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金曜夜にインスタントラーメンを食べていた彼にプロポーズをした。

彼はわたしの7歳上で、同じ会社の上司。
付き合って1年7ヶ月。同棲はしていない。

私「ただいま〜」

彼「――ズ、ズズズズーズルッ。グッグッ。…はぁ」

私「今日ラーメンなのね」

彼「うんめぇ〜(高音)」

私「足りるの?」

彼「うーん、まぁね。
 ――ズズッスーゴキュ。…っはぁ!」

その日友人と少しお高めの焼肉を食べたわたしは、ほくほくした気持ちで彼の家に帰った。時刻は22時過ぎ。

玄関を開けた瞬間香ばしい麺とごま油の匂いがした。もわっとほかっとした空気に包まれる。金曜の夜にインスタントラーメン1玉なのか…それでいいのか…いや、本人が良ければいいんだけどさ。ヒゲにラーメンの汁が付いている。30過ぎの男性がひとりインスタント麺をすする姿は、なんとも哀愁漂っていた。

その姿を見てなぜか瞬間的に愛おしさが爆発した。「あ、結婚したい。それをすぐ伝えたい」で脳内が埋まる。
ただ、今まで彼との間で結婚の話題が上がったことは一度もなく、ということは自分はまだ相応しくない相手だと思われている。でも今この感情だけは伝えてどうにか一歩でも前進したい…!

こうなったら居ても立ってもいられず友人に怒涛のメッセージを送る。

私「たった今好きが最高に爆発した!!今からプロポーズしようと思う!勇気ください!!」

――友人からはすぐさま返信と激励の嵐

友A「えっいきなり!?高まってるね!」
友B「この勢いは大切、逃すなよ」
友C「女から言うのかっこええやん」
友A,B,C「いっちゃえ!!!!」

一先ずお風呂に入り、冷ためのシャワーを長く浴び頭を落ち着かせた。上がってからは自分でテレビをつける。いたって日常であると思い込ませる。そうしながら彼がお風呂から上がるのを待った。こんなときに限って彼のお風呂時間は短い。

すぐさまほどよく気にならないBGM系番組にチャンネルを合わせた。今から人生初のプロポーズをしようとしてる…心臓が胸を突き破りそうなくらいバックンバックンしてる…。

髪を乾かした彼が横に座り、タバコを吸おうとしたところで、いざ。

私「わたしさ、結婚したいんだけど…どうすれば、できる…?

彼「……!?!?」

私「………………。」

彼「……俺とすればいいじゃん?

私「えっ…(そもそもあなたしかいないよ…)わたしと結婚してくれるの!?」

彼「うん、しよう」

私「今プロポーズしたのわかってるよね!?人生初なんだけど…!」

彼「うんわかってるよw俺も初めてプロポーズされた」

という感じで、自信の無さと不安と緊張で相談ベースのプロポーズ(?)になってしまった。正直すぐにOKされるとは思ってなくて、「自分には結婚相手として何の要素が足りないか?どうすればあなたに選んでもらえるのか」と先のセリフからは伝わるはずのない意味を含んだとても気持ち悪いプロポーズ…。彼の返答から”ただ結婚したいだけの女”と捉えられてる気がしたのでそこは”あなただから結婚したい”というのはたくさん伝え、嬉しいことに婚約できた。


その後両家顔合わせ、結納をして2022年3月に入籍。夫婦となった。

1人でも楽しく生きられる。でもそれよりも2人で生きていくほうがもっと楽しくなりそうと思える相手に出会えたことは心の底から幸せなことだと思う。


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