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商売の基本

ラーメンを食べたくなったのでいつもの食堂へ。ラーメンの前に、刺身の盛り合わせやらミンチカツやら。料理ができるまで、これ食べといてと出てきたのがアスパラ。削られてるのは、鰹節ならぬジビーフ節。しかもバラで、、天才か?!

友人と食事をしていたとき、新保さんは儲かっていいよなー、と言われまして。はい?って感じですが、経産牛を安く買って高く売ってるから儲かっているだろうということみたい。

僕は市場価格より高く買ってるし、売価も他社と比べても安いと思うよ。と言ったのですが、その方曰く、安く買って高く売るのが商売の基本だから、新保さんは凄いなぁ、だそうです。

確かにそうかも知れませんが、僕が30代の頃、たまたま安く仕入れられたので、取引先に安く売りました。そのことを伝えると、シェフはすごく喜んでくれて、それ以降も安く仕入れたものは安く売ってきました。

あるとき、経営の勉強会で、それはダメだ、安く仕入れたものは、いつもと同じ値段かそれより高く売らないといけない、と指摘を受けました。まさに友人が言ってることそのものです。

しかし、それだけが商売ではないし、友人とは商売のスタンスも違えば、根本の考え方も違うわけですから、損をしているわけでもないし、その代わり高く仕入れてしまったときは、いつもより高値で買ってもらってるので、僕はこれでいいかなと思っています。

生産者から少しでも高く買って、価値をつけて高く売る。というのが僕の商売です。そうしないと小さな農家さんは潰れてしまいますし、生活ができないです。生産者が気持ちよく僕に肉を分けてくれる価格こそ、持続可能な取り組みだと思っています。

以前、僕が経産牛を安く買い叩いて高く売ってると、まったく知らない方に直接ではないですが言われたことがあります。経産牛を扱うだけで、そういうことを言われるのかと、悲しくはなりませんが、今も昔も経産牛に対するイメージは変わっていないのかと、畜産業界全体が取り組まなければいけない問題のようにも感じます。

とはいえ、実際は難しいでしょうね。再肥育していない経産牛は、身も薄くて肉は硬く、味も香りも乏しいので、ミンチにして加工品に回すしか活用法がないのが現状です。再肥育した経産牛でも、ロースやランプは熟成させてステーキに使えますが、すき焼きには不向きだし、お金を生まないですからね。

経済的な考え方をするなら、1産か2産、多くても4産くらいで肉にすれば、未経産の和牛とそれほど変わらない使い方ができるのではないかと経験上思っています。

「商売の基本」というより、大事なのは道徳だと思うのですが。

ありがとうございます!