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漬け穴ちらしというオゴチソウ

銀座でお昼。「寿司処まる伊総本店」にやってくる。

昔、赤坂のみすじ通りに支店があって、タナカくんとよく行っていた。
「漬け穴ちらし」っていうのが大好きで、まる伊に行くよ…、って言うと気持ちはスキップするようだった。
その赤坂のお店がなくなったときにはさみしくって、さみしくて。銀座に本店があるからいつか行ってみようよっていいながら、結局行かずじまいになっていた。
銀座松屋の裏側あたり。

メニューは赤坂時代とほぼ同じ。

値段は上っていましたけれどなつかしいったらありゃしない。当時はふたりとも食べざかりだったから1.5人前をたのんでいたけれど今日は普通に一人前。
手のかかった料理でのんびりお茶を飲み飲み15分ほど。「漬け穴ちらし」がやってくる。口が大きく開いた漆器の器。漬けのマグロと軽く炙った煮穴子がズラリ並んだ姿にニッコリ。

マグロの漬けの真ん中にうずらの卵が殻ごと一個。
ボクは生の卵は苦手で、いつもタナカくんに譲ってた。
今日は醤油皿にうずらを移し、それを見ながらタナカくんを思い出しつつ食べていく。

赤身や中トロとマグロのいろんな部位のぶつ切り。
スッキリとした甘みのタレに漬けこまれ、むっちり、ねっとり、食感なめらか。
上等なマグロの風味や酸味がおいしい。

フックラとした穴子の食感も上等で、漬けや穴子の下には刻んだ海苔や千切りきゅうり、そしてガリ。口の中をにぎやかす。
この丼のステキなところがシャリの中に具材がたっぷり混ぜ込まれているとこ。

サーモン、エビに白身の魚。イカゲソ、茹でたタコの頭に厚焼き玉子。いくらにトビコ、甘辛に煮た油揚げがゴロゴロ転がりだしてくる。

「漬けと穴子のちらし」じゃなくて「漬けと穴子をトッピングにしたばらちらし」というのがここの漬け穴ちらしと言う料理の正解。
具材がたっぷりあるだけでなく、それぞれ食感が微妙に違って噛み続けるのがたのしくて、なかでもトビコがプチプチ奥歯ではぜるところがなんともおいしい。

どこを食べてもシャリ以外の必ずなにかの具材が口に一緒にやってくる。このサービス精神の旺盛具合にボクらはすっかり虜になっていたのです。
「ばらちらしにつきもののしいたけが入ってないのに惚れちゃった」ってキノコ嫌いのタナカくんがスゴくよろこんでいたのを思い出しました。
お供はアラ汁。出汁がしっかりきいていて、赤坂のときにはたしかおかわり自由だったなぁ…、なんて昔を思い出す。


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