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豚肉の保水と保存

カウンターから手を伸ばせば届く距離に厨房がある。隣の席の方から、「走る豚のローストマスタード添え」のオーダーが入った。店主の緒方さんは、冷蔵庫からミートラッパーに包まれた骨付きロースを取り出し、お客さんの目の前で切り出した。

洋食おがた
京都府京都市中京区柳馬場押小路上ル等持寺町32-1
TEL. 075-223-2230

洋食屋さんで、オーダー入ってから骨付きロースを切り出す店を僕は他に知らない。普通は、骨が付いていない状態のロースか、あらかじめカットしたものを用意している場合がほとんど。しかも真空パックでの流通が主流なので、ドリップが出た分、旨みも損なわれていることが多い。骨付きで焼かれている姿にお客さんのテンションも上がる。

熊本県菊池で武藤さんが通年放牧で飼っている“走る豚“。2年かかりましたが、ここ最近ようやく分かりかけてきました。約85%の仕上がりを目指してまして、いまで65%の出来です。あとの20%は現行の設備では難しく、間もなく完成する「サカエヤ+」の豚専用冷蔵庫を待つばかり。

コントルノ食堂の菊池さんは、僕と知り合うずーっと前から走る豚を使い続けています。いわば走る豚をもっとも見てきたシェフの1人です。

菊池さんから、新保さんが手当てした走る豚は別物、今回の肩ロースは過去一、などなど、納品するすべての走る豚が完成度高いとは思っていませんが、菊池さんの料理を何度も食べてイメージを膨らませ、かなり寄り添えた手当てができているのかなと思っています。

それは緒方さん(洋食おがた)も同じくで、脱水するパーセンテージは菊池さんとは変えていますが、余分な水分がきれいに抜けた断面の美しいこと。焼き上げた肉からはドリップが一滴も出ず、噛んだときに溢れてくる肉汁は天然水のような清らかさです。

牛肉で育った僕ですが、豚肉も追求すると奥深くておもしろいです。ひとつだけ確実に言えることは、豚肉も牛肉と同様で「保水と保存」で味が決まります。血統や餌だと言う人が大半ですが、僕は生産者ではないので、そのあたりのことは分からないですし、手出しも口出しもできない領域です。だから、正解でもあるし、かと言ってすべてが正解とも思えないし。

どのような形態で届けてくれるのか、届けてからの処理、その後の保存で味は大きく変わります。それが肉屋としての僕の仕事です。

しかし、、

次回へ続く


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