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フランス生まれ山形育ち「ラ・フランス」日本は世界で唯一の生産国!

こんにちは!
世界を旅する仮面の、さきです。

みだぐなす!

いきなりですが、
山形の方言であるものを
指す言葉なのです。

あなたは何だと思われますか?

それは「くだものの女王」との
誉れ高き西洋梨
「ラ・フランス」のことなんです。

「みだぐなす」の意味

「みだぐなす」は
「みだぐない」と「なす」を
合わせた言葉で、

「みだぐない」は山形の方言で
「見栄えが悪い」という意味。

「みだぐない」→「見たくない」=「見栄えが悪い」

そして「梨 なし」のことを
山形では「なす」と訛ります。

「みだぐない」と「なす」を
ひっかけた言葉が「みだぐなす」

「みだぐない」+「なす」=「見栄えが悪い梨」

「みだぐなす」は
ラ・フランスにつけられた
山形でのあだ名なんです!


「くだものの女王」なのに「みだぐなす」!

実際にラ・フランスを
ご覧になったことがある方は
お解りだと思いますが、
見栄えが全然良くないですよね。

実の形はいびつにデコボコしていて、
皮も茶色のサビのような
部分もあるわけですから。

といっても随分と
不名誉なあだ名を
つけられてしまったものですよね。

でもこれが成熟(食べ頃)すると
トロッととろける食感と
上品な甘さをもつようになり、
一気にくだものの女王の座へと
登りつめていくのです。

そこで今回は
「みだぐなす」のラ・フランスが
「脇役の西洋梨」から
「くだものの女王様」に
華麗なる変身
を遂げるまで。

さらに成熟(食べ頃)の
見極めが肝心なこと、
食べ頃のタイミングはいつ
なのか、
というお話をしてまいります。


ラ・フランスはフランス生まれ

ラ・フランスが誕生したのは、
1864年のフランスでのこと。

クロード・ブランシュ
という方により発見され、
その西洋梨があまりにも
美味しかったので、
「我がフランスにふさわしいくだものだ!」
と絶賛したのだとか。

初めて日本にやってきた西洋梨はバートレット

そもそも西洋梨は 
16世紀頃にドイツ、
イギリスで栽培が始められました。

18世紀にイギリスで
「バートレット」品種が発見され、
明治初期になって日本にやってきました。

山形県では1875年から
栽培が始められ、
缶詰加工用に用いられていたようです。

そしてラ・フランスが日本へ

そしてラ・フランスが
日本にやってきたのは1903年。
山形県には大正初期に
入ってきています。

ラ・フランスは他の西洋梨に比べ
1ヶ月間ほど実を付ける期間が長く、
栽培に手間がかかり、
病気にもかかりやすい品種でした。

そのため出身地フランスでは
1900年代初頭に
絶滅してしまっています。

日本に入ってきたのは
絶滅の寸前だったそうですよ。


ラ・フランスは最初は脇役だった

日本では、ラ・フランスは
「受粉樹」に利用されていました。

受粉樹とは、
くだものは単一品種だけでは
受粉しづらいため、
違う品種もそばに植えるという
栽培方法をとっています。
その時に使用される木のこと。

実を結ぶ確率を高める
目的もありますね。

つまり「バートレット」を
栽培するための
「脇役(引き立て役)」として
植えられたのが、
「ラ・フランス」だったんです。


偶然の発見

成長したラ・フランスの実は
硬くごつごつしていて
美味しくなく食べられないし、
当初は捨てておかれていた。

ところが時間が経って
いい香りがしてきたので
食べてみると、
良い味がするから驚いた。

それが、
「追熟させることで美味しくなる」
ことの発見だった、
という記録が残っているそうです。


山形県は世界一のラ・フランスの生産地

そこで山形県では
官民一体となって
「脇役」を「女王様」に仕立てるべく、
土づくりから剪定、摘蕾、摘果、
収穫、追熟などの研究を進めて
生産体制を確立させてきました。

そして今や生産量の8割が山形県。
しかも世界で唯一の生産国
でもありますから、
山形県は世界一のラ・フランスの
生産地
ということです。

ちなみに西洋梨は他にも
多数の品種がありますが、
山形県は「西洋梨」の
全国シェアが6割です。

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美味しくするには追熟が必須

さて、ラ・フランスは
前述のとおり、
収穫したての果肉は
ごつごつと硬く
全く美味しくないんです。

そこで「華麗な女王様」になるために
欠かせないのが「追熟」なのです。

収穫したての西洋梨には
デンプン2%とクエン酸などの酸を
多く含んでいます。

追熟させることによって
デンプンが果糖、ショ糖や
ぶどう糖などの糖分に分解されて、
ビタミンB.Cも増えるそうですよ。

それに果肉中のペクチンが
水溶性に変化することにより
肉質がとろけるように
なめらかになるわけです。
華麗なる変身ですよね。

追熟の期間は常温ですと
2、3週間程度。


予冷という追熟の方法

「常温」での追熟の他にも
「予冷」という処置もあるんです。

山形県の中でも生産量1位は天童市。
そこに「ラ・フランスセンター」
という施設があります。

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そこでは周辺の農家さんから
集められた収穫直後のラ・フランスを
2~5度の低温冷蔵庫に入れ
10日間呼吸作用を抑制。

常温に戻した時に
一斉に呼吸を始めるため、
デンプンが糖分に変化するのです。
この場合約2週間後が食べ頃。

お客様にベストなタイミングで
提供できるように、
適切な時期の収穫から追熟まで、
ラ・フランスが最もいい状態になるよう
「追熟」の期間が設定されます。

生育の状況を確認しながら
追熟の期間を計算して、
販売開始基準日が
決定されているのですね。

このようにラ・フランスには
他のくだものにはほとんどない
販売開始基準日の設定があります。
レアなことですよね。

令和3年度の解禁日は10月25日でした。
順次出荷されていきますので
12月末頃まで通常は
購入することができますよ。


食べ頃のタイミングは?

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食べ頃にはいい香り
するようになって、
軸にシワがでてきて、
軸の周辺にもシワが出てきて、
指でちょっと押したときに
耳たぶくらいの柔らかさに
なったらグッドタイミング。


ヨーロッパの梨は小ぶり

ヨーロッパには
ラ・フランス以外の梨は
もちろんありますが、
日本のものとはサイズが
随分と違っています。

PexelsのAnna Nekrashevichによる写真

小ぶりで両手の中に納まるほどの
食べきりサイズ。

味はやはり
ラ・フランスには敵いません。

ツアーでは
ホテルの出発が早朝の場合、
ホテルレストランが
用意してくれる朝食のお弁当
(といってもパン、ジュース,
フルーツなどの質素なもの)を
受け取るのですが、
その中に梨がそのまま
入っていることがよくありますよ。


ラ・フランス

食するタイミングがベストなら
「くだものの女王」、
タイミングを外せば
ただの「みだぐなす」。

ぜひ香り高い「くだものの女王」を
味わってみてくださいね。


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