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十薬(どくだみ)

昔から身体の毒を追い出す薬草として使われてきたドクダミ。その名も「毒をため除く」「毒痛み」が転じたとの説があります。

ドクダミと言えば、その臭気は知られたものですが、しかし真っ白な花の群生に出会ったときの嬉しさは、他の花ともちがう高揚を感じますね。

どくだみの 花のにほひを 思ふとき
青みて迫る 君がまなざし
北原白秋 『桐の花』より

この歌にある「君」は、白秋が思いを寄せていた、人妻の俊子のことだといいます。お世辞にも好い匂いとはいえぬドクダミの花であるのに、白秋にとっては、俊子との関係が禁断の恋だったが故、この花の匂いに苦みた感情が重なって、記憶に残ったのでしょう。

その時の心の在り方で、同じ自分でありながら、花を見る眼も届く匂いも、まったく違うのだから、本当に不思議。

今年もこの花が咲く季節になりました。今日もいちりんあなたにどうぞ。

ドクダミ 花言葉「白い追憶」

良薬は口に苦し

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