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自分の人生をあきらめないこと

昨日のお風呂掃除の後に、精神障害を持つあるアーティストの方の講演会に、夫と二人で参加してきた。

少し前から夫が独自に、精神障害(障害種別問わず)の自助団体に加盟し、双極症含む、他の精神障害を持つ当事者やご家族の方との交流や情報交換を始めていた。

夫は、双極症を持つ私の一番身近なパートナーだが、病状が悪化した際に、病院・私の家族以外に、どこにも頼れる機関がないことを危惧していた。

ノーチラス会(双極症の当事者・家族会)の会員にはなっているのだが、私の住んでいる地域での集まりは、基本的に当事者が主催者であるためということもあり年に数回しかなく、ノーチラス会の電話相談も週に2~3回ほどで短時間、非会員の方も受け付けている日は、電話がつながらないことが多い(基本的にお一人で対応されているため)。

何かあった時やそうじゃないときでも、気軽に相談ができ、自分一人で抱え込まないようにするために、色んな人とのネットワークを築いておこうという、夫のアイデアだ。

今回の講演会へは、夫が加入した団体に所属している、他の当事者家族の方からのお知らせで参加することになった。


公営施設の多目的室で行われた講演では、アーティスト(画家)の方の、これまでの、病気に振り回され苦しかった半生を語るお話、そのご家族の方の、どういう想いで家族の病気と向き合い、サポートしてきたのかという、貴重なお話が聴けた。

その方の絵は、どれも同じではなく様々な特色があるが、例えていうと「岡本太郎」さんのような、色とりどりでダイナミックでパワフルなイメージの絵が多い印象だ。
過去に個展も何度か開催されており、絵画コンペでも入選されるなど、これからの活躍が期待されているお方だった。

詳細は割愛させていただくのだが、私がお話を聞いていて心に刺さったのは、その方のお姉さんのお話だった。

ご本人が若くして病気を発症された頃に、お姉さまは、明らかに様子がおかしい、これは何か精神疾患的なものではないかといち早く気づかれ、インターネットからの情報収集や、SNS上の精神疾患の自助会グループへの参加などから、病気であると特定。ご本人の病院への入院や、その後の生活のサポートまで、本当に、「苦しんでいる家族を助けてあげたい」という必死な想いが、お姉さまのお話から伝わってきた。

ご本人が絵を描き始めたのも、家族からのアドバイスだったそうだ。

お姉さまのお話の中で、特に力強く語ってくださった以下の言葉が、特に胸に刺さった。

「病気があるからと言って、弟には人生を諦めてほしくないし、私自身も(支援する家族として)人生を諦めない。
本人には、病気はあるけれど、それが自分自身だと思ってもらいたくない(病気は彼の一部でしかない)。弟には、プライド(自尊心)を取り戻してもらいたいと思ってサポートしてきた。
病気であろうとも、やりたいことを諦めないでやってほしいし、私自身も、絶対にやりたいことはやるし、欲しいものは手に入れる。」


病気は違えど、ご本人のお話の中で共感する部分も多かったので、すでに半分泣いてしまっていたのだが、このお姉さんのお話を聞いた時に、我慢できずにボロボロ涙が出てきた。

私は、これまで病状が悪化するたびに、何度も何度も自分の人生を諦めてきた。苦しすぎて何度も死にたいと思ったし、死のうとしてきた。

もはや「天寿を全うできれば花丸」という気持ちで、日々過ごしている状況だったのだが(もちろんそれも悪くはない)、今回のお姉さんのお話を聴いて、本当に、勇気をもらえた。

私にも、小さいけれど夢がある。やりたいことも沢山ある。行きたいところも沢山あるし、欲しいものももちろんある。

「病気だから」「色々やり過ぎると、躁状態が悪化して、また鬱になっちゃうから。下手したら死んでしまうから」と、小さく小さく、自分を見えない檻の中に入れているような、そんな生き方になってしまっていたなぁと、気づかされた。
せっかく生かされているのに、すでに自分の人生を諦めていた。

双極症という病気はあれど、工夫次第で普通の生活は送れる(と言われている)し、多少波はあっても、健康な人と変わらない生活をしている人は実際にいる。まだ私は、その途上にいるだけだ。

病気だからと言って、夢ややりたいことを諦める必要がどこにあるのだろうか。だれがそんなこと言ったのだろうか。
ただ自分がそう思い込んでいるだけではないのか。


講演の終わりに、皆さんで握手会しましょうということで、ご本人と握手を交わしていた。
普段は滅多に泣かない夫が、ご本人に講演のお礼を伝えている時に、感極まって泣いていた。
私もボロボロ泣きながら、ご本人と握手を交わさせていただき、「お互い頑張っていきましょうね」とお話しできた。
隣にいたご本人のお母さまからは、「あきらめないでやっていきましょうね」と優しく声掛けいただいた。


これから大活躍していくアーティストの方なので、応援していきたい。
(ここでもご紹介したいのは山々なのだが、特定を避けるために割愛させていただきます)


一歩一歩、進んでいこう。マイペースでね。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。









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