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黒島という島に行ってきた話

コロナやし、行くとこないし、うちの豪州人と海沿いをプラプラしていたら、渡船場を見つけた。

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黒島行渡船場

大分県臼杵市佐志生(さしう)と黒島を結ぶ船、大人片道250円。

どうやら往復500円払えば黒島という島に行ける模様。

島のPRポイントはこちら。

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ウイリアム・アダムス? 誰?

400周年ってことはウイリアムさん、江戸時代に上陸なさったんか。

もうちょっとだけ進めば九州本島やったのに、惜しかったな。

まあ、それはいいとして、

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カウンター内は真っ暗。無人。

運行ダイヤなんかも書いてない。

ひょっとしてお休みか?と思ったけど、

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毎月第二土曜日は瀬渡は休ませていただきます。(今日は第一土曜日)

えっと、なんでおらんの?

書かれている番号に電話をしてみるも、出ない。

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仕方がないから渡船場の駐車料金をチェック。普通車500円。

隣の広場でゲートボールをしているおじいちゃんとおばあちゃんに船のことを聞こうかな…と思っていると携帯が鳴った。

見ると知らない携帯番号からの着信。応答ボタンを押す。

「あーもしもし? 黒島の者です。電話くださいました?」

黒島の者!

黒島の者:「日帰りですか? ご宿泊ですか?」

ワタシ:「日帰りです。」

黒島の者:「では今からお迎えに上がります。」

なんと、黒島行きの船は電話すれば迎えに来てくれるシステムのようだ。

しばらくすると、ブロロロロロォォォとエンジン音が聞こえだし、

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来た。5分くらいで来た。

島そんな近いんかい。というか向こうに見えるあれかい。

ウイリアムさん、なんでそっちで下船した。

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代金は往復で乗船時に支払い、潮風に当たりたいのでデッキ部分に進んだ。

「では、黒島に向け出航いたします。安全のため手すりをしっかりとお持ちになり、身を乗り出さないようご注意ください。」

というアナウンスはなく、突如出発する。

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なんかちょっとオーストラリアっぽい形。

なんとなく来てみたものの、古墳が5個、資料館、黒島城跡などもある。

とりあえず、島歩きをしてみることにした。

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キャンプができるっぽい。

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が、さびれている。

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縁起良さそうな小屋もあり、

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黒島荘という今はもう絶対にやってないであろう民宿(だった形跡)もある。

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デ・リーフデ資料館。

社会見学より遠足派なので素通りする。

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ビーチに出てきた。この島の海水はすごく透き通っててめちゃくちゃきれい。

魚もいっぱいおるし、晴れた夏の日にはソーダ色の海で泳げると思う。

さっそく、砂浜で夏の思い出探し。(6月5日やけど)

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草間彌生の作品を発見。

しかしここは直島ではない。黒島だ。

しばらく海を見ながらボーッと休憩し、探検に出かけることにする。

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さっそく来航っぽいものを発見した。

「もうちょっと行けば本島やのに何故ここに…」となってるであろう江戸時代の黒島の人々と、ウイリアム・アダムスと仲間たち。

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(ウイリアムがここって言い張るから下船したけど、絶対にこっちじゃなくてあっちよな…。)

と、地図を見ながら小声でヒソヒソと話してそうな仲間たち(緑・青)& ウイリアム(赤)。

色違いお揃コーデから、三人の仲のよさが読み取れる。ヘアスタイルとヒゲの生やし方までお揃。

だが、黒島代表も負けていない。

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こっちも色違いお揃コーデで髪型一緒。

茶色の人、墓掃除の帰りか? バケツと柄杓でお出迎え。

ちなみにこの絵のタイトルは「出会い」。More like 「なんか来た」。

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絵の隣には、美術室にあるやつもある。真ん中がウイリアム・アダムス。

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絵の人とえらい印象違うけど、作風の違いということで。

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美術室にあるやつを通り過ぎると、直進・左折・右折、選択を強いられる。

どう見ても、直進しか道がない。

看板が見えにくいのでズームしてみよう。

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▷高台上り口
▶殿様の井戸
▷黒島城跡 4、5号古墳

とりあえず、一番道がちゃんとしてるっぽいし、名前からして気になる殿様の井戸をチョイスし、直進することに。

が、

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たしかに遠くに井戸っぽいのは見えるけど、途中から草がすごいし怖くてやめた。毛虫だらけなので要注意。

黒島城跡 4、5号古墳も道がないので諦め、高台上り口に進む。

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もう、あちこちで紫陽花が咲き乱れている。

6月、梅雨の象徴のようなこの花も、オーストラリアでは12月に咲く。

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足下にはキノコ。

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ちょっと先には、画鋲みたいなキノコが生えていた。

が、高台、それ以上先は通れそうもなく、景色も見えず、何もなかったので引き返した。

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落ちていたデカい羽。

私の足のサイズは1mなので、羽はざっくり2m。

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気を取り直して古墳1~3号を見に行くことにした。

…が、

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おう…。

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お…おう…。

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おっ…………。

渡し船乗るときに黒島の者に「ご宿泊ですか?」って聞かれたことを思いだした。

このお部屋、どうやら宿泊施設で一泊2万円の模様。(扉が開いてたから覗いちゃった。)

で、古墳1~3号、どこ?

なんとなく背筋が寒くなってきたので古墳1~3号のことは忘れ、気を取り直してさっき見つけられなかった「黒島城跡と4、5号古墳」を探しに行くことに。

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殿様の井戸との分岐点には道がなかったため別のルートからのアプローチを試みると、ビーチと隣接する茂みの中にも看板を発見。

ここから攻めることにした…が、(またかよ)

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ここの茂みにはレールみたいなのが通っていて、その先に大量のカゴが置かれた小屋と、レールの上を走っていると思われる台車があった。

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台車に積まれたカゴにはオレンジ?か何かがいっぱい入っている。

島全体が廃墟オーラ全開なのに、そのオレンジっぽい何かはどうも新鮮そう。

薄々察してたけど、黒島城跡も4、5号古墳も(見つから)なかった。

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あっという間に島を一周してしまった。

そろそろ帰ろうと思い船着き場を見ると、渡し船が消えていた。

本島に迎えに行ったのなら片道5分。

10分待てば戻ってくるのだから、フジツボの殻なんかを集めながら待っていたのだけど、待てど暮らせど帰ってこない。

そろそろベア・グリルスの本を持ってこなかったことを後悔し始めたその時。

ブロロォォ…

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ブロロロロロォォォ…

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ブロロロロロロロロロォォォォォォ…(私たちが乗ってきた船じゃない)

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よいせ。

と、どっからともなくやって来たおじいさんとおばあさんが黒島に上陸。

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そそくさとおじいさんは森の中へ。

おばあさんはさっきのレールの上に座って少女みたい。

するとまたどこからともなくエンジン音が。

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ブロロロロロォォォ…って、えっ! さっきのオレンジ!

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電車みたいにオレンジのカゴが運ばれてきて、おじいさんとおばあさんがそれを下ろし、ローラーコンベアで船の方までオレンジをシャーッと滑らせる。

そしてなんと、

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おばあさんが甘夏くれたぁぁぁぁ!!

めっちゃ優しい。感動。

カゴいっぱいに入っていたのはオレンジではなく、甘夏だったのだ。

400年前はこの島に船で異邦人がやって来たけど、2021年、この島にいた異邦人に船でやって来た地元の人が甘夏をくれた。

あっ! そういえば…!

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色違いお揃で同じ髪型で墓掃除帰りのこの人たちの絵にも…

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絵の果物が甘夏なのかどうかはわからない。

もらった甘夏も、一体誰がどこで収穫してカゴに入れてレールの上にセットしたものなのか謎は残るものの、そんなのは、なんでもいいや。

ブロロロロロォォォ… 渡し船が帰ってきた。

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佐志生の渡船場に舞い戻り、黒島に引き返す渡し船に手を振る。

なんやったんや、あの島…。

狐につままれたような、夏休みの大冒険のあとのような、早く帰らないと門限に間に合わなそうな、帰ると夕飯の匂いがしてお風呂が沸いてそうな、そんな一日だった。

もう、明日戻ってもあの場所には渡船場がないような気さえする。

すべて夢だったんじゃって寂しくなったときは、このスクリーンショットを見ようと思う。

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黒島の者は、本当にいたんだよって。


※黒島は7月から本格オープンするそうです。詳細は黒島HPをどうぞ!

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