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【本】二日酔いのバラード(含PR/絶版だけどw)

 ウォーレン・マーフィーの作品で”トレース・シリーズ”という作品群の第1作。
 保険調査員のトレースが、非常に優秀な恋人のチコに助けられながら、事件を解決していくという一見探偵もののような小説であり、実際そういう感じの話ではあるのだが、発生する事件が特殊であるとか、トリックがどうのこうのとかそういうことはまったくなく、探偵ものとして読んでしまうと非常に凡庸。
 ではこのシリーズの何が良いのか?といえばそれは非常に魅力的なキャラクターと彼らが繰り広げる軽妙な会話。
 とにかく主役のデブリン・トレーシーと相方のチコによる丁々発止のやり取りが絶妙で引き込まれる。
 難しいことは何一つ無く、新しい発見も学びもなにもないけれども、単純に文字を追うことと、そこから自分なりに脳内で映像を造る謂わば、想像力を駆使して読書することが、こんなにも楽しいのだと思える作品。
 私はこのシリーズ、全部揃えているのだけど、だいぶ以前の引っ越しの時にどこかにしまい込んでしまって見つからないので、古本で再購入。100円もしなかった(笑)
 新品で買おうにも絶版なので買いようがない。
 こういう楽しい作品を絶版にしないで欲しい。
 読書の楽しさを知るには最適の良書なのに。
 吉田秋生によるイラストがまたかっこいい。

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