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生産背景

鮨を食べるといつも数時間後にすき焼きが食べたくなります。腹パンなので実際には食べませんが不思議な現象です。たぶん僕だけだと思いますが。今日の昼間は、蛎殻町の「すぎた」さんの20周年の会に少し顔を出しました。杉田さんはあちこちで修行したわけではなく、一箇所で12年間働いたのち独立しています。いまでは、都内屈指の鮨の名店として全国にその名が知られていますが、人柄に触れて納得、食べて納得です。

セリが始まる1時間前には、購買者が出品する牛(枝肉)を目利きして狙いをつけるのですが、各々見るポイントは違うものの、基本は、格付けと照らし合わせながら、ウチヒラの張り、バラ、ロース断面の「サシ」をチェックします。

購買者は、自分好みの牛というより「儲かる牛かどうか」で選びます。そもそも、セリに参加する人たちは肉屋も一部いますが、ほとんどが問屋です。肉屋や飲食店へ卸すのが仕事ですから、自分の好みというより儲かる牛をいかに安く買い付けられるかが腕の見せ所でもあります。

とりあえず買ってから考えるか、という問屋もいますが、大半は売り先を頭に浮かべながら、儲かる(利益がとれる)牛を買い付けます。

僕は、問屋ではないので儲かる牛より、人(生産者)を優先しています。知り合いの生産者で、なおかつ枝重が450kg以下、できれば雌、格付けはA3、て感じで選んでいます。

先日のセリは、気にいった牛が1頭だけ。近江八幡市大中の後藤牧場さんの牛一択でした。但馬系近江牛で、滋賀県生まれ滋賀県育ち、枝重392.5kg、雌、A3という僕の好みにドンピシャです。毎回この牛で良いくらいです。

購買後、後藤さんから牛の情報が届くのですが、セリといえども出荷して終わり、買って終わりではなく、このあたりも、生産者と僕のつながりがあるからなのです。

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異性双生児の雌で、ミルクでしっかり育てたのですが、途中からあまり大きくならず、結果、今日のような枝肉となりました。
小さいですが、私の大好きな『芳悠福』なので味は大丈夫だと思います。
どうぞよろしくお願いします。
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普通は知らされないことですが、僕にとっては、生産背景も、手当てする上で重要な情報です。

僕がSNSやnoteにこういった内容のことを投稿するのは、うちのスタッフ向けではありますが、取引先のシェフにも知ってもらい、知識として蓄積して、正しい情報の代弁者になってほしいという思いもあります。

ありがとうございます!