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囲炉裏を見ながらカジキを食べます…、陸蒸気

中野駅の北口側に「陸蒸気」って店がある。

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駅前からブロードウェイをつなぐアーケード商店街の東側。
縦横無尽に走る路地。
そこにズラリと小さな店が肩寄せあって立ち並ぶ、昼夜にぎわう飲食店街。
その一角にひときわ大きく重厚な建物があって、店の前には駅のホームに置かれているような行き先表示の木の看板。

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ここは「おかじょうき」。行き先は「なかの」、そして「つがる」と書かれ信号だとか踏切表示版が置かれてる。
北の魚をおいしくたのしむことができる店であります。
中に入ると帳場があって、昼の時間は前払い。カジキマグロの定食選び、生野菜と卵焼きを追加で〆て1250円。来月からは定食が950円から1000円になるんですよとご案内。
ご飯や味噌汁がお代わり自由で950円という今の値段はありがたすぎる。1000円だって安いものネ…、と感謝する。

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帳場の前から3段さがるとカウンターに大きな囲炉裏。20人ほど座れましょうか…、囲炉裏の真ん中に炭が積まれて火がおこり、串に刺された魚がズラリ、ギッシリ並んで焼かれる。
ボクと知り合った頃、タナカくんにとって一番身近だった街が中野で「いい店があるんだよ」って連れてきてもらったのがここだった。
そのときは夜。囲炉裏の炭火をぼんやり見ながらおいしい魚に肴にお酒。向かい合うのでなく同じ方向を見て同じものを見る。自然と会話がはずんで一気に気持ちが近づいた。
カウンターの中が2段ほど下がってて中で働く人の目線が椅子に座ったボクらの目線と同じところにあるのに感心もした。「中の人に見下されるカウンターって居心地悪くて好きじゃない」って言っていたのを思い出す。

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帳場でもらった木札をカウンターの厨房側の端におき、それを目指して料理が届く。

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ご飯に味噌汁、大根の漬物に厚焼き玉子に生野菜。
深鉢にレタスにきゅうりにトマトがギッシリ。フレンチドレッシングを少々にレタスの上にマヨネーズ。

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サラダと言わず生野菜と名付けるところが粋でいい。

まもなくカジキマグロが到着。

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ゴロンとまるで岩のごとき大きく分厚いカジキの切り身。
醤油を塗りつけながらこんがり焼かれて、表面パリッと焦げて仕上がる。

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箸でざっくり割るとしっとりとした身質はやわらか。ぽってりとした田楽味噌がとろんとかけられ、これがご飯をすすませる。ふんわかとしたカジキは軽い酸味を残して崩れる。皮をキレイに削ぎ落としてから焼いているから食べやすいのもありがたい。

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囲炉裏の前でお店の人がずっと魚の面倒をみる。大きな壺から塩をつかんで、お相撲さんが土俵に歯をまくかのごとき威勢の良さで歯をほどこし、串をつかんで方向帰る。帳場の人に「鮭ならすぐに出せるから…、ってお伝えして」って声をかけたりにぎにぎしくて、それがおいしいムードを作る。

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厚焼き玉子は甘くてしっとり。お酢をたっぷり飲ませた大根はシャキッと歯ざわりさわやかで、口の中をみずみずしくする。出汁のきいた味噌汁もよし。ちょっとこわめのご飯がボクの好みでお代わりしたかったけど、我慢しました。ねぷたのお囃子が遠くに聞こえて、お腹も満ちた。またまいります…、オキニイリ。


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