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杉浦非水に学ぶ着物美人の作り方・・・再び老舗の底力を見せて欲しい。


三越呉服店は江戸時代(1673年)創業の老舗です。

創業時の越後屋

ところで、杉浦非水は(すぎうら ひすい)は、近代日本のグラフィックデザイナーです。
彼は、明治43年(1910年)に三越呉服店の図案主任に抜擢されました。
以来大正時代(1912年以降)の三越呉服店の広告デザインにおいて、百貨店としての新たなブランドイメージをつくり出す「イメージメーカー」の才能を発揮し、「三越の非水か、非水の三越か」と言われるまでになりました。

非水の着物美人

大正時代、洋装や西洋モダニズムがもてはやされ、モガやモボがファッションをリードしている最中、杉浦非水が描く三越のポスターには着物美人が多数描かれています。

これは、江戸時代に開業した呉服店『越後屋』が三越のルーツであったことに起因しており、呉服が商売の柱であったことを物語っています。

時代の新しい空気は取り入れつつも、「呉服の三越」のブランドイメージは決して忘れないという証で、これこそが当時の三越のコーポレート・アイデンティティだったのでしょう。

着物のモダニズム

余談ですが、現在各百貨店(デパート)の呉服売り場の売り上げは惨憺たる状況です。

ほとんどの百貨店が江戸時代に呉服商として財を築き、現在に至っているがゆえに老舗のプライドにかけて呉服販売はやめられないのでしょう。

だとするならば、杉浦非水が描く着物美人のように、時代の新しい空気を取り入れた、新しい価値を提供する呉服部門に生まれ変わるべきだと思います。

現在、呉服業界は典型的なレッドオーシャン。

これをブルーオーシャンに変える可能性を持つのは実は百貨店だと私は密かに思っています。
望まれるなら、私はその具体的な方法をお伝えしたいです。

百貨店には着物の流行は作れませんが、新しいスタイルは創れると思います。
その底力は老舗の百貨店にはまだあると信じています。

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成願義夫 Jogan Yoshio プロフィール
伝統文様研究家、装飾画家、アートディレクター、着物デザイナー、グラフィックデザイナー、伝統産業商品開発アドバイザー
株式会社京都デザインファクトリー 代表取締役社長

●代表作と最近の活躍
関西国際空港の初代ウエルカムボードのデザイン。
長野県善光寺の納骨堂の納骨壇の扉デザインの他、納骨堂のデザインは多数。
サッポロビールワインラベルなど、手がけたデザインは多数多岐に渡る。

●近況
2018年、秋、成願がデザインした金属製スマホケースが英国ウェールズ国立博物館に永久保管決定。
2018年、冬、和柄をテーマにした民放テレビ番組に解説者として出演。
2019年、春、ジョルジオアルマーニビューティー主催のイベント講師に招かれる。
2019年、夏、京都駅ビルのフォトスポット四箇所のデザインを手がける。
2019年、秋、京都高島屋のバイヤー向け『伝統文様勉強会』講師を務める。
2020年、埼玉県秩父市の招きで2日間に渡り講演会と伝統デザイン勉強会を開催。
2022年、NHKのテレビ番組『美の壷』に出演。

●近年はグラフィックデザイナー、壁面装飾画家、着物デザイナー、伝統文様研究家、伝統産業の商品開発アドバイザー、講演家として、テレビなどにも出演し、幅広く活躍中。  
著書は、和柄デザイン素材集を10冊以上執筆。総販売数は40万冊を突破。
また、著書の大人の塗り絵『和柄のヒーリングぬり絵ブック』(PHP研究所発行)は、累計7万冊を突破していまだにロングセラーを続けている。
成願の和柄デザイン素材集は日本中のデザイン事務所に、必ず1冊以上置かれていると言われている

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