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Patent Olympiad(4) - CEPIUG 講演タイトルまとめ

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井と申します。今日は Patent Olympiadと一緒に開催される「CEPIUG 15周年カンファレンス」について書きます。

こちらはシリーズまとめ(マガジン)です


2023のスケジュール概要

PatentOlympiadとCEPIUG、
今年の大まかなスケジュールは下記のようになってます。

Patent Olympiadに関しては
・初日の午前中に早起きして Patent Olympiad 参加
・1ミリでも「優勝してる可能性あるかも・・・?」という参加者は
 2日目のディナーにも参加すべし
という感じです。

この記事ではそれ以外、
上記時間割のグレーの部分で行われるCEPIUGについて書いていきます。


CEPIUGカンファレンス

CEPIUGとは?

ひとことで言うならば「ヨーロッパの特許検索ユーザー連合会」です。
正式名称はConfederacy of European Patent Information User Groups。
欧州特許情報ユーザー グループ同盟、と訳されます。

2008年に発足した組織で、今年で15周年を迎えます。
各国のユーザー会が下部組織になっており、
現在は10カ国のユーザー会が加盟しているとのこと。

こちらは紹介記事です。(英文:無料閲覧可能)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S017221901500040X?via%3Dihub

欧州特許情報ユーザグループ同盟(CEPIUG)は,ヨーロッパ全体における特許検索の経験と専門知識の共有を促進するために2008年に設立された。CEPIUGは現在,欧州の8カ国により特許情報ユーザグループを構成し,新しいメンバーに開放されている。情報の交換に加えて,CEPIUGは,特許情報の専門家のための適切な認証制度の確立と同様に,特許検索の専門職への新規参入者に対する教育や訓練分野における欧州の取り組みの協調を促進することを目指している。(抄録より)

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201502243798770526

認証制度の取り組みや、新しくサーチャーになる人の教育訓練を協調して行っている団体で、その取り組みのひとつが「QPIP制度」(認定特許情報プロフェッショナル制度)となります。

2023年の主な講演タイトル紹介

以下、メモ書き兼ねて講演タイトルを掲載します。
上記のように、CEPIUGはサーチャー育成や教育支援、認定制度に力を入れているということで、15周年カンファレンスの内容も人材育成に関連したものが多くなっています

DAY1:9/17 午前

9:30-13:00 Patent Olympiad

(Patent Olympiadと同時間帯開催)
10:00-13:00 ワークショップセッション
最新のトピックに関する 4 つのワークショップ
①WIPO Standard の最新情報
②WIPO PATENTSCOPE
③EPO:単一特許と情報関連の側面
④EUIPO:意匠に関する情報源について

WIPO Standard の講義は シーメンス知財で分析業務をされてる方がレクチャーしてくれるみたい!それ聞きたい!(⬅PatentOlympiadと被るので聞けません・・・号泣)
PATENTSCOPE(以下パテスコ)の解説は、ジュネーブのWIPOからパテスコの開発者が来てくれるもよう。それも・・・聞きたかったよ・・・(さめざめ
EPO、EUIPOも庁のひとが説明するそうです。

DAY1:9/17 午後

14:00 – 14:45 人工知能と知財情報
専門家によるパネルディスカッションと、AI が私たちの仕事を変えるいくつかの側面、そして私たちがどこへ向かうのかについてのオープンディスカッション人間が AI から利点を得るベストプラクティス

人工知能と知財情報、海外でもトレンドになっているんでしょうか

議長はPatentOlympiadの「なかのひと」でもあるナイジェルクラーク
パネリストには、テキストマイニングの専門家、IEEEで標準化業務をやってる元EPOのひと、WIPOの先端技術応用センター所長、特許情報分析のスペシャリスト・・・という顔ぶれだそう。
個人的には、WIPOの方が「機械翻訳、画像とテキストに対する分類」など、特許情報に対して機械学習を使う研究をされてるそうなので、面白いお話が出てくるといいなー、って思ってます。

午後は15時頃に コーヒーブレイクを挟んで

これはEPOカンファレンスのコーヒーブレイクです
りんご丸ごとだし、上の段にはプチトマトが!
ルーマニア農業国だからねぇ(違うかな?)

午後の後半です

15:15 - 18:00 ケーススタディ
1b. ユーザー + プロバイダー共同ケーススタディ - ワークショップ ルーム A
1c. プロバイダーのプレゼンテーション - ワークショップ ルーム B
専門家が提供するプロのツールが仕事にどのように役立つかを学ぶことができます。

海外のカンファレンスでもプロバイダーさん達がやってきて
プレゼンテーションの時間があります。ブースを出している事も多いです。

ケーススタディ、かなり色々な発表予定が上がっております。
一部だけ挙げると
「製薬系分析アナリスト × CAS」
「P&G研究者 × PATENT INSPIRATION(オーストラリア)」
「RECKITT × Nils(米国)」 
「AGC Europeの知財分析担当 × Cikisi」
「Toolspace  ×  IPScreener」
・・・といった具合

1発表ごとの時間は短いかもしれませんが、
その分、色々な発表・色々な発見がありそうです!

DAY2:9/18 午前

セッション 2 
09:30 - ユーザーグループ、特許庁、特許情報の品質
CEPIUG 10 周年以来、特許情報の世界で何が起こったのでしょうか? ユーザー団体 CEPIUG、PIUG、PDG の目標と実績、WIPO、EPO、EUIPO での知的財産政策の展開についてお聞きください。

各ユーザー団体&欧州圏の特許庁からのプレゼン時間帯です
なんとなくですが、各国特許庁のデータベース施策とか、分類・特許情報系の施策が小出しに発表されそうな気がします

CEPIUG 10周年のとき。これ確か・・・WIPOのプレゼンかな?

DAY2:9/18 午後

セッション 3 [ISBQPIP 監督評議会主催]
12:00 – 14:30 - QPIP 認定 – 最初の 5 年間
ISBQPIP の正式な開始は、CEPIUG カンファレンスの第 1 回で発表されました。 何が達成され、試験はどのように開発され、どのような結果と経験があり、そして…今年の賞を受賞するのはどの受験者でしょうか?

セッション 4 – [WON 主催]
14:30 – 17:45 - IP 情報組織とそれを超えて
私たち自身の専門職、調査チームをどのように習得するか、学ぶべき最良の情報源は何か、そして知的財産情報の組織内で何が起こっているかを最新情報に保つ方法を学ぶための 4 つの重要な講演とパネルディスカッション 。

オランダのユーザー会の発表が気になります!
「ユーザー会議の時、プロバイダーさんはいつでも喜んでプレゼンしてくれるけれど、ユーザー発表が活発でない・・・」これ、世界共通の悩みなんですねぇ!そして、発表のハードルを下げる取り組みをしたんだそうです。ヒントを披露してくれるみたいなので楽しみです。

そして2日目夜はご飯に行きます。
ほんとは夜、ホテルから離れた所に行くの苦手ですが(出たな小心者
入賞者発表があるというので・・・必死で伺います・・・ううう・・・(笑笑

ルーマニアの時、ディナー会場で見かけた向こうのビール瓶
右端の「くまレトロビール」が可愛くて気に入ってます!


DAY3:9/19 午前

セッション5 - [CFIB主催]
09:00 - 12:00 特許情報の新旧問題
最近の「AI」のベストプラクティスと特許調査における今後の役割について学びます。このセッションでは、知財情報と持続可能性に関連する新たな検討事項や分類についても取り上げます。

この時間帯では
最初にCPCについてのユーザーによる発表があります。(聞かなきゃ!
そのあとはSDGs的なテーマがふたつ。
サステナビリティ(持続可能性)に関する特許情報アクション、
持続可能なエネルギー技術について。

お昼前には
AIとテキスト分析、それから 標準必須特許について知っておくべき事と検索方法、と続きます。

DAY3:9/19 午後

セッション6 - [AIDB主催]
12:00 - 15:30 ライフサイエンス分野の知財情報検索、未解決の課題と有用な提案
パテントインテリジェンス、FTO、そしてそれ以上のトピックについて、4人の専門家からどれだけの恩恵を受けることができるか、きっと驚かれることでしょう!

ここも個人的に興味深いコマです。
なんといっても
PATENTSCOPE、SureChEMBL、Google Patentsの3サービスについて
化合物検索の話があるようなんですが・・・「AIによる自動的な化合物コード付与の場合、公報中に存在しない化合物のコードが付与される場合もあるよ?」と、なかなか衝撃的な抄録が出てます。このコマのタイトルにも『未解決の課題」って入っていますが、ホントどうするの?それ・・・汗

他には「医薬品に「新活性物質」(NAS)が含まれている場合の証明」とか配列表要件に関する問題、化学分野でのFTO検索における2つの検索例、
などがテーマに上がっております。

おわりに

以上のように
時間割&抄録で自分が気になった箇所を「ひたすら紹介するだけ」の記事ではありますが、今回は気になる発表が多すぎます。

そして前回(5年前)と同じ開催パターンだとすると
発表が全部英語なのは勿論ですが
恐ろしいことに資料の配布がないかも・・・しれません(汗)前回はひたすらスマホのシャッターを押しまくり、メモを取りまくりでした。

前回の会場
細かい部分はもう忘れちゃったんだけど(爆)
検索式作成の話の途中で
Cardinal Sins (原罪)って出てきて
え!そこで原罪!? とメモしたやつ


後日、8割程度の発表資料はネットで共有されたんですが、
逆にいうと「当日現場にいないと全く情報がないやつ」も2割ありました。

今回もそうなるのかな・・・超やだなぁ(笑)
いずれにしても体力勝負だと思うので、
現地で倒れない範囲で頑張ります

(たぶん続きます)





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