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ふぐを気軽に。昼のゴチソウ

家の近所に「山田屋」という日本料理のお店がある。

いつもは通らぬ路地に面してある店で、先日たまたまお店の前を通ったらフグ料理の専門店だというのがわかった。
しかもお手頃値段のランチがあって試してみようと思って来てみた。
白木のカウンターに小上がりだけの小さなお店。職人さんがふたりで切り盛りしてらっしゃった。

磨き上げられたカウンターは角がとれて手触りなめらか。壁には焼酎、日本酒の瓶がずらりと並んでて、夜はさぞかしにぎわうんだろうって思う。
昼の定食は4種類。ふぐの唐揚げ定食や焼きふぐ丼などどれにしようか迷ってしまう。しかもどれも900円という申し訳ないようなお値段。
「ふぐと茄子の煮おろし定食」を選んでたのむ。
フグの唐揚げがカラコロ油がはぜる音がして、静かになったと思うとおいしい匂いが漂ってくる。しばらくたって料理が完成。お待たせしましたとやってくる。

メインの料理に大根と厚揚げの煮付けに青菜とエノキのおひたし、味噌汁、漬物、ご飯。
量は昼のお腹に必要十分。
どれもキレイに整っている。
なによりふぐと茄子の煮おろしのおいしそうなこと。

素揚げの茄子はとろり、なめらか。
煮汁を含んだ大根おろしの中にはふぐの唐揚げ、5貫。さっくり煮られて衣がとろんとしはじめている。

とはいえ揚げた直後のサクッと歯切れる衣の食感の名残はあって、むっちり、ふっくら、ふぐ独特の旨みとゼラチン質の粘りを感じる。おいしいなぁ…、タナカくんは揚げ茄子とふぐの唐揚げが大好きだった。これを食べたらよろこんだに違いないって思ってハフハフ。

小鉢の料理も丁寧です。

味噌味で整えられた大根はクチャっと潰れておいしい煮汁が口を潤す。厚揚げにも味がしっかり染み込んでいてふるふる、食感たのしい一品。

菜っぱはシャキシャキ、エノキがザクザク歯切れて出汁をたっぷり吸い込んだお揚げもおいしいおひたしは出汁まで全部飲み干しちゃった。
熱々の豆腐の味噌汁はしっかりとした味付けで、ご飯のおかずになってくれそうなほどの味わい。感心します。

いい店だなぁ…、気軽な雰囲気、なのに凛とほどよい緊張感に背筋が伸びる。おなじみさんになりたいお店。メニューをよくみたらふぐの唐揚げを300円で追加できるようで、次はそれだなぁ…、と思って席をたちました。


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