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求めていた糖分はお米ではなくクッキーだった

休日出勤が終わった。

テレワークとはいえ、朝しっかり寝坊したためひとつもゆっくりせずに定時を迎えることになった。

朝のバタバタを引きずり、お昼も仕方なくカップ麺。
(仕方なくといいつつ、なんだかんだでカップ麺はうまい)

丸一日のオンライン作業を何とかクリアした夜。
一番に頭に浮かんだこと。


おいしいクッキーが食べたい。


そういえば、仕事中、おやつを何も食べなかった。
お昼のカップ麺以外で口に入れたのはコーヒー2杯。

別に悪いことではない。
むしろ健康にいい。

でも、今のわたしは健康に過ごすための糖分が足りなかった。
頭が働いていないことに気づいた。

「クッキー」によって気づかされた糖分不足。

客観的な自分を見つめるきっかけを作ってくれた、食いしん坊の自分。

ありがとう。


家のパントリーを眺めた。
そこには甘いものは何もなかった。
もちろん食べつくしたのはわたし。

糖分か。なるほど。
夕飯を食べよう。

夫が飲み会に行った今日。
簡単におかずをつくり、丼にしてみた。
ごはんはいつもより多め。

おなかいっぱい。
ごちそうさま。


でも、そこにいたのは満たされない自分。
脳内に残る「クッキー」。

心が満たされない自分。

わたしが求めていたのはお米の糖分ではなく、「クッキー」だった。


OK、自己理解。クッキー焼こう。


そこで立ちはだかるもう一つの壁。
クッキングシートがなくなっていた。

先日ガトーインビジブルを焼いたときになくなったのだった。

「今シーズン最後のガトーインビジブル」

そう伝えたときの夫は、クッキングシートがないと気づいたときのわたしを同じくらい絶望していた。

無塩バターも小麦粉もある。
もうクッキーを焼くという気持ちが出来上がってしまっていた。

さて、どうする。


諦めるもんか。
我が家にはトースターがあるじゃないか。

レシピを調べてみるとたくさん検索できた。
ありがとう、インターネット。

その中でもすぐに焼けるものを選んだ。

ビニール袋に材料を入れて作るタイプ。
洗い物が少なくていい。

あっという間に生地が出来上がり、いざトースターへ。
3分で焼けるなんて、今のわたしにはもってこいだ。

うろうろしながら待つ3分間。

いい香りが漂い始めた。


そして、トースターに呼ばれたとき。
わたしは満たされた。と勘違いした。


結構いい見た目に満足。
写真を撮って飲み会中の夫に送り付けた。

満足した。と勘違いした。


焼きたてもおいしいが、少し落ち着かせた方が硬さが出てくる。

もう少し我慢我慢。


「もう、素手でつかめるからいいよね?」

そう自分に言い聞かせて、1枚口に運んだ。

そのときだった。
わたしの心が本当に満たされたのは。

やっぱり私が求めていたのは「クッキー」だった。


たくさんあったクッキーは、もう残り少ない。

いつの間にこんなに食べたのか。

こんなに簡単に焼けるなら大量生産するか。

そう思ったけど、きっとそれは違うんだろうな。

明日のわたしが求める糖分はお米かもしれないし、チョコレートかもしれない。
もしかしたら、そんなに糖分を欲しない日かもしれない。

糖分にせよ、何にせよ。
こうありたいと求めるものは毎日変わっていく。


「今日のわたし、どんなことを求めている?」


ちゃんと自分に向き合って生きていこうと決意して、最後の1枚を口に運んだ。

夫ごめん、もうクッキーは無い



ただ、クッキーがおいしかったという話。
ステラおばさんの隣を通るときの誘惑はとてつもない。

おやつを作るまでの初速を見習え、普段のわたし。



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