魔法少女 夢日記2023.5.13

 俳優養成所。
 役者やタレントを目指す若者たちの中に、おっさんの僕が紛れ込んでいた。
 講師は見るからに厳しい指導をしそうな風貌の男性だった。
 今日の授業のテーマは、魔法少女である。いまからお前たちは魔法少女だ、まずは変身してみろ、と講師。生徒はそれぞれ、適当な呪文を唱えながらポーズをとったりしてみる。中年男性の僕も。
 もちろん、檄が飛ぶ。お前たちは選ばれて強大な力を授けられた魔法少女だ、変身とは、一度裸になっていままでの自分を捨て去り、力を振るう覚悟をまとうことなのだ、と。演技指導よりも魔法少女そのものへの並々ならぬこだわりがあふれ出ているようにも見える。
 変身については、みな及第点をいただいたようだ。お次は魔法を使って敵と戦うべく、練習場から外へ出る。
 講師が叫ぶ。人類の敵から地球を守るのだ!
 目の前のビルが、物凄い音を立てて崩れた。人が下敷きに。空には黒雲がもうもうと湧き立ち、嵐が吹き荒れる。そして足元からは地鳴り。何か恐ろしいものが地下から現れそうな予感。
 演技の練習をしていただけなのに。魔法少女が好きすぎる講師の妄想が、現実に影響を及ぼしてしまったのだろうか。
 僕たち生徒は変身したていでいるだけで、格好はジャージのままだし、魔法なんて使えるはずがない。

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