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神田警察通りのイチョウ伐採反対運動について

神田警察通りの街路樹伐採の反対運動を知った。整備を進める千代田区と、伐採に反対している団体との問題。

私は神保町辺りをしばしば散策するので、調べてみると色々なことがわかってきた。

神田警察通り(特別区道千第389号)は、神田地区を東西につなぐ、延長約1,360m、道路幅員22mの通りで、靖国通りとならび、地域の生活基盤として重要な役割を担う道路。沿道には学士会館、共立女子大、旧博報堂などが並ぶ

初めに

この問題はかなりややこしい経緯がある様だが、筆者は二期工事区間のイチョウの伐採と反対運動についてのみ、言及する。実際に現地に行き、伐採、歩道拡張、車道の車線減少の正当性を考察してみた。

神田警察通り沿道まちづくり整備構想

活力の低下が見られつつある神田地域において、神田警察通りをまちのシンボルとして再生し、それを契機に沿道地域の魅力をさらに高め、暮らし、住み続けられるまちをつくるため、「神田警察通り沿道まちづくり整備構想」を平成23年6月に策定しました。

本整備構想は、神田警察通り沿道まちづくりを進めるにあたって、その骨格となる考え方を提示するものであり、本整備構想が定める「まちづくりの目標」の実現に向けて、住民・企業・行政など関係する人たちが積極的に活用し、具体的に取り組んでいくための指針となるものです。

神田警察通り

その前に既に工事が完了した一期工事の現状を見てみると

一期工事区間 歩道幅は3.5m

4月のある日の午後、現地に行ってみると。(工事前の歩道幅は3.5m)中央部に太いイチョウの木が逞しく生え、新緑が眩しかった。

南側から共立女子大方面を望む。左奥は首都高5号池袋線
車線を減らし自転車レーンが出来ている。
歩道中央にイチョウがあるが、車椅子は通行する余裕はある
北側 学士会館方面 かなり太いイチョウ
セットバック量はないがここは自転車レーンが無いので歩道の幅は確保できている
白山通り交差点近く、奥の茶色い建物が学士会館

一期工事区間は歩道中央部にあったイチョウを残し、車道を減らしその部分を自転車レーンにすることにより、歩道が広くなっている。

結論。一期工事は周囲には大きな建物が多く、セットバック量も多く、元々広い歩道、太いイチョウがさらに車線減少により広々し、歩きやすくなったと思う。

建物のセットバックとは何ですか?

セットバックとは土地の境界線と建物の間に、一定の間隔を空けることを意味します。

二期工事区間

白山通りから千代田通りまでの区間

歩道幅は2.7m
二期工事区間

一期工事区間と二期工事区間の違い

歩道幅の違い

一期工事区間は3.5mと広かったが二期工事区間は2.7mと狭い。さらにイチョウが植えられている桝の部分はさらに狭くなっている。

イチョウの太さの違い

一期工事区間 太い 大人が一抱えできないくらい太い 直径60~80センチ
二期工事区間 細い 一番太いのでも30~40センチ 細いのは20センチ程度

これは過去の資料を調べればわかることだと思うが、二期工事エリアに植えられたのは比較的最近と思われる。(細い木は植え替え後あまり年数が経っていない可能性がある)

周辺の建物 歩道からセットバック量

一期工事区間 セットバック量 大

北側 共立女子大の建物 南側 国立情報学研究所、一橋講堂
大きな建物のみ

二期工事区間 セットバック量 小

北側 学士会館、SC神田錦町3丁目ビル、テラススクエア、錦3七五三公園
大型ビルが立ち並び、歩道も広い

南側 興和一橋ビル、ミニストップ神田錦町3丁目店、神田税務署、神田警察署
歩道が狭いのと、興和一橋ビル別館(ミニストップ神田錦町3丁目店)から神田税務署、神田警察署、竹橋3−3ビルまではセットバック量が非常に少ない。


神田警察署 セットバック量ゼロ Googleストリートビューより
神田税務署 セットバック量ゼロ Googleストリートビューより
ミニストップ神田錦町3丁目店 セットバック量ゼロ Googleストリートビューより

伐採されたイチョウを見てみると

現地に行ってみたところ、既に伐採された木は中が腐って空洞になっているものが多かった 強風などで倒壊の危険性があった可能性

これはかなり前に伐採されたもの
南側
南側 ガードレールが曲がっている?
南側 ガードレール曲がっている?
南側

根上がりをしている木

街路樹の「根上がり」とは街路樹が生長するにつれて根が太くなることで、根が歩道の縁石や舗装を持ち上げ、歩道がでこぼこになる「根上がり」が起こります。 そのため歩行者、特にお年寄りや車いす・ベビーカーの通行に支障をきたす状況となり、各地で問題になっています。


根上により桝のブロック、アスファルトも盛り上がっている
細いにも関わらずガードレールに接触しそう 桝により歩道幅がさらに狭くなっている
イチョウの木の逞しさ
完全に倒れかかってガードレールを倒してきている


部外者としての結論

一期工事区間は歩道中央に太いイチョウがあるが、両脇は車椅子も余裕をもって通行できるので、問題はないと思う。

二期工事区間の南側、興和一橋ビル〜神田警察署は歩道が狭く、イチョウの木も経年的に太くなった結果、ガードレールを圧迫し、車道側に傾いてきているものもある。根上りも見られるので、伐採し歩道を拡張、新たな街路樹を植えるべきと思う。

反対運動に対して


こういう「木を切るな!」運動は各地で行われているが、神田警察通り第二期工事区間の南側に関しては

そもそも歩道が狭い→車椅子やベビーカーの通行に支障が出ている
伐採されたイチョウの木の内部が腐っており、倒壊の危険がある
第一期区間に比べ細い木だが、幹が太くなってきており、車道側に傾斜しガードレールを圧迫し倒れ込んでいる

以上の理由から伐採すべき街路樹と言えよう。

反対派のX(旧Twitter)ポストを見ると、もはや千代田区長や小池都知事批判の為の政治運動化となっており、それに同調する政治家が便乗、本来当事者である周辺住民不在の状態になっている。

伐採反対運動に共感する人、あまり反対派のいうこと鵜呑みにしないほうが良いと思うよ。


資料

現地に赴き4月末に第二期区間の南側、北側のイチョウの撮影をしてきた。
南側は便宜的に西からS1,S2~18(18本)
北側は東からN1,N2~14(14本) と表記する

伐採された本数 南側10本 北側8本

S1
S2
S3
S4
S5
S6
S7
S8
S9
S10
S11
S12
S13
S14
S15
S16
S17
S18
N1
N2
N3
N4
N5
N6
N7
N8
N9
N10
N11
N12
N13
N14


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