マガジンのカバー画像

おいしいお店とのホガラカなつきあい方

38
ほぼ日刊イトイ新聞で連載させていただいていた、「おいしいお店とのつきあい方」と「新宿二丁目のほがらかな人たち」。 その後日譚や、ほがらかな目線、立ち位置からのアップデート版を配信… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

ファストフードなんかじゃない、飲茶のたのしみ

料理から無駄とエレガンスを剥ぎ取った人が成功する。 ファッションの世界では無駄とエレガンスにこだわる人も成功できるけれど、飲食店ではユニクロ的でなければ企業家として成功できない。 企業家になることが唯一の成功でなく、企業でないからこその良さがおそらく飲食店の良さであろうと思うのだけど、企業でなくては働く人がなかなか集まってくれないことがなやましいとこ。 …、とまるでほがらかでない書き出しでスタートしたけど、理由はこんなタイトルの記事を発見してしまったから。 香港のファスト

戦う道具であることをやめたナイフやフォーク

銀座ウエストで食事をするたび感心するのが磨き上げらえた銀食器たち。 シュガーポットにクリームピッチャー、四角い下皿。 ナイフフォークやスプーンに至るまで入念に磨かれていて銀器独特のぬんめりとした艶っぽい輝きを放ってる。 食べるための道具が上等であるかどうかはお店の品格をあらわす重要なポイント。 ボクは「手が味わうおもてなし」だと考えている。 箸やナイフフォークは当然、「手で持ち上げて」使うもの。 重さや手触り、時に温度で料理に対する期待感をたかめてくれる。 「温度」と言った

トイレの前で突っ立ち待つ人の不思議と不埒

今日、息が止まるんじゃないかと思うような出来事に遭遇しました。 とあるお店での出来事でした。 どこのお店か…、というとサービスがとても良いことで人気のお店。 実名は避けますけれど、今日のボクの日記を見ればどこのお店かは推察できようものであります。 そう、その店です。 ボクはトイレを借りました。 いつもキレイに整えられて居心地良くすら感じるトイレで用を足し、ドアを開けます。 なんと目の前にマクスをした女性がヌーっと立ってたんです。 トイレのドアの真っ正面。 しかもトイレに額

耳は塞げる。息はしないと死んじゃいます

音や気配が騒々しくてお店で損する人の話を先日しました。 そのとき「騒々しい匂い」も損する要素のひとつって話もしましょうと約束しました。 そしたら先日、リニューアルオープンしたばかりのフランス出身のホテルチェーンの銀座店に行って匂いに悩まされ、こりゃ、急いで書かなきゃと思って今日のこの投稿。 メルキュールホテルというホテルです。 入った途端にすごい匂いに襲われます。 エントランスからエレベーターにのってレセプションへと向かう間、刻々と匂いを変える。 ケミカルな鋭い香りでドキ

騒々しい人、うるさい人

今日、喫茶店で打ち合わせをしていたらひとつ向こうのテーブルに騒々しい人が座ってた。 騒いでいるわけじゃない。 その人はおそらく普通にふるまっているつもりなんだろうけど、どこかうるさい。 「五月蝿い」って書きますよね…。 まさに梅雨どきの蝿のごとく無視しようにもできない煩わしさに税理士さんも「なにか不機嫌になるようなことがあったんでしょうかネ」って心配するほど、気になった。 お店で目立つ人は得するなんて言われます。 ただ「好ましく目立つ」という意味での目立ち方をする人にそれ

ゆずりあいって大切なのにネ

今日はちょっと嫌なことがあった。 ゴキゲンな場所で出会った嫌なことだったから、ちょっとショックが大きくて、リカバーできるかどうか最初はわからなかった。 ただそのお店のステキな商品、ステキなサービスに気持ちは徐々に晴れてきて、結局ステキな時間を過ごせてホッとしたのだけれど、その不機嫌のきっかけは最近、他のお店や日本の社会のそこここで遭遇してしがちな出来事。 そういうことをしてしまう人には絶対なっちゃいけない。 そういうことをしないよう気を配ることが品よく生きることなんだ…、と

バイキングをこころおきなくたのしむために…。

バイキングは開店と同時にいかないと損しちゃう。 そう言いながら開店前から並んでお店に飛び込まなくちゃ気がすまない人がいる。 たしかに誰も手をつけていない料理が並ぶ景色は壮観。 キレイに盛り付けられた料理を自らの手で壊していくのは、雪がつもった公園に早朝行って足跡をつけてたのしむのに似た快感があるものです。 でもそんなたのしみも一度きり。 おかわりしようと料理の前に立つとそこには誰かが壊した料理の残骸があるのです。 バイキングをこころおきなくたのしもうと思ったら、いつ行く

サンドイッチの品格

どうやって食べればいいんだろう…、って悩んでしまうフルーツサンドが見た目だけでもてはやされる昨今。 こういうフルーツサンドの画像をうれしそうにアップして、おいしかった…、って言う人ってどういう食べ方をしたんだろうって気になっちゃって、他のコメントがまるで頭に入ってこない。 口の周りや手を生クリームだらけにして食べるんだろうか…。 潰れたフルーツから流れ出す果汁で手も顔もベトベトになっちゃったんだろうか…。 それともせっかくこんなにうつくしく作ってくれたサンドイッチを食べや

冬の装いとショップマナー

冬になると特にお店でもたもたしちゃう人が増えてくる。 増える上に目立つんですネ。 着るものが増えます。 持ち物も夏に比べて増える。 脱いだり着たり、置いたりそれを持ち上げたりとお店に入って席に付き、食事を終えて席を立つまで動作が増える。 それはしょうがないことなんだけど、しょうがないことをもたもたするのか、スマートにこなすかはその人次第。 スマートに振る舞う人はお店の人から好ましいと思えるから得することが多い人。 もたもたしちゃう人はお店の人からのみならず他のお客様からも迷

飲食店の見極め方とつきあいかたをアップデートする

外食産業を含めた食の産業。 コロナ以降、どうなるのか予想しようにもできないほどに右往左往していました。 なるようにしかならないとでもいいますか…、とにかく生き残ることに精一杯で、そのためにした工夫といえば助成金をふんだくるための手練手管と、売上が減っても利益を出す構造改革。 セルフサービスの店が増えたでしょう。 テイクアウトに注力するお店も増えた。 配膳ロボットも特別なものではなくなったし、資金力のないお店がチェーンストアに置き換わることも日常茶飯事。 でもそろそろ「生き

負けるが勝ちのアフタークリスマス②

アメリカ人は謝らない。 そう言われます。 単にアメリカ人と言ってしまうと言い過ぎになっちゃうかなぁ…、「仕事する人としてのアメリカ人」は簡単には謝らないというのが正確。 謝るということは自らの非を認めるということ。 結果、訴訟問題に発展して大変なことになったりするから謝らない。 日本人はとりあえず「ごめんなさい」と言ってから申開きをはじめるけれど、ごめんなさいと言ったからには迷惑をかけたことは事実であって、どんなに言い訳しても非は覆らない。 アメリカにいて1番イライラさせられ

負けるが勝ちのアフタークリスマス①

15年くらい前の今日のことです。 タナカくんとクリスマスディナーをしよう。 でもクリスマスのその日に男ふたりでディナーするのはちょっと気恥ずかしさもあってクリスマスの翌日の今日にしようよ…、ととあるお店を選んだのです。 場所は六本木ヒルズ。 開業した翌年のこと。 ニューヨークのイタリア料理の有名店が出店していて、ニューヨークの店には一緒に行ったことがあって、思い出話をしながら食事するのもいいね…、って予約をしたのね。 電話の受け答えは丁寧で、アフタークリスマスをたのしく過ご

サービスしないサービスもある

カシミールカレーの辛さで頭がぼんやりしたまま、町を歩けば冬の空気が心地よい。 さて、火照った舌を甘いものでなだめてやろうと神田を目指す。 珈琲専門店エースのドーナツを食べてやろうと思ってきます。 トースターで仕上げるドーナツ。 と言っても最近流行りの焼きドーナツとは違って揚げたドーナツ。 昔、駄菓子屋さんで売ってたような揚げドーナツをトースターで温めてお皿に移し、穴にバターをひとかけ収めグラニュー糖をたっぷりかけて出来上がり。 生地がボロボロしています。 ミスタードーナツ

ホテルのロビー、ラウンジにバー

それほど親しくない人を接待する。 緊張します。 気を使う。 特にどういう店を選べばいいのか心を砕く。 お店選びを間違えるとすべてが台無し。 ボクは大きなホテルのレストランを選びます。 大きなホテルには何種類かのレストランがある。 フランス料理のメインダイニング。 専門料理のビストロや中国料理に日本料理。 カジュアルに使えるコーヒーショップと、おもてなしの目的、あるいは相手の好みにあわせたお店選びができるのですネ。 それに例えば、フランス料理のお店で準備してたら気軽なお店がい