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心のなかの悪魔

憂鬱な月曜の朝は、頭の中で感傷的な曲がエンドレスリピートする。
何の曲が流れ出すかは、ほとんど無意識でその時によって気まぐれだ。

今朝の頭の中に流れてきた曲は、大好きなバンド、"くるり"の「心のなかの悪魔」だった。

優しいギターとピアノの演奏にボーカルの岸田さんが声を紡いでいく。
くるりらしい、せつないメロディのシンプルな曲。
もともとはシングルやアルバムにも入っていない曲で、2年前にリリースされた未発表曲集に初めて収録された。

何回も聴いているこの曲、よく考えてみれば歌詞を意識して聴いたことがなかった。
今朝、ふと何気なく歌詞を見返すと、とても残酷でやりきれないものだと感じた。

歌詞の解釈は聴く人によってそれぞれだろうけど、私はこう思った。

どれだけ優しい人でも、みんなの心の中には「悪魔」がいる。

「心の中の悪魔」

それは愛する人への悪口や暴言、そして裏切りのことだ。
どんなに愛していても、どんなに大事にしていても、それは突然やってきて魔が差したように「私」をそそのかして相手を傷つける。

そして人は皆、愛する相手の心の中にも同様に悪魔がいることにも薄々気づいていく。
だから相手を心から信頼することもできなくなっていく。
その人間不信も、自身の悪魔がそそのかしたせいかもしれないが。

僕の心の中の悪魔は 凛と呟いた
あいつのなかの悪魔は お前を食いつぶすと

愛しているのに傷つける。信頼されていたのに裏切る。
そしていよいよ最後には、取り返しのつかないようなひどいことしてしまう。

後でどれだけ後悔しようと、もう元には戻れないのだ。

君は僕の悪魔と戦い 手負い 泣いていた
どうか少しでも青空が 見えますように


こういう内容の曲、他にもあったなぁと考えていたら思い出した。
"ASIAN KUNG-FU GENERATION"の「ソラニン」だ。


たとえばゆるい幸せが だらっと続いたとする
きっと悪い種が芽を出して もう さよならなんだ


私もイライラに任せ、身近な人に酷いことを言ってしまったことが多々ある。そして、わかっているのに繰り返してしまう。

いったい何故?悪魔の正体は?
人間の煩悩?エゴ?欲望?プライド?
とにかく、「心の弱さ」という安っぽい言葉で擁護しきれない、ドロドロした醜いものなのは間違いない。

この悪魔に対して、人はなす術もないのか。
一つ言えることは、まずは心のなかの悪魔の存在と向き合うことが必要だと思う。

僕は願いを込めて悪魔を 屋上で解き放つ
こんな顔したたんだと お互い見つめ合った

自分の醜い悪魔と対峙する。しっかりと目を見開いてよく観察する。
それは紛れもない自分自身だと。

愛する人と生きていくため、心のなかの悪魔と共に歩いて行く。
いつか穏やかに悪魔と暮らせる日を願って。

そう、愛する人を失ってからは遅いのだ。

君はどこか遠くのほうまで 出掛けてしまったな
歩いていこう 朝が来る前に

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