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列車に乗って北朝鮮(3)~新義州→平壌 その1~

●のんびり走ります

さて無事に入国審査もクリアして
あとはゆったりと列車の旅を楽しむだけ。
ここからピョンヤンまでの200キロあまりを
約5時間かけてのんびり進みます。
ってことは平均時速40キロ。マジ遅いw

これは車内に掲示されてる
国際列車の運転時刻表。

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まん中の太字は停車駅で、いちばん上はピョンヤン。
4つめが新義州、一行空けて丹東駅です。
5時間も走るのに、途中停車駅はなんと2つ?!
北京行きに至っては1駅しか停まらないダイヤですか。
さすが国際急行、かっ飛ばしますね。40キロだけど。

駅名の列の左側はピョンヤン発北京行き。
右側が北京発ピョンヤン行きで
こちらは下から上へと見ていきますよ。
左から到着時刻、停車時間、発車時刻、の順。
新義州駅と丹東駅では出入国検査のため
2時間前後と長い停車時間になってます。

これ、2016年版の時刻表のままなので
中国との時差は当時の30分のまま。
今は日本や韓国と同じ時刻になってるので
中国との時差は-1時間です。

この平均40キロという
大変ゆったりなペースについては
機関車の古さや性能だとか
線路や施設の整備状況とか
原因がいろいろ言われてますが
何にせよワタシ的にはむしろ好都合(笑)

高速でビュンビュン飛ばされるよりも
沿線の風景をじっくり楽しめますからね。

街あり

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村あり

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イナカあり。

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ときどき巨大なスローガンや

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「将軍様とともに千万里」


肖像画なんかもやっぱり出てきて

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※右の女性は金正日のお母さん、金正淑です。


北朝鮮に来たんだなーと実感できます。


●北朝鮮の車窓から

以前にこの列車に乗った時は団体旅行で
現地ガイドが同乗していたこともあって
けっこう車窓の撮影にはうるさくて
いろいろ制限が多かったんですが、
今回は一人。

撮りたい放題、とは言えないながらも
すでに乗務員やほかの客と
ヘタなりに多少は朝鮮語で話してたおかげか
カメラ持っててもあんまり警戒されず。
むちゃくちゃバシバシ撮りまくらなければ
ほぼ自由に撮影できました。
ま、そうは言っても
そんなに撮影ポイントがあるわけでもないけど(苦笑)

でものどかな田園風景にちょっと懐かしさを感じたり

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むこうの白い花はソバの花ですかね


荒々しい岩山に大陸を感じたり。

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それにヤギもいれば

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牛もいる。

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なんか、いいなぁ。

そんな中で
いちばん目立ったのは農地ですね、やっぱり。

冬だとけっこう荒涼とした雰囲気になっちゃうんですが
ちょうど田植えの時期に差し掛かっていたので
水を入れた田んぼが多くみられます。

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水を張った田んぼが延々と続く様子は
広々として気持ちいい。

昔ながらの牛を使った代掻きもまだ健在ですが

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いまやトラクターがかなり普及してましたよ。

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だからオッサンさぼってるのか?ww

確かにちょーっと土地がやせ気味なのは否定できませんが
苗代には田植えを待つ苗が青々と。

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ただ、田植えはまさに人海戦術。

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あちこちで多くの人が田植えに励んでいました。

あちらの農業は共同農場方式なので
こういう田んぼなどは個人の農地ではありません。
地域単位で時期や場所を決めて一斉に作業します。
農繁期には都会から学生や軍人も動員されるそう。
あちこちに人々を鼓舞するスローガンもありますね。

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「党中央委員会4月委員会の決議を高く掲げ
           農業生産にもう一度拍車を」

右で農民が抱えてる稲束には
「生命線」と書かれてます。
左にはなにやら実績表のようなものも。

そしてこちらは丘の上に

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「みんなで新しい朝鮮速度の創造を!」

常に早く!たくさん!がんばれ!って感じですか。
なんだかちょっと大変そう…

●「明るい農村」になってきてます

それでもなぜか以前ほど
人々から悲壮感を感じなかったのが印象的。
まぁ季節的なこともあるんでしょうが
人々の服装がちょっと明るめになってるなと感じたり
表情がちょっと穏やかになったような気がします。

以前はこう、国際列車を見る視線が鋭い、というか
異質なモノを見るような表情が多かったんですよ。
あるいはまったく無関心で
下を向いてただ黙々と歩いている…というように
一言で言うと、正直「陰気」な雰囲気がありました。
とくにこうした地方の農村部では。

それが今回は
遊んでた子供がそろって手を振ってくれたり

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自慢(?)のチャリに彼女を乗せた男の子が
列車に対抗するようにふざけてスピード上げてきたり。

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ほかにも河原の土手で昼寝してるオヤジとか
木陰で弁当広げておしゃべりしてるオバちゃんもいて
なんとなく「ゆとり」のようなものを感じました。

そういえばさっきも出てきましたが
自転車がものすごく増えてますよ。イナカでも。

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以前は地方農村と言えば
見る人みんな荷物持ってうつむきがちに
何もない一本道をひたすら歩く…という感じでしたが
今は老若男女ガンガン乗りこなしてます。

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かつては警官くらいしか乗ってなかったバイクも
かなり目立って増えてきてますし。

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そういうこともあってか、
なんかこう人の動きにも活発になった印象が。
人の生活がある、って感じる景色が増えました。

もちろん道路のほとんどが相変わらず未舗装だったり

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野草摘みと思われる子供たちが頑張ってたりと

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まだ生活水準は決して高くはないのでしょうが
それでも全体的には底上げされてきてるのかも。

農村部でも真新しいバスや

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きれいな大型トラックを頻繁に見かけます。

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中国製も多いようですね。

いまがちょうど過渡期なんでしょうか
新型バスの前で牛車が踏み切り待ちという
シュールな場面もあったりして興味深いww

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また駅横の広場でサッカーに夢中の子供や

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いまも係員が常駐する懐かしい踏切など

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そのほかにも楽しい車窓で飽きさせません。

なんかもうそのうちにだんだんと
北朝鮮の車窓だっ!というガツガツ感が
自分の中から抜けていき、
カメラのファインダーを覗き続けるのにも疲れて
ぼーっと景色を楽しんでいましたよ。

引き続き列車はピョンヤンめざしてのんびり走ります。

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