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紐を食べるがごときつけ麺。ほどほど甘露

出張帰りに腹ごしらえ。東京駅前のkitteの地下にやってくる。
日本郵政系の不動産会社の施設。東京駅前だけじゃなく博多駅前、名古屋駅前にもあってまもなく大阪梅田にもできる。
郵便が鉄道を使って運ばれていた時代に仕込んだ駅前一等地の再開発ビル。
寝ていた資産の活用だからどこも結構贅沢な仕上がりになっている。
ただテナント選びに不慣れなところがあったのでしょう…、開業以来飲食テナントは出たり入ったりが激しかった。特に地下に出来てたデパ地下みたいな食品売り場は駅中売り場と丸かぶり。あまりの不入りにクローズされて、あとにできたのが「ラーメン激戦区」っていうラーメン店を集めた施設。
これが人気で続いてる。
ラーメン店は5店舗あって、行列が絶えぬ店、そうでもない店と繁盛具合に格差はある。不人気な店は脱落、新たな店に変わっていくという優勝劣敗の激戦区。
一番あたらしいお店が「かん田」という店で、ここがかなり変わってる。

お店の前に暖簾も看板もないんです。店の中には大きな看板があるんだけれど外から見えるわけじゃない。店の造りは割烹的で、働いている人のユニフォームも割烹の板前さんのようにも見える。
スープの謳い文句がこういう感じ。
「瀬戸内産鯖節、鰯煮干し、鰹節、ムロアジ節など5種類の煮干しに本醸造の濃口醤油をブレンド、香味油の煮干し鶏油で仕上げている」。つまりかなり和食寄り。

ザルの上には生卵。

木箱に焼き海苔。

唐辛子味噌であえた生ニラが置かれててこれら全部食べ放題。いいサービスではあるんだけれどニラの匂いが強烈で餃子工場に紛れ込んだみたいになるのがいささか辛い(笑)。

「冷製スープの平打ちざるそば」っていうのがある。
商品写真がかなり強烈。
試してみました。

柄付きの木桶に冷たいスープがたたえられ、そこに幅広の麺が沈んでやってくる。麺というよりシートと言ったほうがぴったり。
食べる前からワクワクしてくる。

豚肩ロースのレアチャーシューに極細メンマ、白髪ネギ、柚子の皮をキレイに盛り付けた皿の下にタレ。
タレの色はせいろのタレのようにも見えて、キラリと油が浮かんで光る。
麺をそのままなににも漬けずひと口かじる。硬くて前歯でザクッと歯切れる。小麦の香りがふわっと漂う。噛めばうま味を感じる麺で、おそらくこの形状だからでしょうネ…、口の中にしばらく居座る感じもおいしい。

タレにくぐらせ食べてみる。
このタレ、見た目以上にそばつゆ的で油の風味があるからラーメンのようにも感じる。とっぷり浸して味をのっけて口に含むと、麺と混じって徐々に甘みをましていく。

ラーメンではない。そばじゃない。うどんでもない不思議な食べ物。狐につままれたようなおいしさとでも言いますか。

おいしい。
だけど、そのおいしさを記憶のどこの棚に入れればいいか迷う。結局、新たな棚を作って入れることにした。そんな独特。
全部で10枚ちかくあったのかなぁ…、やってきたときにはこれでお腹いっぱいになるのかなぁって心配したけど、これでなかなかボリュームがある。
ズルズルじゃなくてモグモグ食べる。

飲み込むのじゃなく噛んで味わう。顎をしっかり使って食べるから分量以上に満腹感を頭が覚えるからかもしれない。とにかくお腹は満ちた。お勉強。


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