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小説まとめ

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記事一覧

【ショートショート】なんか良いなの秋の朝

 午前八時過ぎ。休日だと言うのにぱちりと目が覚めた。二度寝を試みるが無事失敗。諦めていび…

藤堂佑
9日前
5

【ショートショート】ホットコーヒーの重み

「今日は一日中雨っぽいね」 「せやなぁ」  ちらりとカーテンを開け、窓の外を眺める。ベラ…

藤堂佑
3週間前
16

【秋ピリカグランプリ】飛ばないくしゃくしゃ紙飛行機

お題:紙  母が亡くなった。  約三ヶ月前に末期癌と余命を宣告され、母はその残り少ない時…

藤堂佑
3週間前
48

【ショートショート】純真無垢なランドセル

 朝目が覚めて、「天気が良いから」と、布団のシーツなど大物も洗濯した日。しかし太陽からす…

藤堂佑
1か月前
9

【ショートショート】秋雨前線、メロンソーダを通過中

「おはよ~……」 「おはよぉ。今日はえらい遅いお目覚めやな」 「ん゛ー……」  眠い瞼を擦…

藤堂佑
1か月前
13

【ショートショート】硬い雲

 スーパーへと買い物に向かった帰り道。大きな国道の交差点で自転車を停め、信号待ちをする。…

藤堂佑
1か月前
10

【ショートショート】俺達の九月野球

「今日の先発誰だっけー?」 「吉野ー」  キッチンから投げかけられた問いに端的な答えを返す。リビングテーブルの上、試合観戦のお供であるご飯の準備はセッティング完了だ。きんきんに冷えて薄っすらと冷気を纏う缶ビールを、二本持った彼女が合流すれば後は着席してプレイボールを待つのみ。  いただきますと手を合わせた頃、テレビで試合中継が始まった。そしてすぐさま缶ビールのプルタブを開ける。ぷしゅっと炭酸の音を聞くと喉が鳴った。画面の向こうでは期待の投手が二球目を投じたところだ。 「い

【毎週ショートショートnote】タンバリン湿原

お題:タンバリン湿原  突然だが僕はタンバリンが好きだ。世に数多とある楽器の中で、タンバ…

藤堂佑
1か月前
10

【ショートショート】夏の終わり

 お昼に使った食器類。水に浸けさせたまま放ったらかして、うとうと昼寝を嗜んでしまった。面…

藤堂佑
1か月前
3

【ショートショート】ポテトサラダサンド

 特に意味もなく目が覚めてしまった日。携帯電話の時計は午前四時半を示していた。ベッドから…

藤堂佑
2か月前
7

【ショートショート】早朝四時半の気付き

 盆休みと銘打たれても、実家への帰省や墓参りをする人が全てではない。 元気報告を携帯電話…

藤堂佑
2か月前
10

【毎週ショートショートnote】黒幕甲子園

お題:黒幕甲子園  夏と言えば青春。夏の青春と言えば甲子園。そう、新人VTuberである私はあ…

藤堂佑
2か月前
9

【ショートショート】夏の坂道と思い出と

「あっちぃー……」  フリマアプリで不用品を出品した。はした金でも良いと思っていたが、存…

藤堂佑
2か月前
6

【ショートショート】最悪な日をちょっと良い日に変えてくれるきみ

 人間、生きていると不幸が重なる瞬間がある。  繁忙期も過ぎた平和な華の金曜日。定時帰宅出来るはずだったが、普段ならしない凡中の凡ミスを犯す。その小さな小さなミスが波紋のように響いて、虫の居所が悪い上司からの想定外の強い叱責・予定外の残業。乗るはずだった電車に乗り遅れ、普段ならしない乗り換えミス。自宅近くのコンビニでお気に入りの弁当も、スイーツも売り切れ。  あれ? 私、何にも出来てないじゃん。  そう、ふと自分の存在価値すら疑いたくなる偶然の重なり。自宅の玄関ドアを開け