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「質より量」の意味を勘違いしていると伸びない

以前、SNSに以下の投稿をしました。

上記投稿で私が述べている内容は作曲上達をめぐる勘違いのようなものだといえますが、こちらでこのあたりについて改めて書いてみます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。


「質より量」の勘違い

冒頭の投稿で私が述べている通り、

「曲をたくさん作って、作曲をたくさん経験しましょう」

という助言を

「雑な作曲をひたすら繰り返すこと」

だと勘違いしてしまうと、やはり上達を考えるうえで好ましくないです。

もちろん、作曲に慣れていない超初心者で、そもそもメロディを生み出すこと自体をスリリングだと感じていたり、曲を組み立てる行為自体がおぼつかないような場合には作る行為そのものに意味があるので、とにかく作ることを体験できればそれで十分だといえます。

一方で、曲作りにそれなりに慣れてきて、「さあここからもっと作曲の技術を伸ばすぞ」という局面で、よく言われる「質より量」のアドバイスをそのまま真に受けて、

「とにかくを量をこなさなきゃ!質はさておきとにかくたくさん作るぞ!」

というマインドになって、もう本当にただ雑に、思いついたものを選別することもなくそのまま出して、適当に曲をまとめて、またすぐ次の曲に取り掛かって、また雑にやって…というようなことを繰り返していると、やっぱりなかなか上達には結びつかないです。

よくいわれる「質より量」という言葉は、「雑にただ量をこなす」ということではなく、

「きちんと考えつつも、質にあまりにもこだわりすぎず、あくまでも量の方に意識を向けましょう」

ということを意味しています。

「質」と「量」のバランス

例えば、全体の意識が「100」あるとして、

質:量=50:50

が対等の状態。そして多くのひとはきちんと作らなければいけないという気持ちが行き過ぎて、必要以上に細かく考えすぎることで1曲を磨くことばかりに時間をかけて

質:量=80:20

のようにしてしまいがちです。

これがつまりは量よりも質に意識が向いている状態で、特に初心者の時期はこれだとなかなか曲が増えていかず、その分作曲の経験も積めないゾーンに入り込んでしまいます。

これを避ける意味で、

質:量=40:60

程度の意識によってあくまでも量の優先度を高めにしましょう、というのがここまでに述べている「質より量」が本来意味するところだといえますが、これを勘違いして単に雑な作曲を繰り返してしまうケースは、例えるなら

質:量=10:90

のような意識になっている状態だといえます。

つまりは、質への意識が完全に置き去りになっていて、曲の仕上がりは前回から全く進化することもなく似たようなもので、曲調の幅も広がらず、創意工夫もなく、一生懸命作ったあとも見えない。

そんな作曲をいくら繰り返しても、やはり上達への伸びはいまひとつで、成果につながらないです。

それでもなにも作らないよりはマシとも考えられますが、「質より量」の本来の意味を誤解しているため、その取り組み方はやはり好ましいとはいえません。

質を置き去りにしない

きちんと技術を伸ばすなら、上記で述べている通り質を完全に置き去りにするのではなく、双方のバランスを取ることが必要です。

つまりは、こだわりすぎて制作が停滞してしまわないよう注意しながらも創意工夫やクリエイティブな観点を入れていくことなどを意味しますが、それらの意識が働くと、

何か新しいことをやりたい→でもどうやるのかわからない→既存の曲を作曲的観点から紐解いてみよう/新しい技術を身につけよう

というような流れによって、作曲活動に学びが入ります。

その学びを自分の曲作りに取り入れることで作れる曲の幅が広がり、やれることも増えて、同時に自分自身の満足度や自信も高まり、スムーズに上達の階段を上がっていけるようになります。

つまるところ作曲は雑にやろうと思えばいくらでもやれてしまうものでもあるため、量だけを意識して質への意識を置き去りにしてしまうと「作るからには良いものにする」という考えが欠落してしまい、結果として「作曲歴だけ長くて似たような曲ばかり作っていまいち伸びていない」という状況に陥ってしまいます。

やはり、きちんと考えながらやらないとレベルアップは望めず、「ただやるだけ」ではその効果はおのずと薄くなってしまいます。

上達を目指すうえで「質より量」という考えを持つことは必要ですが、その意味を勘違いすることなく、ここで述べているように質への意識を置き去りにしないよう心掛けてください。

また、現在「質より量」でやっていながらも思いのほか上達への伸びを感じられていないような場合には、改めてこのあたりを見直してみて欲しいです。

また私も、その「質を置き去りにしない作曲」の助けとなるような発信を日々行っていきます。

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