか判断が難しいと思うのですが。

まずリフォームの場合、買取再販で業者がすでにリフォームした物件を、お客様が買うパターンと、物件購入後にリフォームする場合があるかと思いますが、確かにどちらにせよ工事がずさんだったり、契約が曖昧だったりという事は多く、着地点が難しいことが多いですよね。なので繰り返しにはなりますが、とにかく状況を冷静に分析して、話を聞く中でプロとして自分なりの着地点・答えをしっかり導き、両者に提案をしていくことが大事かなと考えています。

若干話が脱線しますが、このようなトラブル案件の現場に入るときには、自分の心の持ち方というのも、現場のピリついた雰囲気に飲まれないために大事だと思うのですが、そのあたりはいかがですか?

大事なことは、いかに冷静かつ客観的になれるかだと思いますね。やはり、私たちのコンサルティングやアドバイスというのは、さくら事務所の理念の軸でもある第三者性が重要です。誰の目から見ても「確かにそうだよね!」と、納得できるものである必要があるわけです。そのためには、変な言い方にはなりますが、あまりその状況に感情移入しすぎることなく、客観的に現場の状況を理解することが大事だと考えています。

ちなみにですが、今までの経験上トラブルになりやすい案件の特徴や、関わっている人のタイプなどがあったりはしますか?

そうですね...しいて言えばですが、依頼者様から事前にいただく要望の内容が、すこし神経質すぎるかな?と感じるような案件については、トラブルになる可能性が高いような気がします。

なるほど、そうなのですね。建物のプロであり、厳しい研修を乗り越えた数多くのホームインスペクター抱えるさくら事務所でも、やはりトラブル案件はハードルが高いことも多く、積極的に案件を受けられる人も多くない現状があるのですが、そのような方に矢野さんからぜひアドバイスがあればいただきたいです!

やはり、建物以外でも契約関係や管理に関するプロが揃っていることが、さくら事務所の強みだと思いますので、自分ひとりで解決出来なくても、サービス運営をする事業部のメンバーや、その他専門家の方に相談をすることが一番だと思います。現場に出てその場で解決ができなくても、一度話を持ち帰って相談をして解決策がでてくるケースは非常に多いので、そのような意識でいつも動いていますね。

ありがとうございます。では、少し違った観点での質問をさせてください。さくら事務所では、インスペクション普及の目的でTwitter運用をしているのですが、そこでよくあるのが、一般の方が「この施工おかしくないですか?」というツイートを画像とともにアップして、住まい手同士で「これおかしいよね?」「これは施工不良だね」などコメントしあうような事があり、かなりユーザーのリテラシーも高くなってきています(笑)。そのような中で、どこまで断定的な返信をするべきか?というのが、難しいところだといつも感じるのですが、このあたりはいかがですか?

不明瞭な情報の中で断定的なことが言えないことは多いですよね。その中でも、ある程度「可能性」の話については話ができることもあるのかなとは思うので、回答内容が絞られてしまうことはしょうがないとして、その情報から考えられるベストな可能性の話について、プロの目線で回答できればいいですよね。

ありがとうございました。最後に、趣味といいますか、頭がおかしいくらいこれが好き!という事があればぜひ教えていただきたいのですが(笑)。ぜひ、矢野さんの人となりを深く理解するのに役立てたいと考えています!

趣味は音楽ですかね(笑)。最近はコロナも落ち着きましたし、東京だと色々liveを見れる場所がありますからね、自分ではやらないのですが色んなジャンルを聞きますよ。

矢野さん、この度はインタビューありがとうございました!

今回のMVPインタビューでは、いつもとは違う観点ということでトラブル案件の対応ポイントについて矢野さんにお話をお伺いしました。さくら事務所の理念のポイントでもある徹底した第三性・中立性をしっかり守りながら、二者間におけるちょうどいい着地点を見つけるために、いかに冷静に状況を整理し、両者に配慮しながら解決の糸口を見つける工夫や努力が大事かが伝わってきました!来月以降のMVP紹介も是非お楽しみに。

今後も、依頼者様、施工業者様、販売会社・売主様、当社自身にとっても「調査してよかった」「安心して住める」につながるストーリーをお届けしてまいります。

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