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作曲活動における師匠的存在の重要性について

たまにSNSでも投稿していますが、作曲活動を進めるにあたり自分の中で「師匠」と感じられるようなひとを設定できると、それがとても素晴らしい効果を発揮します。

こちらで、そのあたりについて詳しく書きます。

※当記事はこちらのポッドキャストの内容を編集/再構成したものです。


弟子から勝手に学ぶ

上記で述べている師匠というのは、簡単にいえば「目標とするひと」のようなものです。

一般的には、何らかを学ぶ対象としてまず「先生」がイメージできますが、こちらが「手取り足取りいろいろなことを教えようと動いてくれる存在」であるのに対し、ここで述べている「師匠」は、(いわゆる師弟関係でいうところの)

  • 弟子がその師匠の存在に惚れ込む

  • 弟子が師匠の所作や生き様や漂わせる雰囲気などを勝手に感じる

  • 弟子の方から師匠の背中を見て学ぶ

というような存在だといえます。

作曲やそれを含む音楽活動を進めるうえでは、「先生」と呼べるひとを見つけてそのひとからいろいろなことを学ぶことももちろん意味を持ちますが、どちらかというと私は「師匠」と感じられるひとを学ぶ側が設けて、学ぶ側から能動的に動き、その師匠が持っているものを自分にも取り入れようと動くやり方が理想的だと感じています。

こちらから目指すひとを勝手に定めて、その学ぶべきポイントを自ら見つけて、学びを勝手に吸収していくようなイメージです。

どんなひとも師匠になり得る

これを踏まえると、その師匠となるひとは面識がある/なしにかかわらず定められるということがわかります。

例えば自分の音楽活動で知り合った身近なひとや、音楽仲間の知り合いのさらに知り合いのような、比較的近い距離にいながらもまだそこまで仲良くなれていないひとなども師匠になり得ます。

さらには、若干現実味がなくなりますが、例えばいわゆるプロミュージシャンとして、自分があこがれているようなひとなどもこの前提をもとにすると師匠として設定できます。

あこがれの存在として距離が遠くなるほどに、直接何かを間近で見たり、例えばその師匠に何かを質問したりすることはできず「心の師匠」のような存在になっていきますが、そのような観点で師匠を設定することも可能です。

より突っ込んでいえば、その「心の師匠」の理論でいくと現在はもうこの世に存在していないひとも師匠になり得ます。

例えば、昔のクラシックの大作曲家や、いわゆるジャズジャイアンツと呼ばれるような古いジャズの偉人や、ロックの先人などを師匠にすることもできてしまいます。

師匠をよりリアリティのある存在として感じたいのなら、やはりそれなりに身近なひとにすべきですが、そのように、発想次第でいろいろなひと師匠として定めることができるはずです。

師匠がいる安心感

師匠を定めることができたら、作曲活動/音楽活動を進めるうえで、そのひとの存在や言動、仕事ぶりなどを航海でいうところの灯台のようなものにしていくのがおすすめです。

それによって進むべき道がはっきりしたり、自分に足りないものや、さらに伸ばすべきところが見つけやすくなります。

また、その師匠の存在があるだけで「こんな風にやればいいんだ」という安心感みたいなものが得られて、モヤモヤを減らしながら今自分がやるべきことにひたすら取り組んでいけます。

私の経験

私自身も、20代前半の頃にここで述べている「師匠」を定めて活動していた時期がありましたが、上記の「師匠が設定できているときの安心感」は、実際にそれを体験したひとにしかわからない独特な感覚だと思っています。

当時の私は作曲を始めてもう5年以上経っていて、作曲が大好きでライブ活動も始めていて、そこからさらに真剣にやっていきたいという思いがありながらも何かひとつ決め手に欠けているところがありました。

その頃の自分はアコースティックのユニットを組んでいて、なんとなくこんなスタイルでやってみたいというプランもあり、でもそれをライブでどう見せていくか、自分がどんな曲を作り、どうアレンジして、どんなアーティスト性でどう表現していくべきか、というあたりがいまいち定まらずにモヤモヤしていました。

そんな中で、私よりも10歳以上年齢の離れた音楽の先輩にあたるお二方とたまたまライブハウスで一緒になる機会があり、その音楽性やライブのスタイルが当時の自分にものすごくフィットして、そのひとたちが自分にとっての「師匠」になっていきました。

その方々はボーカル&コーラスをアコギ2本(リードギターとバッキング)で表現するスタイルで、練り込まれたギターアレンジの役割分担と、質の高い楽曲にコーラスワークなど、もろもろ含めて私はそれに惚れ込んでしまい、「このひとたちを自分の師匠にしよう」と思えて、このひとたちを灯台にして、このスタイルを目標や目印にしながら自分もやってみよう、という気になれました。

そこからは、そのやり方を間近で見て、たくさんのライブを見せてもらい、ギターの弾き方や、私の場合は主に作曲やアレンジやステージングなどをすごくたくさん、こちらから勝手に学ばせてもらいました。

当然のことながらそのお二方は私の師匠になっている意識はなくこちらが勝手に師匠だと思っているだけでしたが、とても仲良くしていただいて、あつかましくもこちらからいろいろな質問をしたりもして、さらには私の曲やライブのやり方などにもアドバイスをいただいたりして、それがまたすごく参考になり、良い関係を過ごさせていただきました。その時にいただいた言葉はいまでも鮮明に覚えています。

その師匠のおかげで自分の作曲活動・ライブ活動などがすごく進めやすくなり、「こうやればいいのか!」と進むべき方向が明確に定まって、自分のやっていることに手応えを感じられて、自信を持って活動に取り組めるようになりました。あきらかに、その「師匠」の存在が自分にとってのひとつのターニングポイントになりました。

現在活動を進めるうえでモヤモヤを抱えている場合には、ぜひここで述べている師匠的な存在を見つけてみてほしいです。

そのひとをあらゆる面で目標にして、学びの教材にして、自分の理想とするスタイルとして、それをもとに作曲活動に取り組んでみてください。

もちろん単なる「師匠のコピー」で終わらないように、学び取った内容を踏まえてそこから試行錯誤することは必要ですが、完全にひとりきりで、暗闇の中を手探りで進むようなやり方に比べて、その師匠の存在がものすごく心強いものだと感じられるはずです。

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