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【WSH】トレバー・ウィリアムズに何が起こっているのか

こんばんは。ハーパーです。
ワシントン・ナショナルズは日本時間5月17日現在で20勝22敗の勝率.476で地区3位。一時は貯金を作り、ワイルドカード圏内に入っていましたが、BOSとCWSに負け越して再び借金生活となっています。

予想外の健闘を見せているナショナルズの中で、最も予想外の活躍をしているのはトレバー・ウィリアムズで間違いないでしょう。

ウィリアムズは平均89マイルの遅球投手にもかかわらず、今季ここまで8先発で4勝0敗、防御率1.94(規定投球回にあと1アウト足りませんが両リーグ6位)、1.2fWAR(両リーグ21位タイ)と素晴らしい投球を披露しています。

FanGraphsより

昨季は30先発を消化した一方で防御率5.55でfWARは-0.1でしたから大躍進です。では、いったいウィリアムズの好調の要因は何なのか。探っていきたいと思います。

①スイーパーの習得

今季の変化の一つにブレーキングボールとしてスライダーの代わりにスイーパーを習得したことが挙げられます。

Baseball Savantより

昨季まではブレーキングボールは主にスライダー(15.5%)を使っていました。スイーパーも一応投げていましたが投球割合はわずか2.5%。今季は18.5%と大幅にその割合を増やしています。

Baseball Savantより

ウィリアムズのスイーパーは平均77マイルというカーブと同じ球速帯です。スイーパーの醍醐味である横変化は小さいですが、縦変化(落差)も小さいため、速球に近い軌道から垂れずに真横へ曲がるという特徴があります。

そのユニークさもあってか、スイーパーは被打率.158、空振り率46.2%、ハードヒット率8.3%と素晴らしい投球結果をもたらしています。以下の昨季のスライダー成績と比較した表を見れば、成果は一目瞭然です。

すでにスイーパーで8個の奪三振を記録しており、これは昨季スライダーで奪った三振数10個に早くも迫っています。スイーパーを決め球として習得したことがまず一つ目の好調の要因と見ています。

②チェンジアップの改善

次に挙げるのはチェンジアップの質改善です。ウィリアムズは22年、23年とチェンジアップを速球に次いで投じる第2球種として使ってきましたが、2年続けて得点価値-5を叩き出すなど機能していませんでした。

ところが、今季は突如として横変化量、縦変化量ともに2インチ以上(約5㎝)も伸ばし、MLB平均以上となる変化量に達しました。

Baseball Savant

それに伴い、チェンジアップの被wOBAは昨季の.362から.249に大幅に改善されています。また被ランチアングルも12度から7度に改善されています(一般にランチアングルは8度を下回ると得点価値が大幅に低くなります)。実際チェンジアップはここまで二塁打1本、三・本塁打0本と長打を抑えています。以上から2つ目の好調の要因はチェンジアップの質改善と見ています。

③なぜか速球が打たれない

ウィリアムズの4シームは今季平均89.2マイルで、かなり遅い部類です。むしろ昨季よりも遅くなっています。

ですが、ここまで4シームで得点価値+5、シンカーで+4を積み上げており、合計+9はパーセンタイル99とMLB全体でもトップクラスの成績を叩き出しています。

ウィリアムズは昨季HR/9=2.12と一発病に泣かされましたが、今季は前回登板で今季初被弾。8先発でHR/9=0.22と一発病を克服しています。中でも4シームは昨季21被弾を許しましたが、今季は前回の1被弾のみです。また、シンカーは投球割合12.9%と多くありませんが、16打数無安打、グラウンドボール率61.5%と効果的に機能しています。

では何でこんなに打たれていないのか、というはっきりとした要因は断定できませんが、ただ、確実に言えるのは4シームの投球割合を43.2%から36.0%に減らすことに成功したことです。先に述べたスイーパー&チェンジアップの改善されたことで、非力な速球に的を絞らせない投球ができているのかもしれません。

TexasLeaguers.comより
23年よりも横幅を生かした投球が可能となった

23年にMLB平均を大きく下回っていたバレル率とグラウンドボール率が平均以上に改善されているのも注目すべき点です。

Baseball Savantより

さすがに今の被本塁打率(HR/FB=2.4%)は異常でしょうが、被長打を減らせているのは単なる偶然とも言えないでしょう。好調の3つ目の要因は速球、スイーパー、チェンジアップの効果的な組み合わせによる被長打の大幅減少と見ています。

おわりに

今回はウィリアムズ好調の要因を探りました。まとめると①スイーパーの取得、②チェンジアップの改善、③被長打の減少でした。さすがに今の投球結果を1年間維持することは難しいでしょうが、このまま被長打を抑えられるかどうかが好調維持のポイントとなりそうです。

長文をお読みになっていただき、ありがとうございました。よろしければ「スキ💓」をいただけると、記事作成の励みになります。

Photo:https://x.com/Nationals/status/1628802725667274753


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