坂本晶の「後悔するべからず」

こちらは小説専門のブログです。歴史物が多い。はてなブログでも書いてます。https:/…

坂本晶の「後悔するべからず」

こちらは小説専門のブログです。歴史物が多い。はてなブログでも書いてます。https://blog.hatena.ne.jp/sakamotoakirax/sakamotoakirax.hatenablog.com/entries

記事一覧

伊達政宗㉕

仙台城について続ける。 藩主が座る上段の間のさらにその奥に一段高い間があり、将軍が訪れた時にその間に座るとか、天皇が行幸してきた時に天皇が座る間であるとか言われ…

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カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑲

「ーーえ?え?」 と木工作は戸惑いの色を隠せない。 「な、何を言うの……」 と夏引もしどろもどろになった。 「あたしは知ってるんだから、あの泡雪奈四郎っていうのを何…

後白河法皇⑱

東大寺の焼き討ちにより、清盛は仏敵の汚名を着ることとなった。 しかしこの時、清盛は非常の措置を取り続けなければならなかった。なぜなら高倉上皇が病で伏せっていたか…

伊達政宗㉔

翌慶長6年(1601年)2月、景勝は上洛し、再建途中の伏見城で家康に謝罪した。 この時には、景勝の処遇は決まらなかった。 政宗が南部領で一揆を煽動するなど、不気味な策…

カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑱

銃声に、佑月ははっとして伏せた。 (頭を低く……いやこのまま死んだふりをした方がいいか?遠くから狙われ続けたら大変だが、死んだふりをすれば敵は近づいてくるかもし…

後白河法皇⑰

かつて、鳥羽法皇は息子の後白河法皇を「即位の器にあらず」と言っていたが、後白河法皇も以仁王に対し同じように思っていた。 後白河法皇が以仁王を評価しなかったのは、…

伊達政宗㉓

長谷堂城を守備するのは、最上義光の重臣志村光安率いる1000の兵。 上杉方は直江兼続が指揮する18000。 長谷堂城が落ちれば、最上は須川のみが防衛線となり、上杉が須川を…

カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑰

「この世界は、壊せない……?」 悟空の如意棒が空振りしたのを見た海松は言った。 「ほらな、世界を壊せるわけないんだよ」八戒が言った。 「ーーいや、壊せる」悟空は元…

後白河法皇⑯

平家は、初めての武士の政権であるため、経験不足な面があった。 後白河法皇の幽閉などは、鎌倉幕府以降の政権では、承久の乱くらいの事件がなければ上皇、法皇の身に触れ…

伊達政宗㉒

最上と伊達は攻守の役割を持たされていて、最上が守、伊達が攻である。 ところがずるいことに、政宗は諸大名が最上領から引き上げたのを見ると、奪った白石城の返還を条件…

カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑯

(なんか今回は、最初から気が乗らない話だなあ、独立した植民地の再征服なんて) そう思いながら、佑月は話を聞いていた。 その後、青い人型ロボットに乗り込んで出撃した…

後白河法皇⑮

後白河は出家こそしておれども、僧としての位階は持っていない。 そこで、阿闍梨の位が欲しくなった。 阿闍梨になるには伝法灌頂を受ければいいが、後白河法皇は延暦寺から…

伊達政宗㉑

慶長3年(1598年)8月18日、秀吉が死んだ。 62歳。 (ーーやっと太閤から解放されるわ) 政宗にとって、待ちに待った瞬間だった。 いや、政宗以上にこの時を待っていた者…

カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑮

(俺は一体ーー) 佑月は思った。(ここで何をしているんだ?) 「ヒーッ!」 と言って、黒いタイツに身を包んだ男達が、佑月に襲いかかってきた。 「ヒーヒーうるせえんだ…

後白河法皇⑭

近衛府の大将は、平重盛が既に右大将になっていたが、このたび重盛が左大将、宗盛が右大将に就任することになった。 武士が台頭して以来、武士は検非違使や弾正台など、武…

伊達政宗⑳

噂は、政宗の耳にも届いた。 恐怖のあまり、政宗は口の中がカラカラに乾いた。 政宗は慌てて小十郎を呼んだ。 「小十郎、そなた江戸大納言(徳川家康)のところに行って、…

伊達政宗㉕

仙台城について続ける。
藩主が座る上段の間のさらにその奥に一段高い間があり、将軍が訪れた時にその間に座るとか、天皇が行幸してきた時に天皇が座る間であるとか言われた。
俗に「帝座の間」と呼ばれる空間である。
仙台城には将軍専用の御成門まで用意してあった。
また大広間の隣には鳳凰の間があった。
鳳凰の間の正面上段の床には金箔を貼り、桐、竹、松、そして鳳凰が描かれていたという。
大広間の東側には眺嬴閣が

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カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑲

「ーーえ?え?」
と木工作は戸惑いの色を隠せない。
「な、何を言うの……」
と夏引もしどろもどろになった。
「あたしは知ってるんだから、あの泡雪奈四郎っていうのを何度かうちに連れ込んでたのを!なんでそんなあんたに色々言われなきゃなんないの!」
海松が叫ぶと、
「ーー別れろ」
と、声が聞こえた。
「え?誰?」
との海松の問いに声は答えず、
「ーー別れろ」
「ーー別れろ」
「ーー別れろ」
と、複数の声

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後白河法皇⑱

東大寺の焼き討ちにより、清盛は仏敵の汚名を着ることとなった。
しかしこの時、清盛は非常の措置を取り続けなければならなかった。なぜなら高倉上皇が病で伏せっていたからである。
治承3年の政変では、後白河法皇の院政を停止しても、高倉天皇の親政、または高倉天皇が譲位しての高倉院政が可能だった。
しかしこの時点で高倉上皇が崩御すれば、安徳天皇はまだ4歳の幼君であるため、政務を行うことができず、後白河院政の復

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伊達政宗㉔

翌慶長6年(1601年)2月、景勝は上洛し、再建途中の伏見城で家康に謝罪した。
この時には、景勝の処遇は決まらなかった。
政宗が南部領で一揆を煽動するなど、不気味な策動をしている間は、家康も景勝の処遇を決められなかったのである。
(要は一揆さえ片付けばよい)
と家康は思った。一揆さえ片付けば、政宗の動向を気にすることなく上杉を処分できる。

すると、
(そうはさせてなるものか)
と、2月7日、政宗

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カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑱

銃声に、佑月ははっとして伏せた。
(頭を低く……いやこのまま死んだふりをした方がいいか?遠くから狙われ続けたら大変だが、死んだふりをすれば敵は近づいてくるかもしれん)
幾多の戦いを経験した佑月は、そういう知恵が回るようになっていた。
はたして、鉄砲を携えた男がこちらに近づいてきた。
男は佑月の刀や持ち物に目をつけたようで、佑月の懐を探ろうとかがみこんだ。
(格闘技の本で読んだことがあるが、できるか

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後白河法皇⑰

かつて、鳥羽法皇は息子の後白河法皇を「即位の器にあらず」と言っていたが、後白河法皇も以仁王に対し同じように思っていた。
後白河法皇が以仁王を評価しなかったのは、その思い込みの強さにある。
今回の挙兵でもわかるように、自分が王の身分にすぎないのに、「最勝親王」と名乗り、諸国の源氏の挙兵するように令旨を発した。
令旨とは、皇太子が発するものである。
親王ですらない王ならば、「令旨」ではなく「御教書」と

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伊達政宗㉓

長谷堂城を守備するのは、最上義光の重臣志村光安率いる1000の兵。
上杉方は直江兼続が指揮する18000。
長谷堂城が落ちれば、最上は須川のみが防衛線となり、上杉が須川を越えれば山形城までさえぎるものがなくなる。
慶長5年(1600年)9月15日から、上杉は長谷堂城を力攻めしたが、18倍もの兵力差がありながら、城は落ちない。
それどころか、光安は16日には200名の決死隊を率いて、春日元忠の陣に夜

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カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑰

「この世界は、壊せない……?」
悟空の如意棒が空振りしたのを見た海松は言った。
「ほらな、世界を壊せるわけないんだよ」八戒が言った。
「ーーいや、壊せる」悟空は元の大きさに戻った如意棒を見つめながら言った。
「はん、だったらなんで壊せねえんだよ」と八戒。
「俺達には何かが足りないんだ。ここから出ていくだけの何かがーーお師匠様」
悟空は海松に言った。「お師匠様はなんでここから出たいんです?」
「え?

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後白河法皇⑯

平家は、初めての武士の政権であるため、経験不足な面があった。
後白河法皇の幽閉などは、鎌倉幕府以降の政権では、承久の乱くらいの事件がなければ上皇、法皇の身に触れることはしなかった。
平家は日本の半分を知行国としたが、大体日本の半分以上を直接支配した政権というのは、その後衰退に向かう。元寇の後の北条執権政治も、政情不安を浮けて、北条一門が40ヶ国の守護となった。しかしその後、後醍醐天皇の倒幕運動によ

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伊達政宗㉒

最上と伊達は攻守の役割を持たされていて、最上が守、伊達が攻である。
ところがずるいことに、政宗は諸大名が最上領から引き上げたのを見ると、奪った白石城の返還を条件に、上杉と講和してしまった。
白石城を返すと言っても、政宗は返還の手続きはしない。
つまり、「実力で最上領を奪ってみろ」ということなのである。上杉が最上に勝って、中央の形成が東軍に不利ならば、政宗は上杉と手を結んで西軍に寝返る。
一方、中央

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カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑯

(なんか今回は、最初から気が乗らない話だなあ、独立した植民地の再征服なんて)
そう思いながら、佑月は話を聞いていた。
その後、青い人型ロボットに乗り込んで出撃した。
(不思議なもんだな、操縦方法がわかっているというのは)
佑月は、迷うことなくロボットを操縦しながら思った。
佑月が乗るロボットは、地球連邦軍の中でも特別に優れた兵器らしい。
佑月はロボットが持つライフルの照準を定め、次々とメノン軍のロ

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後白河法皇⑮

後白河は出家こそしておれども、僧としての位階は持っていない。
そこで、阿闍梨の位が欲しくなった。
阿闍梨になるには伝法灌頂を受ければいいが、後白河法皇は延暦寺から灌頂を受けたくはない。
そこで、園城寺より灌頂を受けようと思い立った。
天台宗の総本山は延暦寺だが、天台宗にはもうひとつ総本山がある。
それが園城寺である。
園城寺は壬申の乱で敗れた大友皇子(弘文天皇)の皇子大友与多王が建立した寺院で、天

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伊達政宗㉑

慶長3年(1598年)8月18日、秀吉が死んだ。
62歳。
(ーーやっと太閤から解放されるわ)
政宗にとって、待ちに待った瞬間だった。
いや、政宗以上にこの時を待っていた者がいる。
言うまでもない。内大臣徳川家康である。
秀吉の死により、それまで水面下にあった問題が表面化するようになった。
朝鮮出兵の時に、戦場で自ら血を流してきた武断派の大名達は、現場も知らずに秀吉の近くにいて実権を握っていた、石

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カノジョに浮気されて『八犬伝』かおとぎ話かわからない世界に飛ばされ、一方カノジョは『西遊記』の世界に飛ばされました⑮

(俺は一体ーー)
佑月は思った。(ここで何をしているんだ?)
「ヒーッ!」
と言って、黒いタイツに身を包んだ男達が、佑月に襲いかかってきた。
「ヒーヒーうるせえんだよ!」
と、佑月はパンチとキックでなぎ倒していく。
朝目が覚めたら、また知らない部屋にいた。
外に出てみると、古本屋の奥さんが殺された時代よりは大分後の時代で、現代の雰囲気が濃厚にする。
(だけど看板がなんだか野暮ったいな、なんだろう?

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後白河法皇⑭

近衛府の大将は、平重盛が既に右大将になっていたが、このたび重盛が左大将、宗盛が右大将に就任することになった。
武士が台頭して以来、武士は検非違使や弾正台など、武士にふさわしい官職に就いてきたが、近衛府の将官は公家が独占してきた。
独占どころか、出世コースであった。近衛府の大将から大納言、大臣へとなる公家は多い。
つまり、公家は軍事、警察などの官職は武士に与えたが、例え武力は持たなくても、『皇室は公

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伊達政宗⑳

噂は、政宗の耳にも届いた。
恐怖のあまり、政宗は口の中がカラカラに乾いた。
政宗は慌てて小十郎を呼んだ。
「小十郎、そなた江戸大納言(徳川家康)のところに行って、太閤殿下に此度のことの取りなしをお願い致せ」
「承知つかまつりました」
小十郎は徳川家康の伏見屋敷に出かけた。
家康はすぐに小十郎と面会した。
「ーーそれで、大崎侍従殿はこの儂にいかなる御用かな?」家康が言うと、
「は、ぜひとも大納言様に

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