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南昌飯店のオキニイリ、焼き雲呑を食べる夜

南昌飯店で夕食をとる。

お昼の営業をやめてしまって夜だけ営業。気軽な定食があってそれがとても便利だったのだけど、それもなくなりアラカルトだけ。
タナカくんと一緒ならばそれでも十分たのしめるけど、ひとりじゃいささか敷居が高い。
しかもいつも気遣ってくれていたお店の人の姿を最近見かけない。
ちょっとさみしく足が遠のいていたけれど、思い出の料理をどうしても食べたくなってやってきてみた。今日もあの人、いませんでした。
食べたいものは2つあって、ひとつは海鮮かた焼きそば。

極細麺にあんかけたっぷり。
見た目は長崎皿うどんそのものなんだけど、あんかけの味が皿うどんとはまるで違った中華風。

甘くない。鶏ガラスープがしっかりきいてて炒め油の香りが華やか。生姜の香りも力強くて、「見た目は似ているのに食べるとまるで違う料理ってなんだか不思議」ってタナカくんがいつも言ってた。
大きなお皿にたっぷり入ってくるのもうれしいオキニイリ。

もうひとつは焼きワンタン。

時間のかかる料理なんです。
たのむと餡を生地で包んでまず茹でる。
茹でてしばらくやすませて、たっぷりの油で片面焼いてお皿に移したもので、パッと見た目は餃子に見える。
ただひっくり返すと生地が薄くて、くるんだ餡が透けてみるの。

豚ひき肉にネギに生姜と具材はシンプル。
焼けたところはパリパリなんです。薄い生地だから儚く壊れて散らかる感じ。ところが焼かれていないところはプルプル。茹でワンタンのとぅるんとなめらかな生地の食感をたのしめる。
餡にしっかり味がついてて、醤油少なめ、お酢たっぷり、ラー油を注いで作ったタレを軽くまとわせプルンと食べる。これで紹興酒のオンザロックを飲むのが好きな人でした。

かた焼きそばの具材はざく切りキャベツに白菜、もやし、にんじん、青菜にキクラゲ。エビ、イカ、貝の柱と多彩でふんだん。刻んだナルトが入っているのがたのしくて、たしかにこれも海鮮だよね…、って言って笑っていたものでした。
最初はパリパリしていた麺がに餡がからんで徐々にぽってりしていくところがまたおいいしくて、ゆっくり時間をかけて食べてく。

途中でお酢を注ぐと塩味餡に甘味がくわわり、油の香りもスッキリしてくる。
お酢の力で餡がほどけてスープのようになっていく。麺は最初になくなって、最後に野菜スープが残る。

お皿を持ち上げゴクゴク飲んでお腹いっぱい。気が済んだ。


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