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お燗の温度の呼称について知ろう!

「日本酒を、もっと身近に」という理念をかかげながら活動している日本酒メディア・コミュニティ『酒小町』。今回は「お燗の温度の呼称」 についてお話していきます。


このマガジンでは、日本酒の豆知識をわかりやすく、ちょっと飲んでみたくなるようなコラムを書いています。

日本酒が好きという人はもちろん、日本酒がはじめてな方、好きで飲んでいるけど専門用語まではちょっと…という方、これから日本酒を勉強してみたい!という方、ぜひお酒を片手に読んでいただけると嬉しいです。

ただ飲むだけでもお酒は美味しいですが、少し知識をいれるだけで普段飲む日本酒が更に美味しく、楽しくなりますよ! 

ゆるゆる日本酒教室、第82回目の今回は【お燗の温度の呼称について】のお話です。

最近ようやく暖かく(暑く?)なってきましたが、朝晩では人によっては肌寒く感じる時もあるかもしれません。

これから季節が変わり、寒い時期には、温かいものを食べたり飲んだりしたくなりますね。

日本酒を温めて飲む、といえば、お燗ですね。

日本酒が好きな方は年間を通してあたためて飲むことを好む方もいらっしゃいます。

日本酒を意識しているとそれほど感じないかもしれませんが、そのお酒を楽しむうえで、“温める“という選択肢が当たり前のようにある、というのは、実は世界的にも珍しいのです。

ちなみに、ワインにも温めて飲む方法があります。

グリューワインと言い、日本だと「ホットワイン」と呼ばれます。
これは主に赤ワインとシナモン・レモンなどの香辛料などで作るカクテルの一つです。

そして、「温かい」と一言で表しても、ぬるめの温度から手で持てないくらい熱いものまで、様々です。

そんなお燗ですが、その温度それぞれに呼び方がある、というのはご存知ですか?

本日はそんな温度の呼び方についてご紹介します!


基準の温度を決めよう!

季節によって前後しますが、おおよそ20−25℃が常温・室温と呼ばれます。
そこから、5℃刻みで名前がついています。

30℃:日向(ひなた)燗

陽の入る室内で日向ぼっこするとちょうどいいくらいの気温、・・・と覚えたいところですが、ここ数年の夏では日向ぼっこしてると危険な気温になってしまいますね。

35℃:人肌燗

このご時世で体温を計る機会も多いでしょう。人間の平均体温は36℃といわれます。文字通り、人肌・体温と同じくらいの温度、ということです。

ちなみに、赤ちゃんの平熱は36.5℃~37.5℃とちょっと大人より高めです。赤ちゃんを抱っこしたことがある方は、ポカポカする、なんならちょっと汗ばむくらいの経験があるかもしれません。

40℃:ぬる燗

人生経験の豊富な方は「♪お酒はぬるめの燗がいい 肴はあぶったイカでいい〜」という歌詞で有名な八代亜紀さんの『舟唄』をご存知かもしれません。そこに登場するのがまさにぬる燗です。

「40℃」「ぬるめ」ってどれくらいなのか、といいますと、お風呂やシャワーの温度がまさに40℃前後ですね。

45℃:上燗

これはシンプルに「ぬる燗の上」と覚えましょう!

50℃:熱燗

「熱燗」という言葉がここでやっと登場しました。
お酒からは湯気が立ち、お酒が入っている容器も熱いと感じる温度です。

「とりあえずお燗で」、とするなら、まずはおおよそ50℃くらいにしてみて、それからもっと温度を上げてみたり、少し冷めてぬる燗になった時の変化を楽しんでみたりと、展開を広げていくのが、安定ですね。

55℃:飛び切り燗

こちらもわかりやすく、飛び切り熱いお燗、と覚えておきましょう!
ただ、人によってはアルコールの香りがツンとくるような印象になるかもしれません。

冷たくしたときも名前がついています!

お酒は温めるだけではありませんよね。
実は冷たくした時も同様に名前がついています!

15℃:涼冷え

さすがに真夏といえどもエアコンの設定温度が15℃だったら涼しい(というか寒い)ですよね。

10℃:花冷え

桜が咲く頃に寒さが戻ることを表す「春の季語」ですが、最近の気候ではよくわからなくなってきていますよね。

ただ、外気温がもし10℃だったら、鼻水がでるほど凍えてしまいそうです。
鼻水がでそうなくらい冷たい温度・・・、鼻が冷える、まさに、花(鼻)冷えですね!

5℃:雪冷え

これはもう簡単!「雪が降りそうなくらい冷たい温度」です。
なお、冷蔵庫から出してすぐの日本酒の温度は、おおよそ5℃−10℃くらいといわれます。

温度呼称のまとめ

液体と気温では感覚が異なりますが、おおよそ、温度のイメージがつかめたでしょうか。

まとめるとこのようになります。

5℃:雪冷え
10℃:花冷え
15℃:涼冷え
20−25℃:常温・室温
30℃:日向燗
35℃:人肌燗
40℃:ぬる燗
45℃:上燗
50℃:熱燗
55℃:飛び切り燗

なお、お店で注文するときに使うのは要注意です。

なぜならこの温度の名称は、店員さんも知らない可能性があるからです。

また、お燗の温度を指定するというのは、それは粋な注文ではありますが、その分お店側はお酒へ注意を払い続けなければならないため、ほかの作業に支障をきたす可能性があります。

ちなみに、お燗につける人をお燗番と呼びます。
このような専門の呼び方があるということは、お燗をつけることがひとつの責任ある職務・仕事として成り立つと言うことです。

最後に、温度の変化によってどのように味に影響するかについて触れておきましょう。

そのお酒の香りや味の特性を、
冷やす→引き締める・おさえる→温める→膨らませる・強める
ということができます。

第21回目【温度によるお酒の七変化】より補足

それでは今回はここまで!



日本酒コラム『ゆるゆる日本酒教室』

日本酒コミュニティ「酒小町」

20代から30代の「お酒の場と、交流が好き」な人たちが集まる日本酒コミュニティ『酒小町』。「日本酒好きのあそび場」をコンセプトに、年齢も職業もバラバラの個性豊かなメンバーが乾杯するだけでなく、自分たちであそびを企画したり、日本酒について学んだり......誰もがホッと一息ついて自分らしくたのしめるようなサードプレイスをつくっています。


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コミュニティ内にはこのnoteのように、講義の形でない日本酒の知識を唎酒師さんがゆるゆる共有してくれるコラムがあります。美味しく、楽しくをメインにしていますが、こんな風に日本酒の知識を身につけながら飲むお酒もまた格別ですよね。

今回コラムを書いてくれた社会福祉士×日本酒学講師のダイゴさんのnoteはここから読めます。日本酒以外の話題も含め、優しくてわかりやすい文章が特徴です。

酒小町制作メンバー

執筆:ダイゴ|社会福祉士×唎酒師・日本酒学講師=Sake Social Worker(note
ディレクション:関谷サイコ(Xnote
企画:卯月りん(XInstagramnote
編集:makio(Xnote)

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