新保吉伸/Niiho Yoshinobu

精肉店サカエヤの店主です。 飲食店や精肉店で働いてる若い人、うちのスタッフへのメッセー…

新保吉伸/Niiho Yoshinobu

精肉店サカエヤの店主です。 飲食店や精肉店で働いてる若い人、うちのスタッフへのメッセージ的な内容が多いです。経験豊富な大人には当たり前のことばかり書いてるのでつまらないと思いますが、ご一読いただければ幸いです。

最近の記事

豚肉の保水と保存

カウンターから手を伸ばせば届く距離に厨房がある。隣の席の方から、「走る豚のローストマスタード添え」のオーダーが入った。店主の緒方さんは、冷蔵庫からミートラッパーに包まれた骨付きロースを取り出し、お客さんの目の前で切り出した。 洋食屋さんで、オーダー入ってから骨付きロースを切り出す店を僕は他に知らない。普通は、骨が付いていない状態のロースか、あらかじめカットしたものを用意している場合がほとんど。しかも真空パックでの流通が主流なので、ドリップが出た分、旨みも損なわれていることが

    • 距離感

      洋食屋さんにもう少しスポットがあたってもいいと思ってまして。僕が大好きな「洋食おがた」さん。未訪の方はぜひ行ってください。おがたさんでハンバーグは何度も食べてきましたが、今夜の阿蘇のあか牛×走る豚のハンバーグ、僕のなかでは過去一です。ちょっと驚きました。 僕のことを「つなぐ人」として雑誌などメディアで紹介されることがあります。つい30年前、僕の存在なんて取引先から見れば出入り業者の1人にすぎなかった。突然いなくなってもまったく困らない存在。いくらでも変わりがいる。それを打破

      • 富栄さんの繁殖牛

        仙台のセリで富栄さんの繁殖牛を購買したのが4月8日でした。ロースとランイチを熟成させていますが、イベントまであと少し。今日初めて試し焼きして、予想外の仕上がりにびっくりしています。 藤田くんから、「松田くんの知り合いの宮城の繁殖農家さんのところへ行ってきます」と連絡が来たのが昨年の12月。その後、藤田くんから、富栄さん(繁殖農家さん)めちゃくちゃ素敵な方で、牛舎もきれいでした、と興奮気味に電話があり、冨栄さんの経産牛を1頭丸ごと手当てしてもらえないかと、、 じつは、富栄さ

        • 取引先一覧を削除しました

          たまにハンバーガーを食べたくなるときがあります。かといって、チェーン店のものは食べたくないので専門店を探すのですが、こう言う時に限って定休日だったり。僕が今まで食べたハンバーガーで記憶に残っているのが2つあります。そのうちのひとつがパリのラルケスト伊藤シェフが作ったジビーフのハンバーガーです。神楽坂のレテールでのイベントでしたが、いまも強烈に覚えています。いますぐにでも食べたい! HPから取引先一覧を下げました。すると知人から、「出張のたびに参考にしていたのに」とか、「マリ

        豚肉の保水と保存

          継続は力なり

          銀座samaniで食べたジビーフのセンマイサラダ。過去一じゃないかな。センマイは風味がないので食感を楽しみたい。鮮度というより処理で決まる。僕はパクチーが苦手なだが、センマイに絡めて一気に食べてしまった。食べた後の嫌な臭いもなく、これだけでも食べに行きたい。 Samani 東京都中央区銀座3丁目14-3 このnoteを読んでくれてる方から、よく毎日のように書けますね、と言われることがある。 僕は物書きが仕事ではないので、思いつくまま書いてるだけですが、過去に書いていたメ

          好みと完成度は違う

          揚げたアカムツを山椒を炒ったなかに埋め込んだ一品。山椒のピリッとしたのが苦手で、四川料理の辛すぎるのも避けているくらい、見た目でダメかなと思った。しかし、大丈夫だったと言うには失礼すぎるほど、おいしかった。どこからこの発想が降りてきたのか。聞けばスパイスの方とコラボしたとか。なるほど、そういうことかと。 前田さんの代名詞ともいえる「エボダイ」、見事な揚げっぷりだ。脱水しているので中に油が入らない。カウンターに陣取った食べ手のプロたちの心を一気に持っていった。 志村さんの向

          好みと完成度は違う

          肉と鮪

          魚は食べないですよね? ってよく聞かれます。肉ばかり食べてると思われているのか、、確かに毎日食べてますが、魚も食べますよ。ただし骨のある魚は食べないです。刺身専門です。 特に、鮨は肉の次に好きです。高くて早々行けないのが難儀ですが。魚の価格高騰や金に糸目をつけない訪日外国人、従業員の賃金、家賃に経費、なにもかも値上がりしてるので、高くなるのは仕方ないですが、ヨイショしまくる客もよくない。 肉は僕と行くのが楽しいと思いますが、魚は魚屋と行くのが楽しい。てことで、昨日も豊洲で

          安田さんの夢叶った日

          遊山の安田さんと初めて会ったのは大阪でもなく滋賀でもなく北海道様似でした。それ以来、ずっとジビーフの内臓を使っていただいてます。いつだったかマッキー牧元さんと徳山鮓の徳山さんと食事後(どこで食事したか忘れた)におしかけてジビーフの内臓を焼いてもらったことがあります。あまりのおいしさにお二人が涙するという。 安田さんとはBSE騒動で一度死んだ仲間。その後、心臓停止で本当に三途の川を見た安田さん。そんな安田さんが、6年越しで夢を叶えた淡路島の「全」は、薪焼きのレストラン。しかも

          安田さんの夢叶った日

          佐助豚

          そろそろ花山椒も終わりかな。今年は高かったですねー。和歌山の立野さんに無理を言ってご用意していただきました。毎年ありがとうございます。 佐助豚の久慈さんが、サカエヤに来られるのは2度目で、1ヶ月後なら豚の脱水庫を見てもらえたのに残念。とはいうものの、僕は一度も行けていないので、6月か7月あたりで行こうと思っています。どなたか旅は道連れ世は情けでご一緒にいかがでしょうか。 佐助豚の年間出荷頭数は9000頭なので、毎月750頭の出荷です。僕が扱っている他の銘柄豚は、多いところ

          気になれば行動する

          投稿の内容とはまったく関係ないが、ハンバーガーを久しく食べていない。ファースフードのハンバーガーは20年以上は食べてないかな。たまに食べたくなるけど、そういうときは知り合いのシェフに頼んで作ってもらう。僕が印象に残っているのは、パリ、ラルケストの良明(伊藤シェフ)が作ってくれたジビーフのハンバーガーと、村井さん(現在、リッツ・カールトン東京の料理長)のハンバーガー、この2つがいまも思い出しては食べたくなる。 南草津駅から京都で新幹線に乗り換えて東京へ。東京駅から2回乗り換え

          気になれば行動する

          自己管理と在庫管理

          近江牛のタンをはじめとするラインナップ。これすべて牛の種類が違うのでます。一切れづつ4種食べられるって、かなりの贅沢だと思うのです。これができるのが、メッシタパーネエヴィーノの魅力です。 薬でもサプリメントでも、毎日決まった時間に飲み続けることができない人多いですよね。飲み忘れたり、間違えて2回も飲んだり。ちなみに僕は、このあたり完璧なんです。ルーティンにしているので歯磨きと同じです。 ところで、自己管理できない人って、仕事できない人が多いんじゃないかな。なんか抜けてるん

          自己管理と在庫管理

          信頼関係とリスペクト

          東京の表参道に取引先があります。亀戸から移転して一年が経ちました。これだけの情報でも、グルメな方なら店名分かるかも知れませんね。どのような経由で取引になったのか忘れましたが、プライベートでも何度かご飯を食べたり、飲みに行ったりと、仲良くさせてもらってます。仕事の話は一切しなくて、いつもなんの話しをしてるのか思い出せないほどのバカ話しばかり。それがいいんです。だから長く付き合えてるのかも。それとお互いをリスペクトしているし、信頼関係で成り立っていると思ってます。先日、知人に誘わ

          信頼関係とリスペクト

          西山とブルスタ

          東京日本橋は浜町にあるブルスタ。オープンして1年と8ヶ月。僕が行くと生まれたばかりのあゆちゃんを連れて、あっこちゃんが顔を見せてくれる。西山にはもったいないくらい、良くできたお嫁さんだ。 西山との付き合いも長くなった。つい最近、アクアパッツァ出身だと知った。しかも西山からではなく日高シェフから聞いた。なんで言わなかったの?って聞いたら、働いたのは短期間だったので言っちゃダメだと思ってたと。まぁそうだけど、こういうことだけきっちりしている。 代官山に「ブルスタ」があったとき

          質問と回答

          サカエヤ+、牛歩のような進み方でいつ完成するのやら。ようやく枝庫にレールがつきました。 取引先(すき焼きのお店)の方から質問がありましたので、やりとりをまとめてみました。 ・・・ここから ◯◯(店名)で以前迄は、◯◯牛を使っており、近江牛と比べサッパリしていたのですが、滋賀、◯◯(産地)とあまり遠くない距離でなぜそこまで違いが出るのでしょうか? 新保さんが送ってくれるお肉はサシがあっても脂っこさを感じないのはなぜでしょうか? 比べては申し訳ないのですが、家でスーパー

          親から子へ

          ジビーフはいろんな縁を運んでくれる。僕がジビーフを扱うことがなければ、間違いなく知り合うことはなかっただろう人。狭い業界なので、名刺交換くらいはどこかでしていたかも知れない。でも、一緒に旅をしたり食事をしたり、お家に招かれるほどの関係はとてもじゃないが考えられない。ジビーフに感謝しかない。 父と子が一緒に働く。周りから見れば後継者がいてよろしいなぁ、と思うのだろうか。僕は修行の途中で父親に引き戻された経験がある。3年間だが父親と一緒に仕事をした。毎日一緒にいると、親子だから

          繁殖牛ひろゆり

          144ヶ月齢の繁殖牛。 宮城登米市の和牛繁殖農家、冨栄さんの牧場から4月4日に出荷され翌日にと畜され、セリにかけられました。セリなので確実に買えるとは限りません。もし、他にこの牛を気に入って競り合ってきたら、あとは値段勝負。僕は仙台の買参権を持っていないので、知人に代理でセリに参加してもらいました。 富栄さんに、出荷団体名と個体識別番号をお聞きして、代理人に買い切る(競り落とす)ように指示。あとはセリが終わるのを待つのみ。 夕方になっても連絡が来ないので、買い負けたのかと