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「子供に本を読んでもらうには」

「子供がなかなか本を読んでくれない」
そんな悩みを聞くたびに思う。
「あなたは、読書が好きですか?」「子供の前で本を読む時間はどのくらいありますか?」と。

本好きに育った私

昔のアルバムを見ると、旅行先で「大どろぼう ホッツェンプロッツ」を読む私の写真が残っている。旅行の荷物に詰めるくらいには、本が好きだったようだ。

こんなに本が好きだったのは、間違いなく、両親の影響が大きかったように感じる。

とはいえ、親から「本を読みなさい!」と言われた覚えは全くない。どちらかというと「本から手を離して聞きなさい」と怒られたことの方が多かった。

「難しい本が読める=大人」だと思っていた頃

小学生の頃までは、親=憧れだ。車を運転するのも、自販機を押すのも、絡まってしまった糸を解くのも、全てカッコよかった。その中に「難しい漢字がいっぱいある本を読んでいる」姿もあった。

父も母も本を読むのが好きで、特に父の本棚は家の中にある「大人の象徴」だった。学術書から村上春樹まであらゆる小難しそうな本が並んでいて「大人になればこんな本を読めてしまうのか・・・」と偉大に思っていた。

父と母が、読み終わった小説の感想を話しているのもカッコよかった。今思えば両親がハマっていたのはサラッと読めるミステリーだったし、その会話も「西村京太郎の犯人ならきっとこの短時間でも乗り換えられる」など、しょーもないものであったが、子供の私からすればカッコよかったのだ。

絵本でなく、漢字がいっぱいある本が読めるようになれれば、それが大人の階段を登った証拠になると感じていた。

ちなみに、子供にとって「大人になる」とは「変身する」ようなもので、日々普通に生きていれば大人になるとは全く思えなかった。ある朝起きたら「大人」になっているに違いない、というようなイメージだった。


ある日、図書の授業でいつもの「かいけつゾロリ」が全て借りられていたので仕方なく「まんが 世界の伝記」を借りて帰った。

これが(家庭内で)バズった。父も母も順番に読み(いわゆる回し読みだ。又貸しかもしれない)、「こんなこと、全然知らなかった!借りてきてくれてありがとう!」と次々に私にお礼を言ったのだ。「次はまた別の人の漫画を借りて来て!」とも頼まれた。

かいけつゾロリを読んで母とゲラゲラ笑ったことはたくさんあったが、本(しかもマンガ)を借りて帰って感謝されるなんて驚きだった。しかも、世界の全てを知っている(はず)の両親も知らなことがあるなんて!先に読めば、親が読み終わるまでは私の方が知識を持った状態になれる!!快感だった。読んだ偉人の話を家族でするのも楽しかった。大人の仲間入りをさせてもらったような気がした。

本を通してのコミュニケーションが楽しかった

そんなわけで、図書館にある「世界の伝記」を全て借りて読んだ。今でも私の家族は世界の偉人に詳しい。イタリアに行ったとき、ガリレオと同じ方法で父と振り子の速さを測ったのは良い思い出だ。

世界の伝記シリーズを読み終わったあと、かいけつゾロリには戻らなかった。そりゃおならもイタズラも大好きだけど、両親が喜ぶ本を選んで借りて帰る快感には負けた。ファンタジーやミステリーは大人にもウケた。

「この本は良かった」と言って、親に本を渡す・・・なんてオトナなんだろう!

大人と子供が同じ世界で楽しめるのが、本の素晴らしいところだ。(もちろん、マンガやゲームと同じだ。)

その頃、ハリーポッターシリーズと出会う。当時は3巻までしか出版されておらず、新刊の発売日には母と奪い合うようにして読んだ。

そのうち母は「原書で読めば日本語版の発売前に新刊が読める!」と気がつき、5巻の発売時には分厚い洋書を購入して読んでいた。1ページ読み終わるごとに、私に内容を話してくれた。私にはどうしても読めず、たいへん、悔しかった。この出来事がきっかけで、私はマジメに英語を勉強することになるのだが、これはまた別の話・・・。

結論:親子で同じ本を読んで楽しむのが良い

そんなわけで私なりの結論は、子供に本を読んで欲しいなら、自分もその本を読んで楽しむのが1番だ。自分がyoutubeやSNSを見て楽しんでいるのに、子供に本を読ませるなんて、無茶だ。

世界の名作には面白い本も、文章や表現がちょっと古くて読みにくい本もある。大人でも読みにくい本はある。読むべき本リストから選ぶのでなく、自分で読んで面白かったものを、勧めてはいかがか。なければ今から読んでも良い。大人が読んでも面白い児童書は、子供が読んでも面白いのだ。

大人も楽しめる児童書のススメ

そんなわけで、大人も子供も楽しめる本をいくつか紹介してこのnoteを締めようと思う。今読んでもめちゃくちゃ面白い、最高の児童書たちだ。

もしかしたら名探偵 シリーズ

今でも新刊が出れば買ってしまう。大人も子供も楽しめます。絵の中にヒントがあるため、子供が先に謎を解くこともあります。一人だけ分かったときは、最高に楽しかった。

ルドルフとイッパイアッテナ(を含む斉藤洋さんの本)

「俺の名前はいっぱいあってな・・・」「え?イッパイアッテナって名前なの?」
この会話に笑わない子供はいない(と思う)。ユーモアあふれて優しい本ばかりだ。「なん者ひなた丸」シリーズや、「しろくまだって」も大好きだった。

「リンの谷のローワン」シリーズ

去年読み返したが、それでもまだ楽しかった。大人買いしたいと思っているシリーズの1つ。カタカナの名前がたくさん出てくるため、キャラクターの名前をちょっと覚えにくいのが難点だけど、最高に面白い。ぜひ、一緒に大人買いしましょう。

獣の奏者シリーズと守り人シリーズ

上橋菜穂子さんのファンタジーに出会ったとき、既に私は大学生だった。児童書とは知らずに読んだが、めちゃくちゃ感動した。超面白かった。
こんな本を子供の頃(小学校高学年〜中学生)に読んでいたら、多分、人生変わっていたと思う。生物学か文化人類学を学びたくなって、文系に進んでいたに違いない。なんならもう一度大学に入り直して学びたい。そのくらい影響を受けた。もっと早く読みたかった・・・。

ハリー・ポッターシリーズ

ハリー・ポッターを11歳より前に読んでしまうと、11歳になったらホグワーツから手紙が届くのでは?と期待してしまうので注意。(残念ながら私には届かなかった)
最高に面白い。こんな分厚い本を読み切れば、自信にもなる。
デメリットは、自分が非魔法族であると気づいてしまうことと、学校に持って行くには少々重たいことだ。


まだまだ、今読んでも面白い児童書はあるけれど、2500字を超えてしまったので、今日はこの辺で。
リクエストがあれば、おすすめ児童書に特化してまた書きますのでコメントください。

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